第1回歯科関連 練習問題15問 解答と解説

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問題1、唾液について正しいものを2つ選択して下さい。

  1. 唾液に希釈洗浄作用はあるが抗菌作用はない。

  2. 総義歯を安定させる因子に唾液の緩衝作用が大きい。

  3. 唾液には体液平衡の維持作用がある。

  4. 抗うつ薬の副作用で唾液の分泌が抑制されることはない。

  5. 薬を服用すると唾液から排泄されることがあり、これは唾液の排泄作用である。

答え(3−5)

「解説」

1、抗菌作用もある。

2、唾液の緩衝作用とはPHの調整である。

たとえば、酸味を中和させるなどの作用である。

この問いを「難しいと思う方へ!」(緩衝作用)は高校生の参考書にもあり常識問題と考えます。テキストにもあります。

なお、「総義歯の安定は吸着作用」つまり、吸盤は水で塗れているほうが吸着力が大きいです。

4、「抗うつ薬」の副作用に唾液の分泌抑制作用がありますので口腔内も注意が必要です。

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問題2、高齢者の歯の特徴に関して正しいものを3つ選択して下さい。

  1. 高齢者は歯根が露出していることが多く、その理由は、噛んで磨り減った結果である。

  2. 高齢者の歯根は歯ブラシで清掃すべきでない。

  3. 高齢者の歯根の虫歯は、入れ歯の安定性にも関係する。

  4. 高齢者の歯は歯根部と歯冠部が比較的見分けやすい。

  5. 高齢者の歯根は歯ブラシで摩耗していることがある。

答え(3−4−5)

「解説」

噛んで磨り減へるのは、咬合面のエナメル質に多い。歯根の磨り減りは、歯ブラシによるものが多い。

歯根は「硬いエナメル質がない」ので、「根面の虫歯」や「正しくない歯ブラシの使用」など注意点が多いので予防指導が大切である。

歯根は適切な清掃方法で清潔に保つことが重要である。

高齢者の歯は、歯根が露出していることが多い。したがって、歯冠部のエナメル質と歯根は色が異なるので区別しやすい。

義歯を支える歯の虫歯は義歯不安定因子のひとつである。虫歯の進行で歯が折れたり、バネがスムーズに着脱できなくなることもある。また、歯周炎の進行で歯の動揺(ぐらつき)も不安定にする。義歯は、口腔環境が変化するので点検が大切である。不適合義歯を使用し続けることはよくない。

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問題3、口腔清掃に関して正しいものを3つ選択して下さい。

  1. ブリッジは取り外して清掃するのが基本である。

  2. 総入れ歯のかたでも歯が残ってることもあるので口腔内の観察は大切である。

  3. リンシング(洗口)で出血がないかを観察することも大切である。

  4. 人工歯根(インプラント)は清掃してはいけない。

  5. ブリッジはみがきのこしやすい場所のひとつである。

答え(2−3−5)

「解説」

1、ブリッジは固定されている。ブリッジ特有の不潔域があるので正しいみがきかたを守ることが大切である。なお、ブリッジにも着脱できる(コーヌス)というタイプもあるので、注意が必要。ブリッジは取れないと決め付けないこと。歯科医に確認すること。

4、人工歯根は特に清掃や管理が大切である。

総義歯イコール無歯とは限りません。

残根上の総義歯もあります。口腔内の観察は大切である。

高齢者では歯科治療のストレスの耐性が低い傾向があるので、疾患の予防を最優先すべきである。介護関係者の口腔内への無関心は、介護放棄であり間接的な虐待と考える。

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問題4、歯科衛生指導に関して正しいものを3つ選択して下さい。

  1. 歯科医師や歯科衛生士が作業療法士と連携することも大切である。

  2. これまで老人保健事業では、歯科検診や予防が積極的に行われ高い成果をあげてきた。

  3. 8020運動は介護保険創設により開始され国民の義務として介護保険法で規定されている。

  4. 高齢者の歯科衛生指導では、大きな手振り身振りが必要なこともある。

  5. 8020運動は医療費の抑制効果も期待できる。

答え(1−4−5)

