[東京・共同通信杯4歳S (1999/02/14)]

◎ヤマニンアクロ
○グラスグラード
▲ドラゴンブライアン
△エイシンウインダム、リザルトシチー、アグネステンオー、マチカネテルテル、サウンドオブアース

 競馬とは一種の暗号ではないか・・・。現在、実に3度目となるのだが、「らせん(鈴木光司著)」を読んでいる。もうご存知かと思うが、これは、ベストセラー小説であり、昨年映画化もされた「りんぐ」の続編である。この物語のなかで、主人公である外科医の安藤が、死んだ友人の体内から発見された謎のウイルスを分析にかけた際、そのDNAに、ある決められたパターンが含まれていることを知り、これが死者からの「暗号」ではないかと考え、解読するシーンが出てくる。
 暗号には、別の文字や数字に置き換える「換字式」、並び順を変える「転置式」など、いくつかの種類があり、これらを一つ一つ当てはめていくのだが、これらの解読における重要なキーワードとして、「試行錯誤」「ひらめき」「デッドエンド」という言葉が出てくる。「試行錯誤」とは、そのまま、いろいろなパターンを試して見る事、「ひらめき」とはふとしたきっかけで浮かんだ直感を大切にする事、そして「デッドエンド」とは、一つのパターンばかりに深入りせず、あるところまで行き詰まった時には、発想の転換をする事である。
 考えてみれば、競馬というのも、一種の暗号ゲームのようなものだ。一つとして同じもののない各馬の競走成績、現在の体調を推し量る調教、メンバー次第で変化する展開、コース・距離・季節への適正を読み取る推理・・・これほど複雑に入り組んだ暗号ゲームは他に無いだろう。ということは、上記した3つのキーワードが、予想にも十分役立つのではないだろうか。「試行錯誤」と「ひらめき」というのは、必然的に行ってきたものであるが、「デッドエンド」というのは、意外な盲点だった。これまで、何時間にも及ぶ新聞との睨み合いをしてきたこと数知れず。しかし、必ずしも好結果を生んできたわけではない。今後の重要なポイントとしていこう。
 さて、今年の共同通信杯4歳S。ビワハヤヒデナリタブライアンタヤスツヨシなど、クラシックにつながる重要なレースであったこのレース。しかし昨今は、外国産馬の活躍が目立っており、以前とは傾向が変わってきた。今年も、外国産馬が人気の中心となっているが、やはりここは、クラシックにつながる馬を狙っていきたい。
 本命はヤマニンアクロ。夏の函館でのデビュー以来、一貫して中距離に的を絞ってきたように、初めからクラシックを意識してきたこの馬。デビュー戦でいきなり上がり34秒8をマークし、2戦目となった函館3歳Sでも先行馬のなかで唯一粘りを見せて5着に入るなど、その非凡さをアピールしてきた。前走の東スポ杯3歳Sでは、スローに落とし過ぎたため、決め手ある馬に脚元を掬われてしまった。しかも勝ったのが、後のGT馬・アドマイヤコジーンであり、それと0秒3差4着ならば上出来。更には、積極的な競馬を見せた2走前の百日草特別でマークした千八・1分48秒7を再評価すべき。有力馬が差し脚質なのもこの馬にとって絶好であり、4年前に、後のダービー馬を完封したナリタキングオーの再現を狙いたい。
 相手には、距離延長、初コースと課題はあるものの、それを吹き飛ばす勝ちっぷりを見せたグラスグラードを挙げたい。デビュー戦当時から器の大きさを感じさせたが、前走の勝ちっぷりも強いの一言。あの混戦状態を抜けた脚で馬群を割ってくるあたりは、並外れた勝負根性があるからこそ。決して距離伸びて良いタイプではないが、器の違いで何とかなるだろう。
 既成勢力であるマチカネテルテルの前走内容も非常に良く、捨て難いが、やはりここは、新勢力の台頭にも期待したくなる。そこで、一発ありと見たのがドラゴンブライアン。デビュー戦のレースぶりは見ていないのだが、調教の模様を見る事ができた。その走りを見て、「なるほど」と思わせるものを感じた。不気味な一頭だ。

