エスケープ・フロム・アトランティス
Escape from Atlantis / Waddingtons


一言で言えば‥‥

沈んでいくアトランティスから脱出せよ!
しかし、周囲の海はサメ、大蛸、海竜が跋扈し、一人また一人波間に消えていく


escape from sinking continent "Atlantis" !
But the surrounding sea is filled with sharks, krakens, and seadragons.

プレイ人数 4人
プレイ時間 2時間
ルール難度 ファミリーゲーム
デザイナー David Niecikowski
入手状況 republished in 1996

絶望的な状況とゴージャスなコンポーネント
エスケープフロムアトランティスのプレイ
いつもと順序が違いますが、まずプレイの画像から紹介してみましょう。

立体ヘクスタイルを組み合わせて作られたアトランティス大陸、いちばん外側は灰色の海岸ヘクス、その内側に緑の平原ヘクス、さらに内側に肌色の都市ヘクス、その中央に一際高く聳え立つ塔ヘクスとなっています。
そのアトランティスが外側から沈み初め、大陸の上に乗った人々は阿鼻叫喚の坩堝に。十分にあるとは言えない脱出船は寿司詰めで出航し、イルカの背にしがみついて逃げる人の姿も。

しかし、アトランティスの海に住んでいるのは人々と仲の良いイルカばかりではありません。
人食いサメの背鰭も海面を不気味に滑っています。そして、伝説の大陸の海は、伝説の生き物を飼っています。人にこそ直接の害をなしませんが、大きな船を見ると敵意を燃やして沈めようとするクラーケン。そして、船も人もすべてを飲み込む凶悪な海竜。
絶望的な状況
二番目の画像はそろそろ終盤にさしかかろうかというところ、既に中央の都市ばかりが残っているだけとなってきています。クラーケンや海竜が島の周りをうようよしています。サメの背鰭やイルカの姿も見えます。
残されたわずかな人々には脱出船もなく、もはやイルカの背にすがりついて遠くに見える陸に辿り着けるのを祈るばかりです。
しかし、そのイルカもわずか数頭では人々をいかばかり助けることができるのか。
かくてアトランティスの人々は次々に波間に消えて行くのです。



険しいプレイの後味
エスケープアトランティスのボックス
「エスケープフロムアトランティス」の問題点は、一度プレイすると痛感します。
先日、このレビューを書くために数年ぶりにプレイしたのですが、評判は良くありませんでした。
48コマのアトランティス人たちの内、生き残れたのは16コマでした。残りの2/3は波間に消え、渦に飲まれたか、サメか海竜の胃袋に消えてしまったのです。

最後になりましたが箱絵を紹介します。
脱出船に乗った人々、しかしその帆は破れ、クラーケンが船体に絡みついています。船尾からは海竜も襲ってきています。
ゲームのプレイ感もまさにこれに尽きます。
絶望的なシチュエーション、次々に沈んでいく仲間。一握りの生き残りの人数を数えて少しだけ他のプレイヤーより多ければ、ゲームには勝てます。
けれども、その後味は決して良くありません。しかもプレイ中は互いに海の生き物を動かして他プレイヤーの生存者を葬っていくという辛辣なプレイをしなければなりません。
ゴージャスでファンタスティックに見えるコンポーネントから、一見、楽しそうなファミリーゲームに見えるのですが、実際にプレイすると煮詰まってしまいます。
数年前にプレイしたときも今回もそうだったのですが、場が開くときにはみな無言で立ち去っていきます。感想戦が盛り上がったりはしません。見た目とのギャップが大きいだけに、疲れを感じてしまうのでしょう。

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沈んでいく故郷からの脱出ゲームとしては、バンダイの日本列島沈没との比較がなにより思い浮かびます。

個人的な意見としては
日本列島沈没の方が明るくプレイを終えることができます。最後まで海面の上に残った大雪山の山頂で生き残った仲間と待つ救援ヘリの絵の方が、故郷のあったところに残った渦と数少ない生き残った仲間の絵を見るよりも少しだけ明日への希望を感じさせます。