「解説」

2、老人保健事業では積極的ではなかった。

3、介護保険創設により開始された運動ではありません。また、「運動」スローガンであり国民の義務ではありません。介護保険法の規定もありません。

8020運動は20才以上の成人が対象でありません。「ヒッカケ」にご注意下さい。

「老人保健事業」は「歯科検診や予防指導」も行われてきたが、あまり積極的ではなかった。高い成果はなく今後の課題のひとつである。8020運動も今後の目標である。

(基本テキストP395、397をご確認下さい。)

予防の効果で医療費の抑制も期待できる。

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問題5、ひとの犬歯に関して正しいものを2つ選択して下さい。

  1. 犬歯は前歯に分類される。

  2. 犬歯は臼歯に分類される。

  3. 犬歯は、前歯でも臼歯でもない独立した歯である。

  4. 犬歯は、糸きり歯と呼ばれている。

  5. 犬歯は「犬の歯に似ている」ので歯根のことを指す。

答え(1−4)

「解説」

糸きり歯と呼ばれている犬歯は前歯に分類される。

犬歯も他の歯と同じく、歯冠と歯根が区別される。

犬歯は歯根のことではない。

なお、「ひとの」犬歯と表現しないと、犬の歯は全部犬歯だと騒ぐ学生がいたそうですので参考まで。

{ポイント}正常人の歯の本数はテキストに紹介されてます。ケアマネの常識として覚えおいたほうがよいでしょう。

乳歯の本数は上下で20本です。

永久歯は上下で28本と「上下左右の親知らず」4本です。28〜32本です。

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問題6、高齢者の歯根が露出した歯に関して正しいものを2つ選択して下さい。

  1. 高齢者の歯根の全体は、エナメル質が非常に薄いのが特徴である。

  2. 歯と歯の間の隙間が広いので清掃は洗口が中心である。

  3. 露出した歯根のほとんどは象牙質なので過敏である。

  4. 歯ブラシで磨耗しやすい。

  5. 高齢者の露出した歯根にも歯石が沈着する。

答え(4−5)

「解説」

1、歯根の表面は「セメント質」です。(磨耗などで象牙質が露出しやすい)

2、洗口が中心ではない。洗口も大切ですが基本は歯ブラシの使い方です。補助器具(歯間ブラシ、ガーゼなど)を併用します。歯根はエナメル質のようにツルツルしてないので汚れが落ちにくいので観察や予防指導などが大切である。

3、露出した歯根面も基本的にセメント質です。磨耗や虫歯で象牙質が露出してるところもあります。歯根は根面カリエスと呼ばれる虫歯に注意が必要です。

歯根が露出すると歯と歯の間の隙間が広くなるので口腔管理が正常人と異なる点があり注意が必要である。

この問題は、なぜ、高齢者の歯根露出に注意が必要か?それが出題の意図(ポイント)であり、他にも大切なことがありますので各自整理して下さい。

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問題7、歯垢に関して正しいものを2つ選択して下さい。

  1. 食塊を「歯垢」と定義している。

  2. みがき残しは「歯垢」になる。

  3. 歯垢と歯石は歯ブラシで落とすのが基本である。

  4. 歯石は磨き残すところに溜まりやすい。

  5. 歯垢は虫歯の原因であり、歯周炎の原因にはならない。

答え(2−4)

「解説」

1、食塊は噛み砕いた食べ物です。 みがき残しが歯垢(細菌の巣)に変化するまで3日ぐらいかかる。

3、歯石は石灰化して付着しており歯ブラシで落ちない。歯科医が器具で除去する。

{ポイント}

歯垢は歯ブラシなどで落とす。洗口では落ちない。

食塊(噛み砕いた食べ物)は洗口する。

歯垢は虫歯と歯周炎の原因となる。

歯石も歯周炎の原因である。

歯周ポケットとは?

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問題8、口腔清掃で大切な事項を3つ選択して下さい。

  1. 歯と歯の間の隙間の清掃。

  2. 麻痺があり自分ではどうしても清掃できないところは介護者が手伝う。

  3. 歯根は歯ブラシで磨り減りやすいので適切な指導が大切である。

  4. 歯の噛み合う面の清掃はフロッシングが適している。

  5. 糖尿病の患者さんの歯周病は薬物療法が重要で口腔清掃は効果がない。

答え(1−2−3)

歯冠部のエナメル質に比べ、歯根は歯ブラシで磨り減りやすいので清掃法に注意が必要である。エナメル質は硬いが歯根はセメント質で硬さが異なる。これによりエナメル質とセメント質の境界からクサビ状に磨り減ることが多い。フロッシングは歯と歯の間の清掃である。

{ポイント}

口腔清掃でみがき残しやすいところは?

