米国で人気沸騰の携帯端末 pilot


US Roboticsの「pilot」とは?

 US Roboticsと言えばモデムメーカーとして有名だが、昨年の春米国でユニークなPDAを発売した。「pilot」である。ワイシャツのポケットに文字どおりスッポリと収まるサイズ、わずか128Kの標準メモリながら必要十分なPIM機能を備え、何よりもPC(Windows)とのデータシンクロ機能が標準添付("cradle"と呼ばれるPC接続のためのドッキングステーションと、PC側で使うPIMソフトが付いてくる)していて定価$299ということで、米国では非常に良く売れているそうだ。米国でPDAというとAppleの「Newton」を思い出すが、Newtonが発売された'93年に、Appleに対抗してCASIO/Tandyがほぼ同時発売した、形状はNewtonそっくりの「Zoomer」というPDAがある。このZoomerのソフト開発を担当していた"Palm Computing"という会社が、実は「pilot」のソフトを開発したというから面白い。pilotはPalmが開発した独自の手書き認識エンジン "Graffiti" を搭載しているが、このGraffitiはNewton用に移植されてもいる。US Roboticsはpilot開発のためにPalm Computingを買収したので、今は"Palm Computing section"である(Palmを買収した当のUSRも先ごろ3Comに吸収合併されてしまったが)。

Pilot_size
[写真左]「pilot」はケースに入ったカセットテープより一回り大きいといったサイズ。写真手前は付属のスタイラスペン。
[写真中]"cradle" に乗った「pilot」
[写真右]本体の背面下部にはむき出しの接点が (^^;)



 さて、この「pilot」、実は日本でも静かなブーム?らしい。数少ない販売店のひとつとしてpilotにとても力を入れている秋葉原のイケショップでも、入荷するとその分すぐに売り切れてしまうという状態。何で日本で英語版の携帯端末が?というと、ちゃんとユーザーの手で日本語化されているのだ。NewtonもHP200LXも、最近ではCASSIOPEIAもユーザーの手で日本語化されている、日本のユーザー恐るべし。しかも、こうした「日本語化ソフト」を含めて、優れたソフトが無料で公開されまくってるんだから、皆さん太っ腹である。Pilot&PB ちなみに日本語化するためにはさすがに128Kのメモリでは足りないので、メモリ512Kのpilot5000を入手するか、128Kのpilot1000を買って1Mのメモリカードを別途追加する必要がある。
 参考までにイケショップの価格は、pilot1000が\34,800、pilot5000が\39,800、IMのメモリカードが\19,800。メモリは差し替え式なので、メモリカードを買うならpilot1000が良い。

[写 真]「pilot」に標準で付属しているソフトはWindows95用。Macに繋ぎたかったら、オプションのMacPac(\2,980)も必要。それにしても、pilotはPowerBookと並べると何だか似合う。


「pilot」で文字入力...

 既にちょっと触れたが、pilotに文字を入力するときは "Graffiti" という手書き認識エンジンを使う。Graffitiは、アルファベットや記号などを入力するためのストローク(ジェスチャー)があらかじめ固定されており、文字の書き方は厳密にお手本に従わなければならない(図1)。しかし、数分練習するとあっと言う間に慣れてしまうので、ファジイな手書き文字を無理に認識させようとする類の認識エンジンよりもよっぽど軽快だ。何しろ認識率100%である。
 試みに、簡単な英文がどのくらいの速さで入力できるか、サイズの異なるいくつかの端末でやってみた(テストに使ったのは中学生でも読めるゴダイゴの歌詞、ちょっと古い ^^;;)。以下は、私がそれぞれの端末で入力を3回繰り返した結果の平均値。

 通常のキーボード:265文字/分
 Oasys Pocket:222文字/分
 CASSIOPEIA:145文字/分
 pilot:90文字/分
 筆記体の手書き(紙に手書き):180文字/分
 ブロック体の手書き(紙に手書き):



149文字/分




Keyboard比較 CASSIOPEIA(カシオのWindowsCEマシン)のサイズはほぼHPの200LXと同じで、テンキーが無い分キーピッチは200LXよりも少し広い。それでも、キーボード付きの端末はこのくらいが限度、というサイズだろう。長文入力にも耐える限度サイズがOasys Pocketだと思う。(LibrettoやMobileGearがなぜ出てこないかって?そりゃ持ってないからです...)

[写 真]上からApple拡張キーボード、Oasys Pocket、CASSIOPEIA。

 pilotのようなサイズを実現するならやはり手書き認識かソフトキーボードということになるだろうが、そもそも長文入力をしようという機械ではないので、認識ミスにいらいらさせられない分「許容範囲」ではないか、と思う。一方で、pilotにNewton用の外付けキーボードを接続するためのドライバソフトなんてものもあるので、これを使えば200文字/分くらいは出るのではないだろうか (^^;;)
...第3弾レポートへつづく。

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Last-modified: 6/7/97
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