[中山・スプリンターズS (1998/12/20)]

◎マイネルラヴ
○シーキングザパール
▲トキオパーフェクト
△タイキシャトル、ワシントンカラー、ケイワンバイキング、スタープログラマー

 中山と阪神・・関東と関西・・中央と地方・・日本と世界・・・・毎週どこかで競馬は行われている。それぞれの環境・状況のなかで、全く異なる馬が走り、全く異なる人間がそれを楽しんでいる。そして、それぞれのなかに、競馬の「流れ」というものがある。各競馬場の流れ・・各国内の流れ・・そして、世界の流れ・・・一見、全く因果関係の無いこれらの流れが、一つに繋がっているかのように見える瞬間がある・・・。世界を驚かせたラムタラの英国ダービー制覇の同じ年、日本でも2戦2勝の無敗馬・フサイチコンコルドが頂点に立っていた。この奇妙な流れの一致は、決して偶然で起こったものではないはず。そしてこれは、時間と空間を超越して成立する。先週行われた4歳ダート路線の最終戦・ダービーGPで、無類の強さを誇っていたウイングアローが2着に敗れた・・・。土曜、新障害王に君臨するはずであったノーザンレインボーが落馬した・・・。理屈では語れない見えない力・・・「彼」はそれを打ち破ることが出来るであろうか。
 レース後に引退セレモニーが行われる異様な状況となった今年のスプリンターズS。衆目が全て、タイキシャトルという一頭のサラブレットに向けられる今回・・・。しかし、今回はあまりにも危険な要素が多い。ベストではない千二戦、体重増で鉄砲好走しながら今週も馬なり調教という典型的な「二走ボケ」パターン・・・マイルCSでつけた5馬身という着差が、二走ボケで1馬身に縮まるだけかもしれないが、隙ならば付け入っていくのが穴党の宿命である。ここでは「挑戦」の△とした。
 では本命は何か。軸選定に入ろう。往年の力疑問のエイシンバーリンと、準OPのエクボのハナ争いならば、王者より前で楽に競馬ができるトキオパーフェクトが最も恐い存在であるが、厳しいGTだけに、千四・千六でしっかりした実績が欲しい(千六を勝っているが相手が弱かった)。故に、「一発逆転」の▲とした。
 他に、Hペースにも楽に追走できて、終いもしっかりしている距離実績もある馬はいないか・・・いた!本命はマイネルラヴ。昨年の朝日杯3歳Sでも◎に推したこの馬であるが、当時の根拠をそのままここにも当てはめられる。この馬は切れる脚が無いものの、どんなHペースでもついていき、終いまでバテない粘り腰がある。同様のパターンとして、タイキシャトルが今年のマイルCSで直線で一気に突き放したあの脚が該当する。凄い切れに見えるだろうが、自身の上がりは36秒0なのだ。例年、前後半で2秒近くのラップ差のあるこのレース。マイネルラヴのHペース対応力が「切れる脚」を錯覚させるはずだ!「自信」の◎。
 対抗には、力でタイキシャトルをねじ伏せる可能性を秘めた馬を挙げたい。ならば当然、シーキングザパールだ。マイルCSで、唯一、王者より先に動き、真っ向勝負を挑んだ彼女。そこにプライドを感じた。あのHペースでもかかるそぶりを見せるほどのスプリント能力の高さ。鞍上も最上のパートナーに戻り、無様な競馬はできない。この馬も仏GT馬なのだから。「願望」の○。
 その他として、低レベルであったCBC賞組を軽視したいところだが、とんでもない調教時計と抜群の中山実績から取り上げることにしたケイワンバイキングと、状態の良さと中山相性からワシントンカラースタープログラマーに、「夢」の△を打った。

[買い目] 10-単複 & 10-3-9 BOX & 10-13,8,1,2


  [予想に込めた想い]
果たして今後、これを超えるものを生み出すことができるかわからないが、私にとって、「競馬をやっていて良かった」と、いつまでも思わせてくれるものである。

スプリンターズSを振り返って(当時の[はんせい]より)
 王者に対して真っ向勝負を挑んだマイネルラヴ、自分の持ち味を最大限に発揮させたシーキングザパール、王者としての誇りを胸に最後の最後まで諦めずに走り続けたタイキシャトル・・・本当にありがとう。あんまり書いても何なんで、日刊競馬・柏木集保氏がレース後に語ったコメントで締めたい。

中央競馬ワイド中継(関東ローカル)より・・・柏木集保氏
「 ・・・去年と大体同じ流れ、タイキシャトル大体同じ位置どり、で勝ち時計が1分08秒6。そうするとわかりますよね。 タイキシャトルだけは去年より約1秒近く、コンマ8、9遅いんですよね。走れなかった・・・。 で、他のグループがタイキシャトルを負かせるほど強かったのかというと・・勿論、その、マイネルラヴシーキングザパール誉めなくてはいけないんですが、何せ1分08秒6という時計が示すように。で〜、他のレースとの比較で、異常に時計がかかるコンディションでは無いと思うんです、気持ち時計がかかるだけ。 ですから、結論とすると・・・その、まあ、勝った馬を誉めなくてもよいというのがありますからね。タイキシャトルをあれすると、タイキシャトルだけが、何故か走れなかった。マイネルラヴシーキングワシントンカラーも、大体みんな、程度の差はあれ、こんなくらいだと思うんですよね。ですから、良馬場のスプリンターズS・GTとすると極めて遅い勝ち時計になったのは、タイキシャトルだけが凡走しただけで、これは不思議だ・・・。ということはありますけどね。・・・ 」

・・・これが二走ボケである。冷静なレース分析に定評のある、あの柏木氏が、「誉めなくてはいけない」と言いながら「誉めなくてもよい」とも言ってしまうほどの動揺であった。

日曜中山11R・スプリンターズS


◎ 10.マイネルラヴ − ○ 3.シーキングザパール
[単勝]10. 3,760 × 6
[複勝]10. 350 × 5
[馬連]3-10. 15,920 × 10
最高のレースをありがとう・・・


「何だよ、たった\1,000か」・・・笑ってやってください、あはははは。予想では偉そうなことを言っていても、やっぱりタイキシャトルは恐かったわけである。ただ、これでも私にとっては最高払戻である・・・。