ドロイズ
Droids / Euro Games
ショートコメント
●プログラミングロボットゲームの一つ。ボードの各列に対してプログラムスロットが設定されている異色の方式。
●随所に光るオリジナルアイデア、もう少しテストプレイしてデベロップしてくれていたらと思うゲームの一つ。
One of programmable robot games which has unique program slot system corresponding each raw of the board.
There are several unique ideas in this game. Hopefully it shoud be test-played and developed a little more.
published designed players time
1992 Dominique Ehrhard 4 1+ hours
プログラミングロボット系ゲームの欧州作品
 プログラミングロボット系のゲームというサブジャンルが間違いなくあります。
 原点はカードを利用したプロット方式のゲームで、ヤキントの「スワッシュバックラー」や、AHの「ガンスリンガー」あたりに端を発していると思われます。
 カードで行動をプロットしておくというシステムが、ロボットのプログラミングというモチーフに良く似合うというのは誰しも想像しやすいところなのでしょう。このタイプのゲームは、数年置きにどこかのメーカーから登場してきています。
 もっとも有名なのは、WOTCのオリジン賞SFゲーム部門を受賞した「ロボラリー」でしょう。しかし、その他にもゲームスミスの「ロボタンク」や、拙作「ロボファイト」などもあります。
 「ドロイズ」は、その中でも欧州系ゲームで、日本ではあまり見かけませんでした。ドイツゲームは良質のファミリーゲームが多いので、その意味では非常に期待させるものがありますが、その内容を紹介していきましょう。
 「ドロイズ」のプログラム方式は、「ガンスリンガー」などと少し異なっています。「ガンスリンガー」などは、基本的には書き込み式のプロットをカードで置き換えているだけですが、この「ドロイズ」ではボードの自分の端に設定されているプログラミングスロットにコマンドタイルを置くことで計画します。
 ボードの各列に対応しているスロットは、その列にロボットがいるときに実行することで、初めてロボットに行動を起こさせることができます。このため、ロボットが移動すると、その移動した先の列にコマンドを計画していなければ次のアクションに移れないのです。
ファイナル・コメント
 ゲームシステムとしては、単なる「ガンスリンガー」系の延長線ではなく、いくつもの新機軸を盛り込んだ野心作です。
 ただ、実際にプレイしてみるとちょっとどうかと思います。タイル選択、タイル配置、タイル実行の三段階に渡って続く駆け引きのため、1ターンはかなり重厚な展開となります。その割には妨害電波を受けたり、それを避けるためにコマンドの空打ち(その列にロボットが来ていない状態でタイルを実行すると事実上のパスになる)をしたりするため、ロボットは実になるアクションをさしてできません。
 このため、数ターンプレイすると満腹感が生まれるのですが、良く考えて見るとロボットは大したことはしておらず、駆け引きでフェイントを掛け合っているばかりだったりします。
 ちょっと盛り込みすぎで空回りしていると言えるかも知れません。妨害電波を思い切ってなくしてしまうと、ずっと建設的な展開になるかも知れませんが試したことはありません。
 もともとプログラミングロボット系のゲームは魅力のある題材なので、少し手を入れれば十分面白くなると思うのですが。
 ただ、同じ題材のゲームが他にもあるので、この作品にそこまで労力を掛けるかどうかでしょう。
関連ゲーム
●ロボラリー
●ロボタンク
ロボファイト
●ガンスリンガー
●スワッシュバックラー
●リモコンロボット
●チップチップフラー
 このため、プロットはロボットの動きを読んできちんと立案しなければなりません。
 もう一つの大きな特徴は、移動のコマンドが「1マス移動」とか「2マス移動」とかいうものに加えて「進めるだけその方向に移動」というのがあることです。これはロボットの稼動範囲を大幅に広げており、そのためスロットに対してコマンドするという方式の難易度はさらに増します。ただ、無制限に移動してしまうと簡単にボード端に達してしまうので、ボード中央に水路が流れていて、水陸の切り替わりで停止するようになっています。

 実はここらへんまではまだ良いのです。難し目ではありますが、ボード上を良く見て順に物事を考えて行けばロジカルなゲームが好きな人なら十分に運用できる範囲にあります。

 本当の問題はこれからで、先ず妨害電波という他人のロボットを動かしてしまうコマンドがあるのが問題です。これがあるために予定が全く狂ってしまうのです。これもスロットに配置して使います。
 そして、この妨害電波というコマンドタイルがあることを前提に、プレイヤーは非常に濃厚な駆け引きをしなければなりません。しかも、これが階層的に3段に渡っているのです。
 第一にこのターンに使用するタイルを1枚ずつ順に選んで行きます。これによって手の内を探りあう訳です。思い切った距離を移動するつもりなら、そういうコマンドを取って置かねばなりません。妨害電波は相手に楽をさせないためには必須でしょう。
 第二にコマンドタイルをスロットに置いていきます。この段階で、相手のロボットがどういう風に行動しようとしているか、かなりのヒントが得られます。逆に言えば自分の手の内も推測されてしまい、互いに狙って妨害電波を仕掛けあうのもこのタイミングです。
 そして第三に実際のタイルの実行を進めていきます。思惑通りに移動しようとしても相手の妨害電波がありますからプログラミングタイルの実行順を予定と変更して妨害電波をかわしたりすることもできます。