清掃のよく行き届かないところである。歯と歯の間、歯頚部(歯と歯肉の境界)、奥歯の溝などである。奥歯の裏側も注意が必要である。

テキストで再確認しましょう!

{ポイント}

糖尿病の患者さんは、感染に対する抵抗力が低下傾向にあるので、予防に重点を置くことが大切である。必要に応じて薬物療法と併用するが確実に清掃の効果は大きい。

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問題9、歯の構造に関して正しいものを3つ選択して下さい。

  1. 正常な子供の乳歯は20本である。

  2. 正常な成人の歯の数は、28〜34本である。(親知らずを含める)

  3. 正常な成人の前歯の数は、12本である。

  4. 健康な歯は口腔内から観察できる部分より骨に埋まっている部分が長い。

  5. 硬い石などを噛んだとき反射的に脳に伝えるセンサーは、歯の噛み合う部分のエナメル質にある。

答え(1−3−4)

2、34本が誤り。28〜32本が正しい。

(親知らずは上下左右で4本です)28+4=32

上下左右の合計が28本です!

前歯は上下左右12本である。

34本は、4で割ることはできないので不自然な数字です!

5、エナメル質ではなく「歯根膜」が正しい。

残根も利用できることがある。

たとえば、エナメルの無い根でも治療をして金属の「フタ」をしてその上から入れ歯を装着する方法があります。その根が入れ歯から伝わる噛む圧を感じます。

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問題10、歯科治療に困難を来する(難しく)ことが考えられる疾患を3つ選択して下さい。

  1. 痴呆

  2. 脳梗塞

  3. パーキンソン病

  4. 歯髄壊死

  5. アフタ性口内炎

答え(1−2−3)

「解説」

痴呆、脳梗塞、パーキンソン病は歯科治療に困難を来することがある。

理由はテキストでご確認下さい。

4、歯髄壊死は一般的に歯科治療されいる。

5、アフタ性口内炎も一般的に歯科治療されている。

{ポイント}痴呆、脳梗塞、パーキンソン病はテキストを再確認下さい。

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問題11、オーラルディスクネジア(OD)に関して正しいものを3つ選択して下さい。

  1. 高齢者に見られる特発性オーラルディスクネジアがある。

  2. 向精神薬などによる薬物性オーラルディスクネジアがある。

  3. 口腔内にスプリントが入れられていることがある。

  4. オーラルディスクネジアを持つ高齢者の総入れ歯は、義歯の安定がよいとされている。

  5. オーラルディスクネジアは、口唇や顔面の不随運動であり舌には生じない。

答え(1−2−3)

「解説」

ODは三つの型がある。1と2は正しい。

オーラルディスクネジアを持つ高齢者の総入れ歯は安定が大変難しい。

舌の不随運動が総入れ歯を不安定にする。

スプリントはODの咬合を安定させる目的で装着される。また、スプリントは顎の関節の保護効果もある。(顎関節の病気)

(三つの型とは?)(基本テキストP398)でご確認下さい。

オーラルディスクネジアとは?テキストで再確認下さい。

オーラルディスクネジアの不随運動についてもテキストで再確認下さい。

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問題12、口腔内のチェックポイントに関して正しいものを3つ選択して下さい。

  1. 粘膜に異常があると洗口で出血がみられる。

  2. 舌は口臭の原因になることがある。

  3. 長期間入れ歯を使用しないと歯が移動して入らなくなることがある。

  4. 入れ歯が原因で口腔内の粘膜に異常が生じることがあるので注意が必要である。

  5. 歯周病は歯肉の病気であると定義されている。

答え(2−3−4)

「解説」

1、粘膜に異常があると洗口で出血がみられるとは限らない。口腔内の観察などが必要です。

5、歯肉の病気は歯肉炎や歯肉の腫瘍などいろいろある。歯周病は、歯肉や歯根膜や骨を含む歯を支える周囲の病気である。歯肉のみの病気ではない!