[買い目] 5-単 & 5-13-11 BOX & 5-1,7,9,10,12


  [予想に込めた想い]
究極の抜け〜第二章〜。昨夏に続いての10万馬券抜け。不思議なもので、レース後、薄笑いを浮かべてしまった。

先週を振り返って(当時の[はんせい]より)
 究極の抜け・・・この言葉を今年も書くことになろうとは。
 当初は堅く収まるのだろうと考えていた共同通信杯。ヤマニンアクロの◎は決まっていたし、また当然、この馬もそこそこの人気だろうと思っていたからだ。相手も、外国産馬で決まりだろうと・・・。しかし、京成杯・ジュニアCと、レースを振り返っていくうちに、どれもこれもぴんと来ない。始め、新聞にはマチカネテルテルに○を打ったのだが、やはりこの馬、結局、掲示板前後で終わってしまうのではという危惧を感じ、他の有力馬を探した。しかし、どうしても見つからない。時間ばかりが過ぎてゆく。結局、押し出されるようにグラスグラードドラゴンブライアンが○、▲に浮上したのだった。日曜の朝を迎えると、妙な胸騒ぎは更に強くなり、思わず、ふじげんさんのところに、大波乱の予感を書き込んでしまったのだった。
 中京メインをGETして、気分良く迎えたこのレース。スタートするや、願い通りにヤマニンアクロがハナを切り、直後にリッキーワールドフライングキッドが続く。その後は少し差があって、エイシンウインダム以下が続き、注目のグラスグラードは中団で今一つ流れに乗れていないようであった。ソウシュンにいたってはのんびりとしんがり追走。このあたりから「先行馬は間違いなくバテるから、こりゃ、まじでいけるで〜」と徐々に興奮してきた。3コーナーに入り、外めをじわじわとメイショウパシオンが動いてくるのが見えた。一瞬、嫌な予感。「頼むから来るなよ」と願うが、それを待つこと無く、大外からグラスグラードが凄い勢いでまくってきた。「あっちゃ〜、こりゃ、くるか?」・・・しかし、まだ勝浦の手は動いていなかった。
 直線を向いても、後続の脚色は今一つ。「こりゃ、いけるで」と、何故か今回は余裕のスタンス。しかし・・・馬群を割って上がってくるメイショウパシオン、大外からぶっ飛んでくるソウシュンを見て、「あ〜、また連を外した」と直感し、早くも脱力感。「せめて単勝だけでも」という願いは通じ、どうにか勝ってはくれた。しかし、2着争いを制した馬にゴール寸前まで気づかなかった。「キンショウテガラ???」・・・「あ〜、500倍はついてんだろな」などと力無く笑うしかなかった。しかし、配当を見て、思わず飛び上がった!・・・「11万だと〜」・・・いやはや、またでっかいのを逃したもんだ。
 昨年の札幌3歳Sで◎マイネルプラチナムからいきながらスタートマーチが抜けて10万馬券を取り逃して以来、2度目の究極の抜け。まさかこんな早い時期に同じ過ちを繰り返すとは・・・我ながら情けない。しかしそれよりも、この2つのレースは、妙なつながりがあるのだ。札幌3歳S当時の[はんせい]のところに挙げた次走の狙い馬が、なんとヤマニンアクロなのだ(はんせいベストセレクション98の「究極の抜け」をご覧ください)。しかも、どちらも直線半ばで勝ちを確信していたのを、同じ黒帽の馬に玉砕されたもの・・・不思議な因果関係だ。

的中 (PATによる購入のため馬券は無し)

日曜東京11R・共同通信杯4歳S
1着 ◎ 5.ヤマニンアクロ
[単勝]5. 3,300
[複勝]5. 710
展開だけではない勝利・・・


不的中 (見事に外れたため馬券は無し)

日曜東京11R・共同通信杯4歳S
◎ 5.ヤマニンアクロ − − 2.キンショウテガラ
[馬連]2-5. 114,650 × 0
まさかの究極の抜け 〜第二章〜・・・