蘭の会

+7月号+

■今月のおてがみ 平居謙さん(Lyric Jungle)より

  蘭の会の皆様、そしてHPをごらんの皆様、はじめまして。平居謙です。蘭の会は、女性の、詩を巡るグループだとうかがっております。「今月のてがみ」 ということでご招待いただき、とってもうれしい思いです。
 僕は、1961年、京都生まれ。厄年ですかね。そういえばこの間、部屋の本棚が不審な炎で燃えました。ふふふ。ポルターガイストかも。詩は予備校時代 から書き始めましたが、島崎藤村とか石川啄木とか、中原中也とか全然ダメだった。桑田佳祐の歌詞をきいて、「こんなんでもええんか」と思って、何かを、 とりあえず書き始めた感じ。文学少年ではなく、宣教師になろうと真剣に考えていました。マジっすかぁ。
 さて、「女性のこと」「詩のこと」にかかわる手紙を、ということで。それなら僕には、思い出されることがひとつ、ある。
 高校の修学旅行の時(古っ!)。帯同していた教頭が夕食前にあいさつをした。「君たちは、どんなにこの旅行がつまらないと思っても、家に帰ったら母親 には不服な顔をするもんじゃないです。面白かった、有難うございます、と言ふのです。」少なくとも僕は、「この旅行、面白くねえなー」なんて思ってなかったもんで、ちょっと面喰らいもした。あとで考えると、「はああ、男というものは、こういう風に、意地を張るように育てられるものなんだ、弱みを見せないように、心の中のことは言わんように」と、時々思う一場面でした。明治・大正時代みたいな風情ですが、大阪近くの20年前の男子校での話です。今もあんまり変わらんかもしれん。先生の話、ましてや教頭の話など、他に覚えているものはないのですが、妙にこれだけは印象に残っています。
 女性の詩は、長い間、なじみにくかった。感情があふれ、流されてくるのが、こわかった。たとえて言えば、裸で覆いかぶさられ、顔の前に熱い息を絶えず吐きかけられているような。そんな感じが重かった。そこにはまるのが、ためらわれたのかもしれません。先に言ったとおり、心の中のことなど一切言わないように育てられてきたから、「自分自身を上手に出す」女性たちを過剰に意識したのかもしれません。勿論、全ての女性の詩がそういうわけではないでしょうけれど。総体的に、相対的に。
 けれども今は、妙にそいつが気持ちいい。
 女の寝言を聞きながら、どこまでもどこまでも流れてゆきたいと思っています。女性詩読者の冥利に尽きる至福のような、思いです。          
(終)


■全身ポップな平居謙さんって、どんなひと?

<プロフィール>
1961年京都生まれ。
主著「異界の冒険者たち」(朝文社)
  「高橋新吉研究」(思潮社)
  「風呂で読む現代詩入門」(世界思想社)
詩集に「基督の店」(ミッドナイトプレス)他
アンソロジー「脳天パラダイス」シリーズ刊行。
山村由紀と詩誌「Lyric Jungle」を責任編集。
http://www2.odn.ne.jp/lyricjungle/

◆ふみばこ

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◆7号のコンテンツ

+詩集「青」

それは海の色それとも空の色
あなたにとって深いところにある青を探せ
 
+Web女流詩人コラム

テーマは「自由」ナツノ(会員番号23)

+連載コラム Thinking about Poetry Reading 

好評をいただいている沼谷香澄(会員番号24)のコラム、佳境に踏み込んできますよ
今回は朗読者としてのメイキングです
心して読め!

◆8月号のお知らせ

+詩集「夏休みの自由課題」

夏休みです
自由に発想を膨らませて詩を書いてみようってことで
来月はテーマなしっ
 
+Web女流詩人コラム

「現実というもの」愛萌(会員番号7)

+連載コラム Thinking about Poetry Reading 
ポエトリーリーディングを身近にするための沼谷香澄(会員番号24)のコラム

+まな板の上にコイ♪は終了いたしました

一年以上ご愛顧いただいたまな板のうえのコイ♪は
4月号を持ちまして終了いたしました。
ご投稿は受け付けておりません。
投稿いただいた皆様、ありがとうございました。
秋ごろ、新企画がスタートいたしますので
とりあえずはSoLong!


+というわけで 新生まなコイ♪に ご協力いただける詩の投稿サイトを募集中

批評の部は息を潜めて2ヶ月あまりの時間がたちましたが現在蘇生中
そこで投稿サイトを主宰している皆様にお願いです
より包丁の切れ味をますために
あなたのサイトに投稿された作品の中から
リコメンドな詩を蘭の会批評の部に提供してはいただけないでしょうか?

詳細などのお問い合わせは orchid@os.rim.or.jp まで
あなたの主宰する投稿サイトのURLを忘れずに記入してください

(注意::お問い合わせいただいたサイトすべてが採用されるとは限りません)

◆当会をご利用にあたって

蘭の会ではご来場の皆様にも
詩作を通して相互に交流していただきたいと思います
相互批判ではなく相互理解を
詩人として詩を愛することを忘れず
詩を読み書く喜びを享受しあえる場であるように

蘭の会るーるぶっく
投稿規定や利用規定などを必ずご確認ください


(ページ及びグラフィック製作 芳賀 梨花子)