しょざわくんのどろどろ競馬] [真実の行方

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2001/06/06・競馬が好きでしょうから、勝って欲しい・・・事の真相
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 先週日曜の予想のところで、「今回の予想には第三者の思惑が絡んでいる」と書いた。これまで、他人の予想に惑わされずに、自分の思うが侭に予想すべしと語ってきた私だけに、信念への裏切りのようなこの発言を、わざわざ載せなくても良かったのだが、事実だけに、隠すことなく話すことにした。一体、何が・・・事の真相をここに載せる。
 最近、BBS上にて「業務連絡」なる怪しげな言葉が飛び交ったことに気付かれたであろうか。実は先日、突然、某C氏から、B理論で有名なM氏がセミナーを行うので、出てみないか?と誘いを受け、そのセミナーが先週の土曜にあったのだった。自身の予想スタイルとはあまり関係無いものであるが、これも一つの経験とばかりに承諾した。C氏と会うのは、あの福島オフミ以来であり、また、セミナー会場が水道橋ということで、WINSにて軽く手合わせしてからということになった。本当はいつもの関東オフミも兼ねて出来ればと思ったのだが、そのセミナーが予約制で人数が限られていたため、今回は二人でとなった(関東メンバーの皆さん、近日、やりますからね)。
 C氏の意向もあって、WINS後楽園の「禁煙」の馬券売り場で昼過ぎに待ち合わせであったが、多少遅れるという連絡を受けたため、先に一人で軽くレースを始めていた。しばらくしてC氏も到着し、特別戦から互いにお遊び程度で競馬を楽しんだ(結果は聞かないで・・・)。
 最終R終了後、セミナーまでまだ2時間弱の余裕があったので、FF店で、互いの近況や、明日に迫った安田記念の検討などで時間を潰し、いざ、18時からのセミナーへ参加した。実は当初、変な勧誘をされたり、著書を無理矢理買わされたり、そんな、いかがわしいことも想定し、気を引き締めていたのだが、C氏の話で、M氏がかなりの御大であることを知り、考えすぎだったかと反省。某日刊紙にコラムを持つほどの方で、関西ではかなりの著名人でありながら、関東ではあまり馴染みの無いだけに、逆に今度は、「人がいなかったらどうする?」と心配していたのだが、いざ、会場に行くと、それなりに人が集まっており、ほっとした。
 160名ほど入れる中規模の部屋の丁度中心あたりに陣取った我々に、いきなり、あるレースの馬柱と的中馬券のコピーが廻ってきた。見ると、園田での馬単10万馬券と、先日の船橋・かしわ記念の馬単万馬券の的中馬券だった。なかなか効果的な演出じゃないか・・・。
 いよいよ御大・M氏が壇上に上がり、セミナーの開始である。実はバリバリの若い人を想像していたのだが、その実際は、優しそうなおじいちゃんといった感じ。特に話す内容を決めてあるという感じもなく、壇上廻りに陣取った、馴染みの信者と、軽い掛け合いをしながら、これまでの的中実績を例に、自身の予想理念などを、ホワイトボードを使いながら、話していった。
 B理論というよりも、前半を、御自身がどのように馬券を買うのかといったことに主眼を置き、後半は、日曜の狙い目についての話に終始したこのセミナー。詳しい内容は控えさせていただくが、要は、勝負Rと遊びRを見極めることの重要性を唱え、日曜の勝負Rについて具体的に話してくれた。
 そのため、B理論派では無い私にも、かなり有益だった。そして何より、M氏の人柄に惹かれていた。年間○千万を稼ぎ出し、多くの信者を持つ彼。しかし、彼は一貫して、「自分は馬券下手だ」と語っていた。また、「競馬は外れるのが普通」「馬券は捨てるもの」であるとも語っていた。更には「自分を信用していない。だから数値(長年に渡る統計)を頼る」とまで語った。こういった考えだからこそ、彼は穴を買うと言う。「5倍やら8倍といった馬券を買う気にはなれない。何故なら、外した時にそれを取り返す自信が無いから」と。「狙うなら30倍以上。30回のうち1回入れば良いのだから・・・」。何十年にも渡る統計&研究&経験により自然と身についた狙い馬への嗅覚を、謙虚さと気楽さから来る大胆な攻め予想に生かし、これほどの実績を挙げているのではないかと感じた。
 本当に人の良いおじいちゃんといった感じだけに、年間いくら稼いだとかあれを的中させたといった自慢話も、全く嫌みに聞こえず、逆に、ほほえましく聞いてしまったのは、最近、田舎へ帰っていない私の郷愁だったのかも・・・。
 しかし、これだけでは勿論、「第三者の思惑」を自身の予想に反映することは無かった。逆に、こういった理論に負けないために、更に捻くれた予想に走ったかもしれない。では何故・・・。彼は最後にこういった言葉を残した。

 「競馬が好きでしょうから、勝って欲しい」

 何故かこの言葉に震える思いがした。私はこれまで勝ち負けにこだわらない競馬の楽しみを伝えようとしてきた。実際、この気持ちは今でも変わりが無いし、ギャンブルという狭い域を超越したものが競馬にはあると信じている。これは、金儲けにばかり囚われる方に、真の競馬の楽しさ、サラブレットが持つ美しさを感じて欲しいと思っているからだ。しかし、M氏は決して金儲けにこだわっているわけではなく、純粋に競馬を楽しまれているようであった。そんな彼から出た言葉だけに重く受け止めた。私の考えが、負けたことへの一種の慰めであり、負けた痛みを緩和させ、金銭では無い満足感/充実感を味わうための「癒し」であるように、「敗北」が前提にあると言える(勿論、勝利時の充実感を倍増するというのが真の目的でありたいのだが、その実はやはり敗北への癒しだろう)。好きだから勝って欲しい・・・。根源的な欲求「勝ちたい」を皆に味合わせてあげたい・・・競馬が好きだから・・・。これだけのセミナーを無料で開き、何の勧誘も販売も無く、ただ雑談感覚で終わった、寛大なM氏のこの言葉に、「のってみようかな」と感じたとしても、何の不思議も無いことだろう。これが日曜の予想となった。
 予想は、M氏がセミナーの後半で、東京の全Rと中京の特別戦について、狙い馬を各R、堅軸馬/有力馬/穴馬といった感じで数頭ずつピックアップされたので、それを基に、自身の普段の予想を織り交ぜて弾き出したわけである。結果的には、私の予想は実を結ばなかったが、決して後悔していない。あれだけ楽しくて有意義なセミナーに参加させていただいたのである。参加費と考えれば安いもの。それに、今回の経験はいつか必ず実を結ぶはず。30回のうち1回入れば良いのだから・・・。
 最後に、私は実を結ばなかったが、M氏の理論は、中京で好調であり、また東京6Rの万馬券を見事に仕留めていたことをお伝えしておく。