亜米利加かぶれ



 突然だが、アメリカという国が好きだ。詳しく言えば、アメリカ人の発想が好きなのである。すべてがそうだとは言わないが、日本人では発想できないような大胆な事を本気で実現しようとする。そこが好きだ。

アポロ13号のコードネームは「スヌーピー」だった!

 アポロ計画花盛りの頃、宇宙飛行士は注目の的、人々の憧れであったはず。アメリカを、いや人類を代表して未知の世界へ出かけるのだから当然である。周囲の人はもちろん、その本人は大変な覚悟が必要だし、責任も重い。しかしアメリカ人はそれだけでは終わらなかった。見たことがある人もおられる要ると思うが、この宇宙飛行士の中に「月面でゴルフ」をした輩がいる。当然、ゴルフをするんだからゴルフクラブを持っていったのだ、月に(笑)。当然、月では無重力なのでプレーうんぬんは問題ではない(あたりまえか・・・)。ここで重要なのは「月にゴルフクラブを持っていった」ということである。世界中が注目しているアポロ計画であるにもかかわらず、その渦中で面白半分(というか完全にジョーク)でゴルフクラブを月(!)に持って行っちゃう大胆さ。そしてそれを認める関係者の感覚。それを見て喜ぶ国民性。(断言しても良いが、ゴルフクラブを持っていったのは「月でゴルフしたら面白いじゃん」という理由しか無かったはずである)この(極めて単純な)惑星レベルのギャグはアメリカ人しか思いつかないし、それを実行しようとしない(笑)。正にアメリカ的なエピソードである。

ジョークのレベルが高いのではなく、それが通用するレベルが違うのである

コンピューターが話しかけてくる日

 アップル社の「ナレッジナビゲーター構想」というのがある。「未来のパソコンの姿」を考えるという研究で、発表にはその想像図を描いたフィルムが上映された。そこではパソコンのディスプレイ上に召使いが現れて「おはようございます」とか「お母さんから電話です」とかいう感じで、人間の生活をサポートするようになるだろうという姿が描かれている。正直言って僕が最初にこれを見たときは「これじゃTVのSFドラマだ」と思ってしまった。しかし、アップル社(そしてその他のコンピュータ関連会社の多く)はこのようなことを「真面目」に研究しているのである。これがすごい!!。日本でこんな企画書を出したら「テレビの見すぎだ」と言われるのがオチではないだろうか。アメリカという国だから許される、そして認められるのだと僕は思う。 現実的に「音声認識」などは今や研究していないコンピュータ会社(ハード/ソフト)は皆無であろう。しかし日本などは「アメリカがやっているから」という基本スタンスがあるのではないかと思う。仮にそうでないとしてもその主な目的は「便利だから」という枠をこえることはないだろう。しかしアメリカの研究者達には簡便性はもとより「できたら面白いじゃん」という空気を強く感じてしまう。子どもが「大きくなったら何でもできるロボットを作るんだ」という発想とほとんど変わらない(もちろん良い意味で!)。

すごーく良い意味で「面白半分」なのである

 おそらくクライスラーとかGMなんかは「ナイトライダー」(アメリカのテレビドラマに出てくる人工知能を持った車)を実現しようと研究しているに違いない。こちらも実現レベルでの車の自動走行や、車線/標識の自動認識などの研究が進んでいると聞く。家電会社は掃除、洗濯、子守りなど何でもござれのお手伝いロボットを、医療機器メーカは人体に入り込んで治療する超小型ロボットを、とまるでSFの世界のような物を作ろうと日夜研究しているに違いない。まだまだ実現レベルではないようなので聞こえてくる情報はわずかだが、そんな少ない情報の中でもそのことは強く感じとれる。なんてったってヒッピー発祥の地である。夢みたいな、悪く言えばテレビのSFみたいなことを「本気」で研究できる土壌があるのだ、アメリカには。

携帯電話のアンテナ大作戦

 御存知の通りアメリカは携帯電話先進国である。国中にそれ用のアンテナが張り巡らされている。最近、日本もやっと追いついてきたようだで、街を歩いていてもアンテナが良く目に付くようになった。携帯電話各社も「アンテナの数」を売りにしている。確かに沢山立てれば立てるほど電話はかかりやすくなる、それは間違いない。しかし、しかしだ・・・・そもそも、

アンテナを「国中に星の数ほど立てちゃう(笑)」

っていう発想自体が僕の範疇を越えているのではあるのだが・・・・

 昔々、電話が発明された。離れたところの人と話しができる、これは便利だ。で、「将来、もっと技術が進めば電話を小型化して持ち歩けるようになるぞ」という夢物語(主にTVのSFドラマ)が語られるようになる。ここまでは良い。日本人なら「各端末に固有の電波を飛ばして独立して受信して・・・」とかなんとか言って「ずーっと将来の話」という認識であっただろう。しかしアメリカ人は「アメリカ中にアンテナを立てればなんとかなるな」と考えちゃうのである。そしてこれを本当に実行してしまうんである。大胆というかなんというか、・・・アメリカ的である(笑)。 それでも地上に設置するアンテナには限界がある。これでは済まぬと、またまたさらにすさまじい計画が進行中である。モトローラ社が進行中の「イジリウム計画」は衛星軌道上にたくさんの(ほんとにたくさんの)通信衛星を飛ばして、地球上のどこからでも通信できるようにするというまさに「物量作戦」である、もう止まらない(笑)。個人的には「なんか違うんじゃないいかなあ」なんて思いつつ、それが実現したときの勇姿を早く見たいとわくわくしている。これもかなり現実的な実験段階まで進んでいて、試作品なんかも発表されている。マ、マ、マジでやってるのだ(^_^;)。(ちらっと見た試作品は現状の携帯電話のアンテナ部分を巨大化したような物だった。とにかくなんとかして動かしたいのね(笑))。

そんなことよりモトローラよ、StarTACをドコモに移植してくれ!

総論(亜米利加かぶれの理由)

 日本人からみたらちょっと現実離れしているようなことを本気で研究し、少しずつ(多少強引ではあるが)実現していく。それも企業レベルで。この気質はアメリカ人特有の国民性なのであろう。うらやましい限りである。敬意と尊敬の念を持ってこれを

Too Much Monkey Business!

と言わせていただくことにする。残念ながら日本ではこのような気質を企業レベルで持ち合わせている所はほとんどない。これが「真似が得意だ」と言われた日本の気質なのであろう。(SONYのグラストロンを見たときはちょっとうれしくなった)。

おまけ

 残念ながら「2001年宇宙の旅」のような宇宙の旅は2001年までには実現しそうもない。しかしいつかは必ずや(強引にでも!)実現するであろう。はやくパンナム航空のムーンバスにのって(制御端末はもちろんIBM!)宇宙ステーションへ行き、音声照合で入国審査を受け、地球の家族にテレビ電話をかけたいものである。技術の進化には緻密な研究が欠かせないが、それ以上に大胆な発想必要なのである。

人間は人間が想像したものしか作れないのだから。

 頑張れ亜米利加!、頑張れ日本!。僕は僕が生きている間にどこまで技術が進歩するかを見たいのだ(野次馬として)。ここ数年の出来事はさらにその数年前には想像もしなかったようなことばかりだ。どんなに時間や予算を費やしても良いじゃないか(僕は野次馬)。チェスの得意なコンピュータを作るのも良いが、もっともっと「腰が抜ける」位の凄いことをたくさん見せてくれ!!。