モンスターズ・ラベージ・アメリカ
Monsters Ravage America / AH games
ショートコメント
●全米各地に現れたモンスターたちは、全土を焦土に化しながら、最後は最強の座を争うのであった
●AH末期の期待のモンスターゲームだったが、AHとしてはいささか消化不良に終わったか?
Monsters appearing everywhere around America, are ravaging the states to decide which is the strongest.
Expected monsters game during last minute of AH, but unfortunately is half beked like other games in the same timing.
published designed players time
1998 J.C.Connors, Ben Knight 3 or 4 2 hours
怪獣たちは最強を競う

 筆者は「ウルトラマン(初代)」世代の末裔に当り、怪獣大好きな少年でした。
 この「モンスターズラベージアメリカ」の企画を聞いたときには、胸をワクワクさせて期待して待ったものです。
 全米各地に出現したモンスターたちが、抵抗する合衆国軍を蹴散らしながら国土を破壊し、最後には最強を決めるべく互いに対決して雌雄を決していく‥というのです。
 ゲームの内容は、看板にまったく偽りありません。まさしくその通りのストレートなゲーム内容となっています。
 プレイヤーは、合衆国軍の1部を率います。陸軍、海軍、空軍、海兵隊のいずれかを選択していきます。次に、軍を選んだのと逆順で用意された様々なモンスターから好きな一匹を選んでいきます。
 そして、これを指揮して他のモンスターの進路を妨害しつつ、自身のモンスターは都市を破壊して人々を食い尽くして成長させて行くのです。
ファイナル・コメント
 モンスターがアメリカを蹂躙し、最後は最強の座を争って雌雄を決するという気軽にプレイできるビア&プレッツエルゲームです。
 ただ、これはこちらが勝手に過剰な期待を抱いていたのかも知れませんが、幾多の傑作をものにしたAH社の最後を締めくくるゲームとしては少し物足りません。
 もっとプレイヤーの作戦が重要で、様々なモンスターの特殊能力でコンボが炸裂するようなゲームを期待していたのです。言い換えれば、SPIの「シーボイガン市を食った怪物」をフルサイズゲームにして、それに見合う様々なガジェットを膨らませたものを期待していたのです。
 しかし、現物はもっと気楽に遊べるゲームでした。サクサクとプレイして、後はサイコロの振りや、カードの引きに委ねる、良く言えばおおらかな、悪く言えば少し大味なゲームでした。
 AH社の晩年に出たゲームは、「フォーザピープル(初版)」あたりを筆頭に、いずれもデベロップメントが甘い感じがありますが、このゲームもそうなのかも知れません。AH社がもっと元気がある内に完成されていたなら、もっと歯応えがあるゲームに仕上がっていたのかも知れません。
関連ゲーム

シーボイガン市を食った怪物
●スーパーモンスターショウダウン
●モスラ対ゴジラ
 突然変異は、核兵器をモンスターが受けたときなどに発生することがあります。これはミューテーションカードを引きます。リサーチカードによって、メカモンスターを開発することや、スーパーコロッサルガイというヒーローが現れることがあり、これらも軍側のモンスターのように機能します。
 この設定のモンスターゲームとして入っていて欲しい要素は過不足なく盛り込まれており、ワイワイガヤガヤとみんなで全米を蹂躙して雌雄を決することのできるプレイアブルなボードゲームです。
 百聞は一見にしかずですが、左がプレイ画像です。全米がラージヘクスのマップで描かれており、そこにミニチュアフィギュアの米軍とスタンドアップフィギュアのモンスターが陣取っています。
 マップ上に描かれた都市や、各部隊の基地をモンスターは蹂躙していきます。都市を破壊することで成長し、他のプレイヤーの基地を破壊することでその部隊の再建能力を奪って行きます。
 マップのスケールが大きいので、こんなことをしているとあれよあれよという間に全米が焦土と化します。指定された数の廃墟が生じたところで、モンスターは最強の座を賭けて順に1対1で対決して行きます。勝ったモンスターは負けたモンスターの体力を奪い取り、そして新たなモンスターと対決していきます。最後に生き残ったものが勝者となります。
 移動や戦闘のルールはごくシンプルです。
 味付けとして軍側の要素としては「研究開発」があり、モンスター側には「突然変異」があります。研究開発は、資金を投じたり、モンスターへの攻撃が成果を挙げたときにリサーチカードを引くことができることがあります。
 最後に折角ですのでモンスターをリストアップしてみましょう。
 左上は深きものブロナクルです。湖の底に封印されていた神秘の存在です。
 2番目の緑色のスワンプラッシャーは、悪質な化学会社が長年に渡って沼地に放出した廃棄物が生み出した怪物です。
 3番目のダストデビルは、物理的な実体を持つことができるほど強力な砂漠の精霊です。
 4番目のフロソミアは、カナダの氷河の有機物が集結した怪異です。
 5番目のグロウウィルムは、核実験で突然変異巨大化した昆虫モンスターです。
 下の列に移って、トマナギは現代に生き残った恐竜の末裔です。
 コンクは、スコルピオ博士が秘境から連れてきた巨大猿の子供が成長したものです。
 イクシピラは、かつて人類が神と崇めたこともある巨大古代生物です。
 メカモンスターは、数十年前に発足した秘密プロジェクトの産物です。冷戦時代を迎えて秘密裏に再開されていたのです。
 スーパーコロッサルガイは、本名をグレンと言います。原子炉事故に遭遇した彼は九死に一生を得たのですが、そのときに彼の生態システムには異変が起きて、彼の肉体は成長と充実を無制限に続け始めたのです。