『今日はゴチ!』のはずが・・・(2003/08/10)

●雨男の本領発揮
 最近、絶不調ということで、長期放牧に出ているなか、ふいに持ち上がったオフミ話。ちょうど良い気分転換ということもあり、早速、関東メンバーへ通達、うっきさん、ごとっぴさん、KARLさんが参加の意思を示し、8月9日の土曜、決行となった。ところが・・・。週初めから、南太平洋上に現れた超大型台風10号が、まさに狙い撃ってきたかのように速度を微調整、8日〜9日にかけて、本州を縦断という最悪の事態に。それでも、「どうせ飲むのがメインだし、何とかなるかなー」と、8日の時点ではまだ雨天決行であったが・・・。
 9日朝、起きると、外は猛烈な強風に豪雨。既に心の中では「こんな日は出たくないなー」と、誰もが思っているだろうと思いつつも、起き上がろうとしていた矢先、40時間不眠不休で、ようやく今、家に戻ったという、うっきさんからTELが入った。そこで知らされた事実、『新潟中止』。これで気持ちは固まった。早速、ごとっぴさん、KARLさんに連絡。オフミ初の『順延』。明日10日にあらためて行うことに決定した。

●そんな金かけんでも・・・
 10日は仕事ということで、残念ながらKARLさんは欠席に。ということで、あれだけメールを廻したのに、気がつけば、うっきさんとごとっぴさんとの3人だけという、『関東オフミも地に落ちたな』と、ちょっと寂しく思ったものの、まあ、日程が合わなかったのだから仕方ないと諦め、気を取り直して、府中へと向かった。普段なら間違いなく、目を真っ赤にしたうっきさんが一番乗りのところ、今回は変則日曜開催ということで、私が一番乗り。台風一過の快晴のもと、まず向かったのは当然、新スタンド。全面禁煙という愛煙家にとっては辛い一角ではあったが、入るや、その豪華な内装にビックリ!。「たかが競馬にそんな金かけんでも・・・」「そんな金あるなら還元せぇ!」と、本気モード競馬オヤジにとっては無用の長物としか思えないその場所で、しばし馬券を購入することに。

●いきなりブルー
 ちょうど間に合ったのが新潟3R。3歳未勝利のダ千二戦だ。パドック(もちろんモニターで)をチェックすると、人気のスプリングラブがかなりいい。しかしここはローカル新潟。多少、好みとは違っても、敢えて『いかにもローカル』タイプの馬を狙ってみることにした。そこで注目したのがオッケイゴウ。ここからの馬連で勝負した。すると、レースでは後手を踏み、後方から。しかし、前が速くなるという読みもあり、これでOK。レースは予想通り、やや速い流れで展開される。向正面のアップ映像、後方組が映るや、オッケイゴウが後方から始動開始。しかし次の瞬間、口を割り、少し外へよれ、並走馬、更にその外の馬が多少下がる場面が。「ん?、ちょっとやらかしたか?」と思いつつも、レースに集中。直線に入り、先行した人気馬・マイネルフードゥーと人気薄馬・コウギョウサンダーが抜け出し、後続の伸びが止まる。するとそこへ、内から外へ持ち出したオッケイゴウが豪快に追い込んでくるではないか!。周囲が静まる中、久々に「差せ!、差せ!」と絶叫開始。コウギョウサンダーも押さえているだけに、「2(コウギョウ)も差せ!」と、まさに至福の絶叫!。そしてゴール前、コウギョウは伸びなかったものの、オッケイゴウはきっちり、マイネルを差し切ってのゴール!。「よしっ!」、小さく叫んだ。4ヶ月ぶりで前走が9着のオッケイゴウの差し切り。しょっぱなから高配当確実の的中に、心踊り、「今日は全勝か?」などと、ありえない妄想をかましつつ、優越に浸っているなか、場内から『審議』の発表が・・・。嫌な予感しまくりまくり・・・。一応、周囲に伏線を張っておこうと、誰も聞いていないであろうにも関わらず、「やらかしたかなー」、とぼそりとつぶやいておき、とりあえず4Rのパドックをチェックしていた。
 そして運命の場内アナウンス、「ただいまの審議についてお知らせします。5番・オッケイゴウは・・・」、この出だしのフレーズで全てを悟った自分。1着->14着降着。「何も当たった時に・・・」「もう帰ろうか・・・」「今日の運命は決まった・・・」、愚痴以外の何物でもない悲観的な感情ばかりが沸き立つなか、冷静さを欠いた4R(調子に乗って函館4Rまで購入)を外し、ますますブルーへと沈んでいった・・・。

