この「お手紙」が
みなさまのパソコン画面に現れる頃 ・・・
僕の部屋では
読みきれない詩集の山の頂上で
もらったいくつかの「義理チョコ」が
うすく開いたふたから薫りを放ち
子供のままの寝顔で眠る
僕の空いた口や鼻孔に吸い込まれ
布団から起き上がる青春の影は
部屋の襖(ふすま)をすり抜け
月明かりの射す階段を降りてゆく気配を
おぼろに聞いているでしょう
いつかの幸せなクリスマスの晩餐を夢見ながら
朝日が昇るまでの安らかな冬眠の内に
〜
最近は老人ホームの仕事を終えた休憩室で
下手くそなぎたあをつまびいております
最初に覚えたのは
「Happy Birthday To You」
新年早々風邪をひき声のかすれた僕は
生まれてはじめてのお年玉を
2歳の姪の小さい手に握らせ
姪が生まれた夜の祝福を
6弦を撫で奏でておりました
♪♪♪
しゃんかしゃんかしゃんかしゃんか
「おーめでーとう○○ちゃーん!」
と僕が歌うと
お年玉を手にして 君は踊った
初仕事の朝
老人ホームのおじいちゃんが亡くなり、
勤務終了後
まん丸い月の下
震えながらお通夜に参列し
やさしい遺影に手を合わせた
帰りの夜道で白い息を昇らせて、
冬の満月を仰ぎつつ
ふと 自分の人生について考えると
北風が「ぴゅう」と吹き
遺影のおじいちゃんの面影が
「おい、若いの!人生は、短いもんじゃよ」
と言っている気がした
〜
昨日、約5年間共に働いた同僚が
「寿退社」すると聞き、
仕事帰りの駅の構内で、「祝婚ノ詩」を書きました。
周囲にいる人が人生の岐路に立つのも、
感慨深いものですね。
〜
さあて、このお手紙をキーボードから打ち込んでいる僕は
この部屋を出て、ちょっくらおんぼろぎたあをとってまいります。
〜
今、僕が弾けるたった2つの歌
「Happy Birthday To You」 と 「さらば青春」
をなんとか弾き語ったところです。
このとりとめのない散文を読んでくださった方、
心より感謝します。
「蘭の会」が
女流詩人の皆様の感性で
時に生の声として、
時に懐かしむように
青春を
青春の先にあるものを
詩の言葉として生み出し続けていく
「言ノ葉の宿る母胎」でありますよう、
皆様の御健筆をお祈り申し上げます。
’04 2月 服部剛
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