ドラゴンレイジ
Dragon Rage / Heritage
ショートコメント
●古都エシリエンは軍事コロニーとして拓かれ商都として発展した。荒野で生き残るためモンスターたちと戦い続けてきた。
●ドラゴンやモンスターが襲ってくる城塞都市でのファンタジー攻城戦ゲーム
Old city Esirien was first built as a military colony, and developed into a trading center.
It was fighting against monsters to survive.
Fantasy fortress wargame which is assaulted by dragons and other monsters.
published designed players time
1982 Lewis Pulsipher 2 90+ minutes
ドラゴンレイジの設定とシナリオ群

 その町、エシリエンは古くから彼の地にある。最初は帝国の辺境の備えとして軍事的なコロニーとして成立した。その頃のエシリエンは現在の東半分の大きさであった。
 時が経ち帝国は滅びたが人々の営みは荒野でなお盛んとなり、交易の拠点として拡大を続け西半分が新たに拓かれた。
 幾多の野生のものたちの攻撃にもエシリエンは耐え抜き幾星霜を越えてきたが、あるときドラゴンが彼の地に移り住んできた。エシリエンの人々はドラゴンが持っているであろう財宝を奪いドラゴンの子孫を絶やすために、その巣を留守に襲い卵を破壊することとした。派遣された有志の一隊は首尾よく任務を果たすことができたが、親ドラゴンたちはそんな人々の行いを許すつもりはなかった。
 二匹のドラゴンがエシリエンへと舞い降り、その城壁を打ち破り、街中へと侵入してきたのだった。野性のものたちとの戦いに長けたエシリエンの人々は勇敢にもドラゴンたちに立ち向かい、己の町と命を守ろうとした。
ネガティブ・コメント

 「ドラゴンレイジ」は、魅力たっぷりの内容を持つゲームです。
 ここまで説明してきたようにファンタジーゲームと、要塞戦ゲームのガジェットで面白そうなものはほとんど網羅されています。
 ところが、実際にメインシナリオを2回プレイしてみたのですが、正直に言うと期待したほどには面白くありませんでした。
 期待の方が大きすぎて厳しくなってしまったと言うこともあるのですが、一種、要塞戦ゲームに共通の悩みというのがあるような気もします。
 それは、要塞戦というものが持つ「業」のようなものです。
 そもそも要塞は、防御側に強烈なアドバンテージを与えてしまう存在です。城壁の存在によって攻撃側は攻撃方向や攻撃手段を厳しく制限されてしまいます。正にそれこそが要塞を築く狙いと言って良いので「業」とも言えます。
 しかし、ゲームとして考えたときにはこうした制限が厳しいシチュエーションと言うのは、必ずしも面白いとは言えないでしょう。
 このため特にドラゴンしかいないメインシナリオでの攻撃側の選択肢は、今ひとつ広がっておらず物足りなく感じられるのです。
 このゲームの真価は、もっと他のシナリオやポイント式ゲームにあるのかも知れません。
関連ゲーム
●ドラゴンハント
●ドラゴンパス
メイジナイトダンジョン
●ウォーハンマー
●オーガ
ドラゴンという存在

 様々なガジェットに満ちた「ドラゴンレイジ」ですが、やはり中心となる存在はドラゴンでしょう。シナリオやポイント式の購入では登場しないこともありえますが。
 左の図はわたしがプレイ用に作ったドラゴン記録シートです。移動方法も歩行、飛行、バウンド(ジャンプ)と多様で、なんと単一のユニットでありながら部位の規定が多様にあり、それぞれの部位ごとに攻撃ルール、ダメージルールが細かく規定されています。
 もちろんお約束としてドラゴンブレスも吹くことができます。
 こうしたチャートで描かれる巨大な存在と、多数の普通ユニットが対抗するシチュエーションとしては、メタゲーミングの「オーガ」も連想します。
 人間側はこんなものに好き勝手に暴れられては仕方がないので、城壁で進入箇所を特定し、そこで待ち受けて包囲して集中攻撃してしまうことを目指すことになりましょう。
 「ドラゴンレイジ」は、独特の設定のファンタジーウォーゲームです。
 モンスター 対 人々 という設定のファンタジーウォーゲームは他にもあるかと思いますが、それに城砦都市を絡めて要塞戦の要素を複合させてあるところが独特です。そして、攻撃してくるのが巨大で特殊能力のあるドラゴン2体で、人々が要塞で守る側に立ちます。
 ファンタジーウォーゲームは魅惑的なジャンルですが、同時に要塞戦というのも古代戦では人気のあるイロモノ的な題材です。その両者を複合させているのですから、これはなかなかに強烈な存在だと言えます。このためヘリテージの小箱の中でも、バーバリアンプリンス、デーモンロードと共に知名度の高い存在です。
 メインシナリオは上述の設定に基づいた2匹のドラゴン 対 要塞都市です。
 しかし、このゲームは設定が柔軟で、別設定ではドラゴン以外の野生のモンスター軍団が襲ってくるものもあります。巨人、トロール、オーク、ゴブリンからなるモンスター軍団による攻城戦というのもそそるものがあります。これに加えてドラゴンと他のモンスターの同盟と言う設定もあります。また、人間側にはヒーローと魔法使いがいて、それぞれに英雄的な活躍や呪文の効果を見せてくれます。
 史実という制約の薄いファンタジー/SFゲームであることから、さらにポイント購入式で部隊を編成して戦うルールも用意されています。この年代のゲームではメタゲーミングのマイクロでも特色ある部隊を自分の作戦に応じて自由に編成する方式を取り入れたものが多いのですが、「ドラゴンレイジ」もその一つです。
 ポイント式でプレイすることもあって選択ルールではさらに豊富なガジェットが用意されています。購入できるモンスターには、ティラノサウルスや、シーサーペントもでてきます。エシリエンは海に面しているのですが、海に棲み海から襲ってくるシーサーペントの存在は、実際に使ったことはないのですが局面を広くして良い着想のような気がします。
 精霊の召還魔法も選択ルールで加わっており、種々の精霊もコマとして用意されています。人類側の兵器としてもバリスタやカタパルトが上級ルールでは加わります。
 こうしたファンタジーゲーム、要塞戦ゲームならではのガジェットを小品ながらも目一杯盛り込んである辺りが、このゲームの魅力でしょう。