●この御時勢だから・・・
 5Rのところでごとっぴさんが登場。特にお互い、どこで待ち合わせという連絡を取っていたわけでもないのに、きっちり新スタンドに入っていたことに、ちょっと感動。不精ひげをはやし、ワイルドな印象を与える今回のごとっぴさんだ。早速、この5Rに挑戦するも、初出走・スイートシェールの大駆けにお互い撃沈したところで、軽くメシを食うことに。ビックマックを頬張りながら、6R・2歳新馬のパドックをチェック。最近、穴狙いが板に付いてきたごとっぴさんだけに、ここは人気薄馬絡めての3連複ボックス勝負。一方、最近完全にひより気味の私は素直に人気馬・アフターミスティーから。さっさと馬券を購入した後、この新スタンドを廻ってみることに。中世ヨーロッパ風の美しい装飾に、吹き抜けのセンターに設けられた超大型ビジョン、エスカレーター脇に立ち、来場者に挨拶を続けるきれいなお姉ちゃん、、、とにかく、「そんな優越感、ここに必要か?」というものばかり(ビジョンはいるか)に、フジのF1戦略同様、素人獲得大作戦に躍起になっているのだなと、デフレ不況を抜け出せない今の日本を象徴するその姿勢に加えて、『全面禁煙』が象徴する『生粋の競馬オヤジ』の締め出し&イメージ回復大作戦があい交じり、どこか切ない思いを感じながら、「何で3Fは熱いんだ?」と冷房の効き具合の違いにも、少し戸惑ったりもした。

●トキノミノルよ、いずこへ・・・
 外は強烈な日差しでまさに夏。汗がどっと吹き出すなか、今度は新スタンドからメインスタンドへと、パドックを会して向かうことにした。まだスタンドからパドックの一区画が工事中ということで、フェンスに囲まれてはいたが、一段高い位置からしか、馬を見られなくなったことに加えて、ジョッキー控え室の位置も全く逆方向へ移動し、これまでのイメージが無くなったパドックを通り過ぎながら、ある重要なことに気付いた。 『トキノミノル像』が無い・・・。  工事フェンスに囲まれたなかにあるのかとも思ったが、とにかく、どこにも見当たらないのだ。集合場所のシンボルが無い・・・一体、どこへ・・・。  見慣れたメインスタンドへ到着したところで、6R発走間近。そこで、ターフビジョンの見られる位置に陣取り、レースを待っていた。するとそこへ・・・なんとうっきさんがいきなり登場!。ついさっきまで新スタンドにいたわけであり、何の連絡も取り合わずに、ここで会うとは・・・。うっきさんも真っ直ぐここへ向かったとのことで、まさに奇蹟の偶然に、思わず鳥肌が・・・。

●カーネギーまでは良かったが・・・
 迎えた6Rは、超スロー。そんななか、我が◎を含め、人気馬は後方待機。既に波乱の匂いがプンプン。その予感は的中し、人気薄・マリンボートが直線、早めに抜け出し、追い込んできたこちらも人気薄・ネクストシチーという4枠両頭での決着。2万馬券の大波乱となった。そんなこのレース、実はこのマリンボート、ごとっぴさんは本命にしていたのだ!。馬券はボックス狙いだったものの、普段は単複買いがメインだっただけに、単勝16倍を買い逃したことに超ショック。「カーネギーだったんだよねー・・・」。実は一つ前の5R、初出走でいきなり2着に突っ込んだスイートシェールも、実はカーネギー産駒であり、平坦巧者のこの産駒を狙い撃っていたのだ。まだ片目が開いていないという3連複を意識して狙ってきていただけに、「いつもと違うことしちゃ駄目かなー」と、早くも泣きモードだった・・・。

●間違えはしたものの・・・
 午後も淡々と進むも、皆、今一つ調子が上がらず、弾けた的中もなく、迎えた新潟10R・関越S。オープンのダ千八戦でありながら、7頭立てということでメイン落ちしたこのレース。頭数の少なさからか、うっきさんは目もくれず、私も見送りと思っていたが、パドックを見るや、ホシオーとイシヤクマッハがやたら良く見えたため、断然人気のクーリンガーを含めての馬単&3連複勝負に。そんななか、いつもの単勝勝負に打って出たごとっぴさんが、何やら馬券を見せつつ、泣き言を。「間違えたー!」、そこには、スナークレイアースと、そして、単勝1.9倍・クーリンガーの名前が。「イシヤクマッハと間違えた!」、、単勝1.9倍の単勝買って、どうする・・・。しかしレースは、代役・スナークレイアースから内から抜け出し、見事GET!。事無きを得た。

