蘭の会9月号



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□蘭の会2005年9月号おてがみ橘安純さんより


生きること         


女性詩人の作品で読んだことのあるのは石垣りん、栗原貞子ぐらいですね。作品を私の編集する冊子に掲載させてもらったので栗原さんとは手紙のやりとりを したことがあります。

私は大阪のある都市公園に小屋を建て、たまに日雇い仕事をしながら生活しています。「野宿生活」をテーマに詩を作り、朗読しています。初めてこの公園に ブルーシートのテントを張ってから今年で6年目になる。今は拾ってきたベッドのパネル等を使って、開閉式天井のある木造の小屋になっている。オオカミに 襲われても大丈夫だ。以前、ダンボールの家を蹴られ、テントの支柱を引っ張られ破壊されたことがある。周囲に緑は多いし、家賃は払わなくて良いし、一戸 建てだから夜間うるさくしても文句来ないし、アウトドアー生活を満喫している。難を言えば公園当局が一年に何度か「消毒、清掃」を名目に一度小屋を解体 しなければならないことだ。公園当局はバリケードを張り新しくテントを作ることは許されないが、現在居る人にういては黙認してくれている。しかしそれも 今年度までで、その先どうなるかは分からない。

ホームページを友人に作ってもらった。自分でもブログを開設したが、インターネット喫茶でしかパソコンにさわれず、書き込みが思うようにはいかない。使 わないノートパソコンがあれば譲ってほしいブログを充実させたい。

http://hexageon.cool.ne.jp/ikiru/ikiru_index.html
http://ikiteikite.exblog.jp


□橘安純さんの詩を読んでみよう!!!

野宿生活 春夏秋冬

    夏
ダンボールどろどろ布団しめった青い雨
雨ふられダンボールハウスとけた
地球に寝てるから雨ふって川の中

一つずつ はずかしさ消して路上に寝る
お恵を受けることまったく遠慮しなくなり
腹へったギラギラ太陽 水をガブガブ飲む
炎天炊き出しの長〜い列だれもしゃべらない

見知った顔だんだん陽にやけてきた
見知った顔だんだん疲れてきた
見知った顔だんだんしわが深くなる
見知った顔    生命力が弱くなり

ごみ ほこり 汗しょんべん人間の臭い

生きている星空ひとる公園野宿
生きている星空ひとる公園野宿

    秋
野宿者のうえ風ふきぬけて落ち葉ちる
木の葉ちる その日暮らしが長いので

路傍にて命よせあいやっと生き
見て見ぬふりされ 路傍の石となる
路傍石になれきれず 時に反撃

横になりほっとするダンボールの我家
カラス鳴きサイフからっぽ秋の暮れ
夕焼けに捨てたつもりが涙する

風ふきぬけるけど仲間いるから道端に寝る
風ふきぬけるけど仲間いるから道端に寝る

    冬
北風みんな速足 どこに帰る
   私の帰るところはここ道端
寒さにふるえ夜中じゅう歩き回る
   夜が明けていよいよ寝入る宿無し

いまから春を待っている
暖かい冬 死なないでいる
冬支度できないまま冬すすんでく

あの人はこの冬を越せるのだろうか
餓死凍死雨に打たれて衰弱死
酒あびて凍死した友 安楽死
死ぬな 生きて生きて生きろ

あてなくあるいて一日くれて
何もかも重たくなって歩く冬

冬銀河 百円玉の重さ知る
冬銀河 百円玉の重さ知る

    春
陽がさして小鳥さえずり覚める朝
朝の公園煙たなびく
   七輪で木切れ燃やして米を炊いている

人間も使い捨てになり桜ちる

もったいないを拾って生きる
あればあり なければないで今を生き
それなりの一生懸命生きている

うまく立ち回れず無宿に生きる 青い空
うまく立ち回れず無宿に生きる 青い空


□橘安純さんってどんなひと??

朗読の仕事ください
大阪・天王寺公園の野宿小屋で生活しています。
主に野宿生活をテーマにした自作詩を朗読しています。
また「反戦アンタパンダン詩集」の街頭朗読も各地で行っています。
朗読する機会をお与えください。会合集会等の時間を少しおさき下さい。
時間は15〜30分程度です。
連絡先 〒556-0002大阪市浪速区恵美須東3-4-36フェスティバルゲート4階cocoroom気付
tel 06-6636-1612 fax 06-6636-1662
http://www.lanayo-net.com/cocoroom/

橘安純オフィシャルサイト http://hexageon.cool.ne.jp/ikiru/ikiru_index.html
橘安純ブログ http://ikiteikite.exblog.jp/

tatibana8@msn.com




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