魔界のコックさん
In Teufels Kueche / FX Schmidt

一言で言えば‥‥

「腹へった！」と叫ぶ魔界の親分に料理を運ぶ魔界のコックたち

内容不明の料理を取り合い運び合う４人マルチボールアメフト？？？

こんなゲーマーにお薦めしたい

肩の凝らない多人数ゲームを求める方に

賑やかさと駆け引きとが混交した面白いゲームを求める方に

プレイ人数	４人
プレイ時間	４５−９０分
ルール難度	ファミリーゲーム
デザイナー	アレックス　ランドルフ
入手状況	ドイツの最近のゲーム，訳付きで国内でも入手可

魔界のコックさんの設定

「腹へったぁ！」，魔界の大王の叫びが木霊します。

これはいかんと下級悪魔のコックさんたちは一斉に右往左往します。ともかくも料理を自分の割り当ての場所へどんどん運ばねばなりません。自分が作った料理だけじゃ間に合わないので，そこらに落ちているほかのものが作った料理でもかまやしません。いや，目の前を走っていくほかのコックをポカンとやっつけてそいつの運んでいる料理をかっさらったってかまやしません。

とにかく大王を早く満足させられるだけの料理を自分の持ち場の食卓に並びおおせればいいのです。

ただし，一つだけ気をつけなければならないのは，大王が大嫌いなミルクです。これだけは，食卓に並べないようにしないと‥‥。ミルクを出したりした日には，当分は血の池か針の山の勤務に回されてしまい，厨房から追い出されてしまいます。



魔界のコックさんのシステム

「魔界のコックさん」は，「シグマファイル」というゲームのリメイク版だそうです。元のゲームを未見なのですが，各国のスパイが機密文書を集めて本国に持ちかえるゲームだったようです。

「魔界のコックさん」は，設定こそとんでもないことになっていますが，基本的なシステムはオリジナル版を受け継いでいるようです。各プレイヤーは，三匹の小悪魔からなる厨房チームを持っており，自分のチームの食卓に早く１０点以上の料理を並べおおせることを目指します。

この時に，料理は最初は盤上にばらばらにばら巻きます。料理には，５，３，１点のものと，大王の大嫌いなミルクがあります。料理は神経衰弱の要領で伏せて置かれるのですが，自分のものだけは内容を確認できます。しかし，５＋３＋１＝９ですので，内容がわかっていて確実な自分の料理だけでは１０点に届きません。そのため，必然的に他人の料理もかっさらうことになります。

コックさんたちは自分の厨房から飛び出していき，途中のコース上で落ちている料理や，他のコックの運んでいる料理を拾ったり奪ったりして，盤上の反対側にある食卓へと運び込んでいきます。４人のスタートとゴールは交差しており，言ってみれば４チームでやっているラグビーのような状態になります。しかも，ボールは一つでなくたくさんあり，はずれのボールまで混ざっているという‥‥。こう書けば，当たらずと言えども，大雑把な雰囲気はつかんでいただけるでしょう。

コックさんは他のプレイヤーのコックさんのいるマスに入ると殴り合い（？）になります。この勝敗は，大魔王のオーブンで決定されます。交互にオーブンを押していき，先に大魔王を出した方の勝ちです。このオーブンはちょっと不思議なカラクリ細工になっています。

負けた方のコックさんは自分の厨房へ戻され，勝った方は相手の料理を奪うなり，そのままそこを通過して進むなりできるようになります。コックさんは最初は帽子をかぶっているのですが，一回敗れると帽子を取られてしまい，さらに負けると厨房への出入り禁止になります。また，うっかり食卓にミルクを並べてしまったコックさんは，問答無用で出入り禁止になります。

かくてゲームはコックさん同士のタックル合戦のような状態で進み，フィールドプレイヤーがだんだんと減っていき，一方，各プレイヤーの点数も増えていって，大詰めを迎えます。そして，最後になるとリーチの掛かっているプレイヤーは，どれが残された有効な得点の料理かを鵜の目鷹の目で窺います。他のプレイヤーは，リーチの掛かっているプレイヤーのコックさんを阻止するべくデフェンスラインを築いて待ち構えるのです。

単純なゲームですが，とても白熱するゲームです。



魔界のコックさんの難点

このゲームの最大の難点は，コックさんの殴り合い（？）の勝敗を決定するオーブンの耐久性にあります。

右がそのオーブンから大魔王が出てきた状態です。このオーブンはバネ仕掛けになっていて，なにかのトリガーで大魔王がめったに出てこないのに突然とびだしてくるようになっています。

ところが，使用しているうちにバネ仕掛けか，トリガーのどちらかが痛んでくるらしく，次第に大魔王は反応が鈍くなっていくのです。これが最大の難点です。このコンポーネントは独特で強烈なインパクトがあるので，他のものに置き換えてしまうのは惜しく，動かなくなってくるともう一つ欲しくなります。オーブンの別売を適当な価格でしてくれるといいのですが，ドイツ本国はともかく日本では無理な相談でしょうか。

拙宅のものがもし不具合になったら分解して修理できないか試してみるつもりでいます。ただ，幸いにして今のところは問題がないので，敢えてリスクをおかして分解はしていません。もしどなたか分解して容易に修理できる方法を見つけられましたら，メールでご紹介ください。本ホームページで紹介したいと思います。

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アレックス ランドルフ は，不思議なファミリーゲームをいくつも作っているデザイナーです。

このゲームのオリジナルである「シグマファイル」ももちろん彼の作品です。ただし，ＳＦゲームとは言えないですが。

また，イースター島のモアイを題材にしたＢＬＡＴＺの「イースター島」は，彼の近作の中でもＳＦ，ファンタジー色のいちばん強いものでしょう。

近作の中で奇妙な味わいのものとしては，アリのテリトリー争いを題材にしたＢＲＡＩＮＳＴＯＲＭの「シシミジ」もランドルフの作品です。