●お客さんだよ
 さあ、いよいよ3場メイン。なかでもお目当ては函館2歳S。先の無い馬が活躍することで有名な『使えない2歳重賞』だ。人気は、前走のラベンダー賞を快勝したナムラビッグタイム。2歳戦大ブレイク中、サクラバクシンオー産駒の旗頭だ。対抗するは新馬戦で最内強襲という味な勝ち方をしたフィーユドゥレーヴ。こちらはご存知SS産駒だ。そんななか、ごとっぴさんの狙いは、大好きなバトルラインに敬意を表してハイパーバトル。親父譲りのカチカチの走りが如何にもダート馬であるという忠告も無視して、夢を追いかけるごとっぴさん。一方のうっきさんも、既に軸馬は決めていた。そして、余計な一言を連発、「ナムラは『お客さん』だよ」。マイペースで逃げられないと脆いと読んでのこの発言。いつものことながら大胆だ。以前はその的中ラッシュに驚愕されっぱなしだったうっきさんも、仕事が忙しくなり、競馬に集中できない日々が続いたことで、既に普通の男に成り下がりつつあり、更に今日は、いつもの不眠不休によるハイテンションもなく、静かに外れ捲っていたわけであるが、ここは大勝負に出た。うっきさんの本命はフィーユドゥレーヴ。確信の◎だ。我々に向かって吐いた一言、「これが来たら、飲みはおごってやれるよ」、、、一体、どのぐらい張り込んでいるんだ・・・。思わず、「自分は当たらなくてもいいから、うっきさん、当たって」という、勝負師にあるまじき気持ち間で生まれてしまった、そんな私の◎は、パドックを見て、如何にも『先は無いが今日はいい』プリモスターから勝負に出た。
 この日のメインはどこも断然人気の馬がいたのだが、止まらないうっきさんの毒は尚も続き、新潟ではグラスステージに対して「お客さんだよ」とつぶやき、更に、小倉日経OPについては、「テンシノキセキはお客さんだよ」と、本気なのか自棄なのか、とにかく吐きまくり。隣にいたオヤジが、この発言を聞いて、ジロッと睨み付けたことに気付いたのは、私だけだった・・・。

●おごりーー!?
 メインのオープニングを飾るのが、いきなり勝負の函館2歳S。巨大スクリーンに食い入る3人。なかでもうっきさんは、いつものように、我々を置いて、前へ前へと、その巨体を揺るがしてベストポジションを陣取る。レーススタート。好ダッシュを決めたナムラビッグタイム、プリモスターを押さえて、内から遮二無二、ハナを切ったのはハイパーバトル。ごとっぴさんの夢を乗せて、勇躍先頭だ。うっきさんの◎フィーユドゥレーヴは、ラベンダー賞2着、道営フラワーサークルをマークする形で好位を追走する。淀みない流れで3コーナーから4コーナーへ。ここで早くもハイパーバトルがいっぱいに。早すぎる夢の終焉に、ごとっぴさん、声も出ず。大外を抜群の手応えで廻ってきたのはフラワーサークル。抑え切れないぐらいの勢いで先頭に並ぶ。その直後にはピッタリとフィーユドゥレーヴがマークし、虎視耽々。内外の差で、ナムラビッグタイムが先頭で4コーナーを廻り切り、我がプリモスターも馬場の真ん中に突っ込んできた。まさに4頭の競演!。迎えた直線、内で粘るナムラ、真ん中を進むプリモを差し置き、外の2頭、フラワーとフィーユが一気に突き抜け、2頭のマッチレース。最後はフィーユは交わして、見事に勝利した。ゴール板を過ぎていく馬たちを眺めながら、私の頭の中には、既にこの言葉だけが浮かんでいた、「今日はおごりだ」。しばらくして、モニター近くに陣取っていたうっきさんが戻ってきた。しかしその顔には笑顔もなく、無表情のまま。「何、ダンディに決めてんだ、このヤロー」と心の中で思いつつ、逆にこちらの方が興奮気味に、「やったじゃん!」と声をかける。それでもうっきさんのテンションは一向に上がる気配が無く、これはもしかして、「2番人気・フラワーとの組み合わせはそれほど突っ込んでなくて、おごれる程ではないのか?」とも考えた。そんなうっきさんが、ちらりと自分の新聞を見せる。何とそこには、さきほど、「これは来ない!」と断言し、赤く塗りつぶしたナムラビッグタイムを始め、ほとんどの馬に斜線が引かれるなか、2着のフラワーサークル、更には3着のミュージックホークまで残っているではないか!。こ、これは・・・馬連?、馬単?、、もしや、3連複?・・・。それでも結論を言わないうっきさん。一体、どこまで我々を引っ張るんだ・・・。あくまでもったいぶる、うっきさんであった。
 その後、新潟、小倉と進み、新潟は私がこの日、何気に3本目の的中。小倉はうっきさん曰く『お客さん』のテンシノキセキが圧勝での安配当。後は一発逆転を狙う最終Rを残すのみとなった。

