ことばを紡ぐ
わたしの身に何かが起こったとき それによってわたしのこころに何かが起こったとき
わたしはとにかくそれをことばにしてみる そうやってわたしは わたしと 向き合ってきた
小学生のころ 担任のせんせいに
「自分のことをあまり分析しすぎないで」 そう注意をされた 例えば“どうしてわたしはこういう行動をとったのだろう
こう考えたからこういう行動になったのだと 思う わたしにはこういう癖があるみたいだ“ ここまで説明付けて わたしはやっと安心する
それがあまりに頑なで痛々しかったのだと あとになって せんせいは話してくれた
せんせいは わたしに「詩」をおしえてくれた人だ
せんせいが毎日発行する学級新聞は 生徒が毎日日記がわりに提出する詩の中から1日にひとつ選んで載せるもの
みんなその学級新聞に自分の詩が載るのを楽しみにしていて 1日に10枚くらい書いて提出する子もいたものだ そうやってわたしたちは
日常的に「詩」を書き、
よく書ければ学級新聞に載るというわかりやすいやり方で 認められることの楽しさを知っていったのだと今になって 思う
わたしはその頃から自分の弱さがいやだった その弱さをわたしは 毎日書く「詩」を通して自覚し ずっと闘ってきた
強くなりたかった 強さが何かも分からないのに ただいつも 強くなりたかった それは今でも変わらなくて
あの頃とはきっとすこし意味が違うのだろうけど わたしはやっぱり 強くなりたくて もがき続けている
こころをことばにすることは
ときどきとても残酷で 目を背けたくなる そしてことばを当てはめても当てはめても
どんどんどんどんほんとうのことから 遠くなる気がしたりして ずっとむずかしいままだ
それでも いやだからこそ わたしは探しつづけるだろう ことばを紡ぐことで その先にあるものを
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