BQSF_GAME

ハリーポッター・トレカ
Harry Potter trading cardgame / Wizards of the Coast

一言で言えば‥‥

普段ゲームをしない人にもプレイでき楽しめる良くできた入門トレカ

題材の人気から普段ゲームをやらない人も手にすることを考えてある良心的なデザイン

well-made trading cardgame for novice players..
thoughtful design for the possibility that non-gamer can take this game because of original novel.


プレイ人数 2人
プレイ時間 1時間
ルール難度 入門トレーディングカードゲーム
デザイナー S. Elias, M. Elliott, P. Peterson
入手状況 published in 2001

ハリーポッタートレカの良心的なデザイン
ハリーポッタートレカ
いまや人気絶頂の感さえある「ハリー・ポッター」。この時点で日本語で3巻がベストセラーになり、英語版では今まで以上に分厚い「ハリーポッターとファイアーゴブレット」がなんとSFの賞であるヒューゴー賞も制圧しているところです。
このハリーポッターをトレーディングカードゲームにするとなると、あまりの原作の人気もあって下手なものは出せますまい。その難題に挑戦したのは、「マジックザギャザリング」でトレーディングカードゲームという新しいゲーム形態を生み出したこの分野の先駆者、WOTCです。

原作の魅力が素晴らしいだけにわたし自身も手に取るときには、とても楽しみな一方で、期待を裏切られるのではないかという不安もよぎりました。
けれどもプレイし始めてみると、その良心的なデザインに感心することしきりとなりました。ただし、こう書くと誤解を招きそうなので一つ断っておきますが、ゲームとして特別に面白いという印象を受けたのではありません。むしろ、感心したのは、あまりにも人気のある原作を題材としていることから、普段はゲームをしない人がハリーポッターの関連商品であるという理由で手に取ることを十分に考えてあるというところです。

良く考えられているなと思う部分は、特に二つあります。
第1にスターターには、構築済みのデックが二つ入っていてこれだけで二人対戦ができるようになっています。トレカの難点として、デックを構築するという手間が掛かるのですが、それなしですんなりプレイに入れるようになっています。

第2にルールを読む必要がありません。ルールブックを読むという事前準備は、実は普段から自分でゲームを買ってルールを読み慣れている人以外には、かなり苦痛なものです。このゲームではルールを読む必要をまったくなくしてしまいました。代わりにスターターに同梱されているマットを広げて、マットの一角にある「プレイを始めるために」の欄を読みながら指示に従ってデックを選びシャッフルして手札を取りプレイを始めれば良いのです。
あとはプレイの手順に書かれたことを順に実行してやると自然に相手の手番に移り、交互に手番を繰り返していくとゲームが進んでいきます。
一つ忘れました。プレイを始めるためにの最初にプレイの目的が書かれています。これを頭に入れておかないと、何を目標にプレイして良いのか、いつゲームが終わるのかわかりません。

ゲーマーにとってはどうだろうか?
ハリーポッタースターターのカード
「ハリーポッタートレカ」の最大の美点は、初心者に優しいことです。そのプレイのしやすさは素晴らしいと思います。それでいてトレーディングカードゲーム、特にWOTC社の伝家の宝刀「マジック」に通じるようなゲームエッセンスは上手に盛り込まれています。これ自体が抜群に面白いとは感じませんでしたが、これを面白く感じたら他のトレカも試していけるようになっていると思います。
そういう訳で、原作の魅力から手に取った普段ゲームをしない人にとっては、なかなかの優れ物です。

では、逆にすれっからしのゲーマーの部類に入るわたし自身はどう思ったかを少し書いておきましょう。わたし自身はトレカが要求する継続的な投資と労力に悩んでいて、多種類のゲームをプレイしたいという願望と両立できずに困っていました。そんな状況でしたので、構築済みのデックの入ったスターターを買うだけで遊べるというのは、わたしにとっても嬉しかったりします。
マジックを今でも現役でバリバリやっている人から見ると、どうも大味でコンボなどの妙味が薄く感じられるかも知れません。けれども、いささか敷居が高くなりすぎているマジックにとって新しいゲーマーをリクルートするためのツールとして考えれば、これはやはり意義ある作品になり得るのではないかと思います。

システムについて簡単に述べておくなら、プレイヤー主要な魔法学校の生徒の一人(もしかしたら生徒だけではないかも知れませんが‥‥)となって、マジックの土地の代わりに授業をプレイして魔力を蓄え、それによって魔法の生き物を呼び出したり、呪文を使ったりするのです。
スターターは、ハーマイオニーとドラコ・マルフォイです。ハーマイオニーの下のカードは、一作目の途中に学校に出てきて徘徊したトロールです。いちばん下はハグリッドです。マルフォイの下は魔法生物学の授業カードです。その下は相手を直接攻撃する呪文です。マルフォイはいじめっこなので、こういう直接攻撃呪文が多いデックになっています。

BQSF_GAME

ハリーポッターカードゲームの今後への期待
ハリーポッターのプレイ
ここまで紹介してきた通り、「ハリーポッタートレカ」は、題材がもたらす商業的効果を良く考えて適度な難度にデザインされた優れ物です。今の時点では特に厳しく指摘すべきことはないように思います。

今後の展開への期待を言わせてもらえれば、主要な登場人物の構築済みデックを一通り出してもらいたいものです。手軽にゲームをして遊ぶ分には、それらを揃えておけば良いという風にしてもらえれば嬉しい限りです。こうした構築済みデックを揃えていくやり方は、ポケモントレカに通じるものがあります。

それとは別にトレカである以上は多種類のカードを集めたり、そこから自分のデックをデザインしたりする妙味もあってしかるべきでしょう。そのためには原作のガジェットの魅力を余すところなく描き出せるようなカードを豊富に準備して、コレクションするだけでも原作の魅力とあわせて語り合うに足るようなラインナップにしてもらえるとハッピーな気がします。

関連ゲーム / 類似ゲーム

やはりトレカの元祖でありシステム的な類似もある同じWOTC社の「マジックザギャザリング」でしょう。
それ以外のトレカとしては、WOTC社の「ネットランナー」を挙げておきましょう。

他に著名な原作ファンタジーのトレカというと、指輪物語のトレカが複数出ているようです。
「ハリーポッターと魔法使いの石(賢者の石ではないらしい)」というボードゲームもあるようなのですが、内容未確認です。

トップへのボタン

BQSF_GAME