こんな風に声を書けて来た場合、安キャバレーの呼び込みの例を出すまでも無く、大抵警戒した方がいいのだが、何故かその時は、そのレコード店の醸し出す怪しい雰囲気に騙されたのか、店長(とおぼしき人物)と
しばらく雑談した後、気が付くとそのアルバム(1万円以上もした!)を購入してしまっていた。
それがZAPPEDとの出会いだった。
騙されたと思い、家に帰ってよくアルバムの中を見てみるとこれまた、見た事もないアーティストばかり。ザッパがハーブ・コーエン(敏腕マネージャー。)と組んで
1968年に設立したビザール、ストレイトレーベルのサンプラー・アルバムだったのだ。
ここから、このアルバムに収録されているアーティストのアルバムを集める為に散財生活が始まる事になる。
その内容とは、下記の通りである。
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zapped
(Side 1) 1.Aiice Cooper/Titanic Overture 2.Captain Beefheart And His Magic Band/ The Blimp 3.judy Henske And Jerry Yester/ horses On A Stick 4.Time Backley/I Must Have Been Blind 5.Wild Man Fisher/Merry-Go-Round 6.Alice Cooper/Refrigerator Heven 7.Tim Dawe/Little Boy Blue 8.Lord Backley/Governour Slugwell (Side 2) 1.Jeff Simons/Lucille Has Messed My Mind Up 2.2.Captain Beefheart And His Magic Band/ Old Fart At Play 3.The Mothers Of Invention/ Holiday In Berlin, Full brown 4.The GTO'S/ Do Me In Once And I'll Be Sad, Do Me In Twice And I,ll Know Better 5.Frank Zappa/Wille The pimp |
ざっとこんな所がビザール・ストレイト・レーベルのあらましなのだが、そこに感じられるのは変わり者に対するザッパの偏愛である。特にワイルド・マンフィッシャャーやGTOは
ザッパに目を付けられていなかったら日の目をみていなかったただろう 。 ダダイストザッパの面目躍如というところか。
また、ワーナーの社長、アーメッド・アーティガンの寛容な精神ゆえか。この時はザッパがある程度好きな事が出来た時期のような気がする。
敏腕マネージャー、ハーブ・コーエンの手腕もあるだろう。(奇しくも日本公演のあと、ハーブはザッパの儲けを横領した疑いで解雇された。この後、ザッパとレコード会社の長い確執が始まる事になる。)
ザッパはその頃周りに溢れていたヒッピー達が我慢できなかったのだろう。
ドラッグやフリーセックスや形だけの反戦行動やドロップアウト、そんなものが本当の解放か?俺ならこんなユートピアを描くよ、つまりどんな変わり者、除け者だって自分の存在を主張できる様なレーベルさ。
ザッパのこんな声が聞こえてくるようだ。確かに、ビーフハート、ティム・バックリーといった例外的なカルト・アーティストを除いたら、殆ど無視されているレーベル
だが、だからこそそこにザッパの実現したかったユートピアが見えてくるような気がする。アバンギャルドからグルーピーバンド、ただの変わり者までなんでもありのまるでインディーズの様なレーベル。そこにザッパは商業主義と隔絶した「ABSORUT
FREE」な世界を構築したかったのだろう。しかし、それは当然のように長く続くものではなかった。
それでは、まずGTOから話を進めることにしよう。
(次回に続く)
BACK NUMBER BIZARRE レーベルについて(1)