[東京・アルゼンチン共和国杯 (1998/11/07)]

◎エーピーランド
○サンデーカイザー
▲グラスワンダー
△ミラクルタイム、ヒカリサーメット、マイネルパスポート、インターフラッグ、マーベラスタイマー、他総流し

 もう何も語る必要は無いだろう。府中の杜からはじまる、夢、大樹への第一歩・・・。舞台は整った。
 JC、そして有馬記念へとつながるステップレースとなった伝統のハンデ戦・アルゼンチン共和国杯。当然、本命はエーピーランド。準OPの身でありながら、昨年の目黒記念4着、ステイヤーズS3着と重賞で好走してきたこの馬。今年に入ってもその勢いはとどまることなく、関ヶ原Sではサンライズフラッグと、日本海Sではダイワテキサスの2着と好走している。
 この馬はレースの格・レベルが高ければ高くなるほど、能力を発揮するタイプ。それが、重賞で好走しながらも未だ準OPに収まっている由縁である。エンジンのかかりが遅いため、このぐらいの距離はもってこい。しかも52kgとハンデにも恵まれた(勿論、別定でも勝てると信じているが)。つまり絶好の舞台なのだ。文句無し、衝撃的な17頭ゴボウ抜きの差し切りを期待する。
 相手は一叩きしたサンデーカイザーグラスワンダー

[買い目] 8-単複 & 8-11,13 & 8-3,9,12,14,18 & 8-ALL


  [予想に込めた想い]
私にとって彼は最高のパートナーだ。彼のおかげで私の名前を憶えてくれた方もいるだろう。特にこのレースは、私に本当の夢を見せてくれた、かけがえの無いレースとなった。

先週を振り返って(当時の[はんせい]より)
 全てはチャー並木さんの一言からはじまった・・・エーピーランドが勝つのを見に府中へ行きませんか」・・・。
 午後にトキノミノル像で待ち合わせ、早速、勝負を始めた。午後最初のレースをいきなりチャー並木さんが2点で仕留め、一気に資金稼ぎに成功。対称的に私は全くとんちんかんな狙いをしていた。淡々とレースは進んでいくも、私のトーンは下がったまま。チャー並木さんには何度も「嵐の前の静けさですよ」などと励まされつつ、淡々とこなしていった。結局、京都9Rを元返ししただけの状況のまま、東京の準メインまでが終わった。ここで、京都の準メインを買っているチャー並木さんに「じゃ、やつを見てくるよ」と言い残し、パドックへと一人向かった。東京メイン・アルゼンチン共和国杯には、人気者・グラスワンダーなどがおり、スタンド側は既に埋まっているため、掲示板側に廻り込んだ。そして、彼の姿を探した。いた!初めて着けるブリンカー姿も凛々しく悠然と周回していた。さすがOPのツワモノ揃いだけに、抜けて目立つというわけでは無いのだが・・・「やはり美しい」。田中勝が背に跨り、最後の周回を終え、彼はパドックから消えていった。
 返し馬を見にスタンドへ一気に出ると、チャー並木さんが近づいてきた。「あいつはどこに?」という問いに指を差して応えたとき、彼が我々の前を他の数頭ともに走り去っていった。私には最高の返し馬に見えた。ひょっとすると・・・。
 ファンファーレが鳴り、鼓動が高鳴る。すんなりとゲートに収まる18頭。そしてゲートは開かれた。無難にスタートを切った彼を、鞍上は、いつもよりも前の位置・中団馬群の内に馬を入れた。「いい位置じゃない?」と2人ともうなずく。サージュウェルズがハナを切るスローな流れ。ブリンカー効果なのか、いつもより彼の走りに気合いがこもっているように感じられる。レースは淡々と進み、3コーナーへ。いつもなら置かれ加減になるところだが、これまでにない抜群の手応えで徐々に外へ持ちだそうとしている。「上手く持ち出せよ〜」それだけを願わずにはいられない。そして直線入り口。我慢に我慢を重ねたグラスワンダーが馬なりで先頭に立つのと、ほぼ時を同じく、鞍上は絶妙なタイミングで彼を外へ持ち出した。「くる!」という願望とも直感とも取れるものを感じた。ターフビジョンに映し出される映像が、内から抜け出したグラスワンダーから外へと移動していくと、そこに彼の姿があった。私より先にチャー並木さんが反応した、「きたよ!」。更に外から脚を伸ばすユーセイトップランと馬体を併せての叩き合い。「差せ〜、差せ〜」と2人で絶叫する。チャー並木さんまでもが絶叫してくれているのだ!。長く感じられたこの叩き合い、言葉にならない声で絶叫する自身の姿を他人がどう見ていたのだろう・・・しかし、そんなことに構うことなく叫び続けた。そして馬体を併せたままでのゴール・・・微妙ではあったが、2人とも、彼が敗れたことを認識していた。「惜しかったね・・・」確かに惜しかったし、悔しかった。しかし、これほどの絶叫は初めてだったし、何より、彼が期待に応えて激走してくれたことが、何より嬉しかった。

 以前、hirayanさんが競馬について、このようなニュアンスのことを述べてくれた・・・「我々は、将来を予測する愉しみ、そしてそれが現実となったときの喜びのために、競馬をしている」と。いつの日か、彼が夢を掴むことを信じ、彼のことを応援してきた私にとって、至福の一日であった。

 目黒記念のときも、赤富士Sのときも、大粒の雨が府中の杜を霞ませていた。この日も予報は午後から雨であった・・・しかしこの日の杜に雨が降ることはなかった。

 しかし、これで終わりではない、これからがはじまりである。

ステイヤーズSで念願の重賞制覇→有馬記念でを大樹

 今回は府中へ行く予定はなかった。チャー並木さん、ほんとうにありがとう。最後に・・・総流しって、たまにはいいかも・・・。

土曜東京11R・アルゼンチン共和国杯


− 2.ユーセイトップラン − ◎ 8.エーピーランド
[複勝]8. 490 × 50
[馬連]2-8. 41,270
夢はこれから・・・。