モアコスミックエンカウンター
More Cosmic Encounter / Mayfair Games
ショートコメント
●宇宙は広く、そこに住むエイリアンはあまりにも多様だった
●伝説のSFゲーム、コスミックエンカウンターでもまだ不足な貴方に!
Galaxy is too huge. And aliens living there are too many.
This is for you who is not satisfied with legendary Sci-Fi game "Cosmic
Encounter".
published |
designed |
players |
time |
1992 Mayfair ed. |
Eberie, Olatka, Norton, Kittredge |
3-8 |
2+ hours |
モアで入る新しいルールはいくつかありますが、上記のデザイナーズノートにある三つのルールを紹介しておきましょう。
ルークレは、コスミックエンカウンターに貨幣経済を持ち込みます。このことによりコストという概念が生まれ、これをめぐる様々な厄介ごとが登場しました。そして、その厄介ごとをメシのタネにする数多くのエイリアンも。
ムーンは、各プレイヤーの星系に特別ルールを与えるものでプレイ開始時に二つずつプレイヤーたちに配られます。このムーンに対する侵略も可能となります。
率直に言ってデザイナーズノートにもある通りで、わたしはほとんどのプレイヤーの例に漏れずどちらのルールもあまり好きではありません。コスミックエンカウンターの良さは単純な基本システムと、それを破壊する強烈な個性のぶつかり合いだと思っているからです。ルークレはゲームシステムを複雑にしますし、ムーンも同様にエイリアンの個性以外の煩雑な要素を持ち込んで逆効果のような気がするからです。
マルチパワーゲームはわたしも大好きです。これは、一人のプレイヤーが複数のエイリアンの能力を持つゲームです。これは「マジック・ザ・ギャザリング」のコンボの走りのようなもので、思わぬ複合効果を生み出してくれます。ただし、デザイナーズノートにもある通りで、組み合わせによってはプレイバランスやレギュレーションに困ることになります。
このため、モアコスミックエンカウンターでは、マルチパワーのコンボの問題コンビ一覧表が用意されています。ご丁寧にどういう問題があるかまで分類されています。
さらに進むと3つのトリオパワーゲームもできるのですが、ここまで行くともうレギュレーション仕切れない世界でしょう。
どこまでもどこまでも
モアコスミックエンカウンターは、EON版の雑多な拡張をメイフェアが全面的に整理しなおして二部作にしたときの第2部にあたります。
本編コスミックエンカウンターに入りきらなかった部分であり、本編に含まれているものより問題の多い要素がこちらに集められています。
デザイナーズノートにそこのところは端的に書かれています。
「‥このことは、ほとんどの頭痛のタネをモアコスミックに積み残したということである。ほとんどのプレイヤーはルークレが嫌いだが、好きだというプレイヤーもいるのである。ほとんどのプレイヤーはムーンが嫌いだが、好きだというプレイヤーもいるのである。ほとんどのプレイヤーはマルチパワーゲームが本当に好きだというが、同時に誰もが組み合わせによっては混乱を招いたり明確化が必要だったりすることには同意している。そして最悪なことに出版されたどのエイリアンにも必ずファンがいるのである。しかし、多くは問題児で、強すぎたり、弱すぎたり、乱用されたり、曖昧だったりするのである。‥」
ファイナル・コメント
「モアコスミックエンカウンター」は、もはやプレイするゲームではなく、ルールやエイリアンカードを見て楽しむだけで十分な世界になっているように思います。
プレイしたときに問題があるということなのですが、このゲームについては決して欠点とは言えません。そういうところまで誰もが望み、そしてそれが果たされた作品です。
それにしてもそうした言わばオマケの集合体のようなゲームをきちんと真剣に洗練された姿にしてくれたメイフェアゲームズには頭が下がります。ここまでやってあるからこそメイフェア版は、さらに新版が出た今でも輝きを失っていないのです。
モアエイリアンなやつら
本編同様、あとはエイリアンの紹介にスペースを割きましょう。
最初の画像のアリストクラットは哲学者エイリアンです。彼らは哲学を持っていてプレイ開始時に手札を好きなように選べるのです。またプレイ中は常にフレアカードを持っている権利があります。
次のマシンは機械エイリアンです。彼らは休むことを知らない連続の力を持っています。チャレンジカードを持っている限り、同じターンに何回でもチャレンジし続けられるのです。
シゾイドは現実改変エイリアンです。ゲーム開始時に勝利条件を秘密裏に決めてしまうエイリアンです。ですからゲームの目的自体が変更になってしまうのです。これは強烈な能力です。
サイレンサーは沈黙エイリアンです。チャレンジの最中に任意のエイリアンを沈黙させてしまうことができます。そうするとそのエイリアンプレイヤーはチャレンジ中は口も聞けずジェスチャーもできず、もちろん筆談も許されません。
スケプティックは疑心暗鬼エイリアンです。チャレンジ中に一方のプレイヤーに対して「貴方が勝つかどうかにダウト」することができます。ダウトに対して相手が降りれば良し、もしチャレンジを続けるとダウトが成立したときにはスケプティックは大きな利益を得ることになります。
ウォリアーは戦士エイリアンです。彼らは経験値を得ることができます。チャレンジを行う度に経験値を得て、それが以後のチャレンジの修正値になるのです。
第2の画像は、問題が多いとされるルークレに関わるエイリアンばかりを選んでみました。
当然ながらこれらのエイリアンを使用するときには、ルークレルールを採用することが前提になります。
アセッサーは徴税エイリアンです。チャレンジのときに使うチャレンジコーンの使用に対して課税する能力を持ちます。
バトラーは執事エイリアンです。彼らはチャレンジのときの雑用を果たしてチップを受け取る能力を持ちます。ですから誰かの手番になると、そのプレイヤーより先にデスティニーパイルをめくってあげ、チャレンジコーンを準備したりするのです。そうするとチップを受け取る権利が発生し、チップを払わないプレイヤーは罰則を受けることになります。
エントリプリノイヤーは、投資エイリアンです。チャレンジのときにトークンと同じようにルークレを投入することができ、チャレンジに勝利すると利殖できるという能力です。
ノームは金持ちエイリアンです。持っている資金の1/3の額を戦闘の修正値として加えることができるというルークレ系のものとしては比較的シンプルでわかりやすい強さのエイリアンです。
フルツはリース・エイリアンです。ゲーム開始時に使用されていないエイリアンパワーカードなどのリース物件を持っており、プレイ中にこれらを他のエイリアンにリースすることで稼ぐことができるという能力です。価格設定は自由裁量となっており、ここらへんになってくるとビジネスゲーム感覚になってきます。
ロイドは保険エイリアンです。他のエイリアンが保険を掛けたいものに対して適当な保険料を決めて保険を受け付けることができるという能力です。これでもか‥という感じがしますね。