●まさか・・・
 最終Rの馬券を購入し、モニター前へ戻ってくると、うっきさんが、何やら馬券を見せるではないか。それは例の函館2歳S。さてさて、どのぐらい張り込んでいたのか、、見せてもらおうじゃないの。どうやら馬券は馬単、当然フィーユドゥレーヴからの流し。本線にはカフェヴィンセント。これはまあ、仕方ないか。おっ!、3着・ミュージックホーク、押さえてるじゃないの。これが来てたらでかかったなー。次は、次は、、ん?、、ん!?、、、無い、、フラワーサークルが無い!。思わず顔を上げる私。「買ってないんだよねー」、信じられない言葉がうっきさんから漏れた。何故だ・・自分で言ってたじゃないか、「あのラベンダー賞、ナムラとフラワーは内外の差だけだ」と。それなのに・・・。まさか『抜けている』などと想像すらしていなかった私、『おごり』の三文字が音を立てて崩れ落ちた瞬間であった。

●明暗
 迎えた最終R。新潟には、密かに我が『現役No.1お気に』と言えるパラギャングが登場。地方2戦を惨敗し、完全に人気薄。単複厚めの馬連勝負を仕掛け、一発逆転を狙ったものの、敢え無く撃沈。残すは小倉だ。最後の最後で大逆転を狙い、私は◎プラントヒロム−○シャトーアローに厚く勝負。ごとっぴさんはシャトーアローから、うっきさんは、岩田の腕っ節での逃げ切りに期待して、人気薄・ロニーサンライズからの勝負だ。そしてレース、予想通り、ロニーサンライズがハナを奪い、プラントヒロムは絶好位を追走。レースは淡々と進み、直線へ。ロニーがいっぱいになるなか、プラントが内から早々と先頭。これはいただきだ。しかし次位勢に押さえている馬がいない。やばい!、また抜けるか・・とそこへ、大外からシャトーアローが飛んでくるではないか!。「いけー!、差せー!、差せー!」、ごとっぴさんとともに絶叫する私。その願いが通じたか、更に勢いを増し、2番手に浮上したシャトーアロー。「よっしゃー!、そのままだー!」、至福の瞬間だ。しかしそこに、一緒に上がってくる馬がいた。インパルスシチーだ。「よっしゃー!、そのままだー!、そのままだー!、、、あーー、お前は来るなーー!」、、ゴール寸前、異様に外が伸びる今の小倉。まさかまさか、2頭が揃って、きっちり、プラントを交わし去っていった。「ひぇーー!、何だよーー!」、思わず笑ってしまった自分。最後の最後に強烈なカウンターパンチを食らってしまったわけであるが、この、ある意味、『やるだけのことはやった』という達成感ともいえるこの爽快感こそが競馬の醍醐味なのかなと、久々に『競馬の楽しさ』を体感できたと思った。

●またやろう
 武蔵野線に揺られ、南浦和まで戻ってきた3人、向かった先は居酒屋『魚民』。たまには『祝勝会』といきたいところであるが、実際は毎度の『残念会』。この『1杯めのビール』を味わいたくて、オフミをやっているようなもので、早速、乾杯。ところが、この日はどうも冷えが今一つ。感動も8分咲きだったのがちょっと残念。それでもまあ、いつもどおり、わいわい楽しんだわけである。
 やはり『不眠不休』での強行参戦で無いと調子が出ないと決め付けられたうっきさんに、愛猫ニーニちゃんの予想大会優勝により、『真面目に予想している自分って何?』と不信感から脱し得ないごとっぴさん、そして、完全に『競馬を純粋に楽しんでいた以前の自分』を見失っている今の私と、それぞれが悩みを抱えながらの今回のオフミであったのだが、何だかんだ言いながら、かなり楽しく終えることが出来た。一度、ここまで『のめり込んだ』趣味である。競馬場に足を運び、仲間達と語り合うことは、大きな刺激である。
 今回、参加できなかったメンバーも含め、『また9月にやろう!』。今回、不参加だったメンバーの多くが、『9月なら』という言葉をもらっていたため、『その方向で進めよう』と、メールでは書いてはみたものの、実際はそんな短いスパンで企画はしないかなー、とも思っていたのが、この日の朝までの本音であった。しかし、こうして、実際に集まって、わいわいやれば、やはり『競馬は面白い』ことが味わえる。まだ、私の情熱も腐っていないんだな・・・。やろう、また、やろう、9月に・・・。