LOST EPISODE


File  No.2  zappa talk about jazz (FROM ROCK MAGAZINE)
 
 ロック・マガジン54年(1979年)10月号より。
前回告知したロック・マガジン、hiroさんにコピーを提供して頂きました。
本当にありがとうございました。約20年ぶり(信じられない時の流れです)に読んだ インタビューは本当に興味深いものだったので、これから何回かに分けて紹介したいと思います。ちなみに、タイトルは「君には、時折言いたい事をいえるほど醜いコードは書けやしない。だから泡立ったクリームの詰まったキリンを当てにしなくちゃならんのさ。」原題の直訳か?原典が書いていないので不明ですが、要するにマザーズオブインベンションを特別視するインタビュアーに対する痛烈な皮肉を67年のガーリック・シアターのパフォーマンスに引っかけて言っている様に思えます。



 Q:ビバップのように、それに先立つジャズをなにか聞いた事はありますか?
ザッパ:サンディエゴからランカスターへ移るまでビバップというのは聞いた事
がなかったよ。ランカスターでチャーリー・パーカーのアルバムに出くわしたよ。
気に入らなかったね。というのも、全く調律が整っていないように聞こえたし、衝動性にやはり欠けていたからなんだ。しかし、良いなあと思ったオスカー・ペティフォードのアルバムを手に入れたし、チャーリー・ミンガスの私が本当に好きなアルバムもね。
Q:ミンガスには衝動性がありますね。
ザッパ:明確にあると言える。そして、オスカー・ペティフォードのレコードには奇妙な音が入っていたよ。
Q:アンクル・ミートは多くの評論家があなたの「ジャズに影響されたロック」であなたを認識する事にしたときの作品ですね。あのアルバムは方向転換とみているのですか?
ザッパ:たで食う虫も好き好きって言うだろう?何度も言うようだが君は新聞で読んだ事をそのまま信じるのかい?誰かがあのアルバムは偉大だと君にいったのか。大きなお世話というものさ。そういったからといって、あのアルバムが偉大ということにはならないし、又あのアルバムはひどいといったとしても、別にあれが
ひどい出来ということにはならないんだから。
あのアルバムは、あのアルバムそのものだし、人々があのアルバムを認識するやり方は、一般に時代の気質の反映なんだ。私はルーベンアンドジェッツは本当にいいアルバムだと思うが、あれを出した時は誰もが、だめだな、旧式なんだと
思ったものさ。
Q:どうしてアンクル・ミートについて、人々は違う意見をもっているのでしょうか。
ザッパ:多分当時の情勢によるんだろうね。人々はアンクル・ミートはちかづきやすくて真面目で、ルーベンアンドジェッツは糞食らえって思ったんだろう。
実際は全て真剣な時は、必ずしもその通りに受け取られるとは限られないんだ。
Q:一体アンクル・ミートはジャズの影響は受けているのですか?
ザッパ:アンクル・ミートにはジャズの影響はないと思う。もし、何らかの影響を受けているとすればそれはコンロン・ナンカロウからのものだ。彼はメキシコに住む作曲家でね、生まれはケンタッキーだが、人間には演奏できないような曲を、自動ピアノ用に書くんだ。彼はこれらの奇妙なカノンと、奇妙な構造を書いて、自動
ピアノのロールにパンチを入れるのさ。曲はファンタスティックでね、アルバムも何枚か出ている。もし、君が一度も聞いたことがないのなら、聴くべきだよ。
Q:あなたはいくらかでもジャズの研究をした経験はありますか?
ザッパ:ないよ。
Q:理論はどうですか?
ザッパ:ある種の理論はあるさ。高校時代はいわゆる手に負えない生徒でね。
私を黙らせる為に連中は「こいつは、ただ音楽が好きなだけかもしれない」と考えついたんだ。だから、私がいっていた高校は理論を学ぶという授業をしなかったので、彼らは私に日に一時間、その理論の授業てのを受けさせるためにジュニア
カレッジへとやってくれたのさ。先生はラッセルさんというジャズ・トランペッターだった。ウォルター・ピストンのハーモニーブックを使って勉強したんだ。
そこで、一学期の間ちょっとした練習をやってみてね。そのあと、もう一学期をジュニア・カレッジで送ったよ。しかし、それはお決まりの練習の拡張だった。
残りは全部図書館で学んだんだ。
Q:多くの人々が、理論と関わるときに、練習してその理論を確かめられるというので、ジャズの方へ引き付けられますよね。
ザッパ:うん、それはジャズへの接近の方法によるんだ。
 ジャズの中に理論的に入っていって「俺は信じられないような拡張を適用するんだ」などという奴は、即ちそういう風にジャズに近づく人間は、普通、偉大なジャズ
ミュージシャンとして思い出されるような人間ではない。私は成功するジャズは、私の好みのものはその中にあまり多くないが、人の学識に基づくものではないと思う。衝動性にこそ、基づくのであり、衝動性がその種の形式に作用するのさ。
Q:あなたが他のものより気に入っているジャズのサブムーブメントがありますか。例えば、デューク・エリントンよりもオーネット・コールマンの方に肩入れしているとか。
ザッパ:ああ、私はチャーリー・ミンガスが好きだし、セロニアス・モンクもエリック・ドルフィーも好きだ。かつてはハロルド・ランドが本当に好きだったんだが、もう長いこときいてないな。まあ、そんなところだ。
Q:あなたが大きなグループで活動を初めてホーン・セクションを声に出したりしていた時にそれらの資料を使ったのですか。(注1参照)
ザッパ:いや、私がホーン・セクションを声でやったのは伝統的な形に従ったのでというよりは個人的実験の結果だったんだ。
Q:そこであなたは異なった不協和音を提案したのですか?
ザッパ:うん、私はずっと不協和音が好きだった。私はとうがらしをたっぷりのせた 食べものが好きでね、私が大いに不協和音の含まれている音楽がすきなのはそれと同じ事なんだ。

注1:どの時期のバンドの事なのか?もしかすると「声に出したりして…」の部分は誤訳かもしれない。



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NO.1   DETICADE  TO  FRANK’S MEMORY