ストレンジニューワールド
Strange New World / Gametime Games
ショートコメント
●1970年代の星間開拓ゲーム、いま見ても新しいアイデアが盛り込まれた野心作
●シャープに過ぎるデベロップメントがゲームバランスを険しくしているが、システムは一見の価値あり
Inter-steller conquest game in 1970s' filled with vivid idea even today.
Sharp game mechanics makes this game pretty vunerable for cascading, but still this is worth for taking a look.
published designed players time
1978 ??? 3-5 2+ hours
不思議の新世界を求めて

 ゲームタイムゲームズは、ミニチュアフィギュアで有名なヘリテージのゲーム部門です。小箱のシリーズで有名なドワーフスターゲームズもそうですが、こちらは今で言う「カタンの開拓」サイズの正方形の箱のシリーズです。
 SF、ファンタジー系のものは3作品あり、その中でこの「ストレンジニューワールド」は、一番、凝った作りでした。

 ゲームの内容は、タイトルそのまま「不思議な新世界」を求めて探検し殖民していく、星間開拓ゲームです。
 ゲームボードを一見すると、正方形のボードの周囲にマスがあって、「モノポリー」かと思わせます。実際、これは各星系を表すボックスで、ここに殖民するとマーカーを置いて所有権を表すのですから、多少の類似はあるでしょう。
 けれども、実際のゲームシステムは全然違っていて、非常にユニークなものです。
ファイナル・コメント
 このゲームのサブシステムのアイデアは、四半世紀を経たいまなお光るものがあると思います。ユニークで、古びていないのです。
 その一方で、少々、危ういのも事実です。一方通行の一筆書き状態のハイパージャンプルートは、プレイヤー間の関係を膠着させてしまっています。通常航路を通って局面を打開するには、オリジナルルールの通常移動の制限は厳しすぎます。ローカルルールで、移動力を2倍にしてやっていますが、そのくらいでないと上手く行かないようです。
 もう一つ、手札制限4枚の中で、シビアに数を争う戦闘システムも危ういものがあります。特にカードを買って補充することができるのが自分の殖民星系だけだというルールがあるため、攻撃側で全てを失うと、自分のコロニーに戻るまで打つ手がなくなるのです。けれども、そのためには一筆書きで逆戻りの効かない航路を一周するなり、通常航路を気長に旅するなりしなければなりません。
 最後の問題は、ここまでの説明から分かるように航路の状態が作戦に大きな影響を及ぼすのですが、これが小さなマーカーでしかなく、しかも星系を一つずつ順に辿らないと繋がりが分かりません。このため、非常に鬱陶しくなっています。むしろ、星系をボードでなくカードにしてしまって、カードを並べることで航路が直接形成されて視覚的に見えるようにするべきでしょう。
 マーカーの小ささも、航路を思い切ってカードにしなかったことも、当時のゲームのデザインノウハウの範囲では仕方のないことだったかも知れません。けれども随所に惜しいアイデアがあるだけに、今のゲームデザインのノウハウ水準で作り直してみたいゲームではあります。
 いずれ機会があったら、B級SFゲーム分科会でやってみても良いと思うのですが、果たしてそんな日はいつ来ることやら。
関連ゲーム
●ステラコンクエスト
●スターフォール
●ダークスターズ
●ゴッズファイアー
●ゲイトウェイトゥザスターズ
●トワイライトインペリウム
アンドロメダ
●スペースピッグ
 このゲームでは、移動は中央部の星図上で行います。
 しかし、光年の距離を隔てた星間航行をまともに通常空間で行うのは非常に非能率です。そのためにハイパースペースジャンプトを利用することになります。実はこのハイパースペースジャンプのルールがこのゲームの長所も短所も作り出しています。
 ボード周囲にある各星系を表すボックスに、各星系やブラックホールを示すマーカーを開始時に裏にしてランダムに配置しておくのです。そして、各星系にいるプレイヤーは、そこに開いているジャンプホールを潜ると、そのマーカーの示す星系へとジャンプアウトしていくのです。この航路はブラックホールで途切れるか、あるいはどこかで航路上の元の星系に繋がってループになっていることになります。
 通常航路が効率が悪いとすると、原則として移動はハイパージャンプになりますが、結果としてプレイヤーたちは、一筆書きで一方通行の航路を同じペースで進んでいることになります。
 このため、航路上で前方にいるプレイヤーは、常に先に殖民をする権利があり、同時に未知の危険と戦う使命を負うことになります。
 後方にいるプレイヤーは、未開の楽園には出会えませんが、殖民済みの星系を奪うという楽しみがあり、前を行くプレイヤーにプレッシャーを与えることになります。ここのところの感覚は、良くも悪くも他のゲームでは例を見ません。

未知の世界を征服するには

 このゲームでは、開始時に各星系に星系カードを置いておきます。これは、その星系の毎ターンの生産価値を決め、同時に最初に殖民するためにクリアしなければならない条件を設定します。
 一方、プレイヤーは、手札としてクルーカードを持つことができ、これは冒険で資金が得られれば買い足すこともできます。
 殖民のための条件は、特定の種類のクルーカードを使うことになります。
 ある星系では、病原菌駆除のために医療チームが必要ですし、ある星系では危険な現住生物制圧のためにスターソルジャーを投入する必要があったりするのです。このため、数多くの種類のクルーを持っている方が良いのですが、一度に連れて行ける(持っていける)クルーカードが4枚までに制限されています。さらに、殖民するためにはコロニストのカードが必要になります。
 一旦、殖民してしまうと星系カードはゲームから除かれます。しかし、他のプレイヤーの攻撃を受けることがあります。この場合には、その星系に防御としてクルーカードを積んでおいておきます。新たなプレイヤーがやってきて攻撃する場合には、攻撃側は手札から好きな枚数を出して攻撃します。クルーカードには戦力が設定されていて、たとえば科学チームなら1、アストロマリーンなら4という具合です。数字が大きい方が勝ち、負けた側は除去、勝った方も負けた側と同じ戦力を除去し、その上で可能ならコロニストを出して殖民することになります。