{ポイント}入れ歯が原因で口腔粘膜に異常が生じることがある。痛みで食事ができないこともある。観察が必要です。また口腔粘膜、舌、頬、口蓋、歯肉、口唇に腫瘍が生じることもありますので観察は重要です。異常を発見したら、医師、歯科医などに連絡する。

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問題13、摂食嚥下障害に関して正しいものを2つ選択して下さい。

  1. 摂食嚥下障害は脳血管障害の後遺症として生じることがある。

  2. 嚥下性肺炎は口腔内の細菌が関与してることが多い。

  3. 摂食嚥下障害のかたは毎日体温測定をしなければならない。

  4. 総入れ歯のかたは義歯を取って就寝するので、嚥下性肺炎になりにくいとされている。

  5. 唾液の分泌の少ないかたはバクテリアの繁殖力が少なく嚥下性肺炎になりにくい。

答え(1−2)

「解説」

3、体温の測定は重要だが、毎日しなければならないものではない。発熱がある場合は、嚥下性肺炎を疑うことが大切である。

4、義歯を取って就寝すれば安全とは限らない。口腔内の観察や清潔を保つことが嚥下性肺炎の予防として重要である。

5、唾液の分泌の少ないかたは唾液の作用が低下しているので特に注意が必要となる。

{ポイント}唾液の作用は?

唾液には粘膜の保護作用や抗菌作用、自浄作用などがあるので夜間は義歯を取って就寝されたほうがよい。義歯が取りにくいなど、判断が難しいときは歯科医へ連絡することが大切である。その他の唾液の作用は?テキストにも紹介されておりますので再確認して下さい。

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問題14、入れ歯の基礎知識に関して正しいものを2つ選択して下さい。

  1. バネで入れ歯を支える歯は、バネに汚れが付着するので清潔が保たれる傾向がある。

  2. 入れ歯が口臭の原因になることがある。

  3. 歯をたくさん失ったかたは、局部床義歯よりブリッジが適している。

  4. 局部床義歯は、通常セメントで固定し取り外しができない構造である。

  5. 入れ歯の基礎知識は、介護支援専門員が歯科医師に伝えるべき情報に必要な知識である。

答え(2−5)

「解説」

1、入れ歯を支える歯は、バネの影響で汚れやすい。また、力学的負担も大きいので観察や予防が大切な項目のひとつである。

3、局部床義歯が対象である。ブリッジは失った歯が少ない場合が対象です。

4、通常、固定はブリッジでおこなう。局部床義歯は着脱できるので取り外して清掃する。口腔内も清潔を保つ。

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問題15、介護支援サービスと口腔衛生指導に関して正しいものを2つ選択して下さい。

  1. 口腔衛生の知識や普及は、歯科関係者の役割なので介護支援専門員はサービスの調整以外に関わるべきではない。

  2. 積極的に歯を守ろうとしない要介護者の場合、サービス担当者会議の検討課題にすることも大切である。

  3. 課題分析に口腔衛生に関する項目が含まれていないのが実状である。

  4. 口腔衛生の知識の普及、口腔のリハビリテーションに介護支援専門員の存在は大きいので積極的に関わるべきである。

  5. 保険制度の創設に伴い、麻痺を伴うかたの摂食訓練、嚥下訓練等の実施は、施設整備の充実かつ大規模に行われており、全身のリハビリと一体化したシステムが築かれた。

答え(2−4)

「解説」

1、口腔指導が守られているかの確認や連絡など積極的に関わるべきであり要介護者等の状況をよく知る介護支援専門員の存在は大きい。

3、課題分析ケアプラン作成過程において歯・口腔ケアに関わる検討など含まれる。アセスメント表では歯及び口腔状態のチェックがある。アセスメント表の種類は?アセスメント表などをご確認下さい。

5、まだ、そこまでのシステムが築かれてません。将来的な理想と課題です。

(基本テキストP405)などを再確認下さい。

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お疲れ様でした。

作業ミスがあるかもしれません。再確認お願いします。

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最終更新日:2001/11/01 UP
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