『オールウェイズ・ルック・オン・ザ・ブライト・サイド・オブ・ライフ』という名曲がある。最近、と言っても時間は経ってしまったけれど、あるスポーツメーカーのコマーシャルに採用されて、メジャーリーガーたちが、曲名と同じサビのフレーズをくちずさんでいたので、ご記憶のむきもいらっしゃると思う。
この歌は、存在の大きさでは、まさにビートルズに匹敵するコメディチーム『モンティ・パイソン』のメンバーの喜劇人エリック・アイドルに拠るものだ。(ちなみにジョン・レノンは、あるインタビューで、「生まれかわったら『モンティ・パイソン』に入りたいよ」と言っているらしい)。
この歌は、キリストの受難を、真正面からパロディにした超問題作の映画『ライフ・オブ・ブライアン』の主題歌だ。作ったのは、もちろんモンティ・パイソンの面々。題材が題材だけに、思いっ切り資金難におちいってしまうが、なぜか助け舟を出したのが、ジョージ・ハリソンだったりする。その映画のラストシーンが好きだ。主人公ブライアン(キリストの役どころですね)は、砂漠で十字架のはりつけとなり、途方に暮れる。死を待つしかない。そこへ同じくはりつけになっているのだが、なぜだか陽気な男が、語りかけてくる。「よう、兄ちゃん、どうせ死ぬんだから、めそめそしなさんな。どうせだったら、お日さまのほうを向いていようぜ!」
そして、主題歌が、流れる。
グループのリーダーでもあり、ブライアンを演じたグラハム・チャップマンは夭折しているが、彼のお葬式では、メンバー全員で泣きながらこの歌を斉唱
したという。
なんて詩情の溢るる人たちなのだろう。ぼくは、この話を想い出すたびに、詩と喜劇に壁なんかないのを、確認する。人生は、愛と笑いの過渡期。どちらが欠けてもダメなんだ。どちらも、ね。
花として、生まれて、咲いていくのには、根の部分での暗く辛いことなんて、いくらでもある。それでも、忘れてはいけないことがあるんだ。
「さあ、いつでも、人生のあかるいほうだけを、見つめていこう!」
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