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バーナード星
Barnard's Star / Micro Games

一言で言えば‥‥

地球とナロニアンの中間にあるバーナード星をめぐる争い

前哨星系での限定的な星間戦争を描いたDTPメーカーの佳作

こんなゲーマーにお薦めしたい

マイナーなDTPメーカーのゲームを発掘するのが好きな方に

SF要素が強いウォーゲームを求めている方に

プレイ人数 2人
プレイ時間 2−4時間
ルール難度 シンプルなウォーゲーム
デザイナー ケリー・アンダーソン
入手状況 メーカーサイトを当たられたし

バーナード星の設定
バーナード星の表紙
「バーナード星」は,DTPメーカーであるマイクロゲームズの最新作です。このメーカーで既にいくつもの作品を発表しているアンダーソンがデザイナーです。アンダーソンの他の作品としては,やはりSFゲームである「ファイナルフロンティア」や,山火事と戦うソリテアゲームの「スモークジャンパー」などがあります。

「バーナード星」では,昆虫型の宇宙人ナロニアンと接触した近未来の人類の戦いを扱います。人類が両者の中間点に位置するバーナード星にビーコンを設置したところからトラブルは始まります。これを発見したナロニアンは,ビーコン撃破のため艦隊と地上部隊を送りこんできたのです。

地球側のわずかな艦艇はナロニアン艦隊の前にあっという間に撃破されてしまいます。そして,惑星地表の守備隊は降下してくるナロニアン部隊を相手にビーコンを守るため抗戦するのです。この間に地球側は増援を編成し,生きているビーコンを頼りに地球からバーナード星へと送りこんでいきます。果たして地球側はビーコンを守りきりバーナード星を確保することができるのでしょうか?

バーナード星のシステム

「バーナード星」は,それほど複雑でないウォーゲームです。

ただし,そのシステムにはSFゲームならではの要素がちりばめられています。このへんは,デザイナーのSFに対する思い入れと深い造詣が伺えます。

バーナード星は,軌道上の宇宙戦闘と,軌道から地上へと降下する手順と,地上戦闘とからなっています。このへんのシステムは往年のGDW社のSFゲームを彷彿とさせます。舞台がバーナード星に限られているため,こうした宇宙戦闘の部分はシンプルにできあがっており,全体の難易度をいたずらに上昇させていません。それでいて,舞台が両者の本星から離れた前哨星系で行われているという設定を,強く実感させてくれます。
バーナード星のプレイ
地上戦闘部分は,ヘクスウォーゲームです。この部分の詳細さが,GDWの諸作品,たとえば「インペリウム」などとの差別化要素になっています。

地上部隊には,通常部隊とジャンプトループ(降下部隊)がいます。ジャンプトループは軌道上から直接降下することができ,降下時に脆弱な輸送船での輸送リスクを負いません。また,白兵戦闘能力も高いエリート兵です。その一方で,有射程兵器を持っていないため,中距離での射撃戦では無力です。

また,地上に設置する転送ポイントというコマがあります。これは,容量の限定されたいわゆる「どこでもドア」です。地球側はすべてのビーコンに分散して配置することになろうかと思いますが,これに対してナロニアンは目標を絞って降下してきます。このときに地球側の部隊の機動防御に役立つのが転送ポイントなのです。

こうしたガジェットは,いかにもSFゲームならではのものばかりです。斬新さで目を引くというほどの要素はありません。けれども,SFゲームの先達から様々なピースを上手に組み合わせています。

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バーナード星の難点

「バーナード星」は,過去のSFゲームをプレイしてきたSFゲームフリークのデザイナーが,その造詣を上手に組み合わせて作った佳作でしょう。ルールを読んだ時点では大いに期待させるものがありました。ただ,実際にプレイすると,もう一つすっきりとしませんでした。これは,個人的な好みの問題かも知れません。

わたしが問題だと感じたのは,スタック制限がないことです。このため,特に攻撃側のナロニアンは部隊を集中運用してビーコンを一つずつ叩きに来ます。その結果,ユニット数は多いものの実際には大スタックがいくつか動き回るだけの大味な展開になりがちです。

また,これに対して地球側は初期配置の工夫や,転送ポイントの運用で各個撃破をできるだけ避け,拠点での集中防御でナロニアンを消耗させながら増援を待ちます。このため,広いマップの多くのヘクスは単なるビーコン間の距離としてしか働かず,マップの広さが生かされていないように思います。

もっとも,機動降下兵や転送ポイントがあるような時代の戦闘というのは,こういうものなのかも知れません。そこがいかにもSFゲームらしいと言えば,それもその通りかも知れません。

ただ,個人的にはユニット数の多さやマップの広さを生かして,地上戦闘でもっと面白い展開にできなかっただろうかという気がしてならないのです。また,大スタック同士が戦闘する際の戦力計算のわずらわしさと,その一回で大勢が左右されてしまう大味さは,いかにも好きになれません。全体の作りが良いだけに,戦闘の実際面をもう少し面白く仕上げてくれていたら‥‥という印象は拭えません。

もう一つDTPならではの問題として,カウンターを厚紙に貼って自作しなければならないというプレイ準備の手間が挙げられます。ユニット数がそれなりにあるので,結構,大変です。それだけにユニット数の多さが生かされていないように思われることが,なおさら口惜しくもあります。

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関連ゲーム / 類似ゲーム

同じメーカー,同じデザイナーの「ファイナルフロンティア」が最初に挙がります。こちらは太陽系内の人類の拡大競争を争ったマルチプレイヤーゲームです。

システム的には全体の枠組みとしてはGDWの諸作品が近いゲームになります。その中でも
「インベージョンアース」がいちばん近い構造ということになりましょうか。

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