蘭の会8月号



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連載>サルレト



□蘭の会2005年8月号おてがみスミ モトコ さんより


気がついたら、10年。
いや〜、ホントに10年ぴったり過ぎてしもてました。
声の仕事がしたくて、ちゃんとした勉強もしたんですが、
大学を出ると同時に、「台詞を用いない」劇団に入りました。
筋力・体力がなくて板に上がることはできず、裏方になりました。
そこから数えて、ちょうど10年です。

今の仕事は、さらに裏にまわり込んでて、
アートNPOとか、そーいう人たちのバックアップというか何と言うか、
世間では「アートマネジメント」という職種なんだそうですが、
それとはちょっと違う気もします。
まあ、そんな感じで今もアートの裏方道を歩いてます。
けど、私にとっては堂々たる表道。
自分の居場所が見つかったような
心地よさを覚えています。
ひとことでは説明できない仕事なのが、玉にキズですが。

気がついたら、10年。
この間に、いろいろな人にお世話になってきたなぁ、と思います。
仕事でいただいたアドバイスも、私の糧になっていますが、
特に、女性の先輩方の
ふとした瞬間にもらしたコトバを反芻する、今日この頃。

あんなこと言うてた人がいたけど、
あの時あの人は、何歳やったっけ。
ああ、そうか。
ちょうど、今の私と同じ年の時やね。
その時実は芯まで理解できてなくて、
今なら理解できる、というか
同じ事を後輩に言うてる自分がいてるんです。
先輩方は
コトバで、飛び石を作ってくれていて、
それを、迷いながらも
ひとつひとつ踏んでいってるんやなぁ、と。

そうやって、自分を確認できるようになってから、
今、いてる場所の居心地が数段良くなった気がします。
ああ、こんなモンでええんや、と。
と同時に、私の発するコトバが
これから誰かの足下に敷かれていくかもしれない、
なーんてことを考えると
もうちょっとがんばらんとなぁ、とも思んですが
もともとのタチが、アレなんで
そないカッコエエことは、たぶん絶対言われへんと思います。

まだまださんざん迷うし、後ろ向きにもなるけど、
その時々で、思い出すコトバがあれば、
なんとかなりますよね。 きっと。




□スミ モトコさんってどんなひと??
新世界アーツパーク事業事務局チーフ。
新世界アーツパーク(http://www.sap-s.jp/)は、大阪市の芸術拠点事業で、
アートNPOと協働で、コンテンポラリーアートスペースの運営を
フェスティバルゲートという遊園地?の中で展開している。
元・上海太郎舞踏公司 制作 兼 演出助手。


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