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新しい憲法の話


2001/05
文部省発行の『新しい憲法の話』
 童話屋(各286円+税)

 憲法を変えようという動きがある。時代に合わなくなったから時代にふさわしい憲法に変えようと言う。アメリカに押しつけられた憲法だから日本の国情に合う憲法が必要だとも言う。そして、前文や9条などがその第一の標的にされている。

 本当はどうなのか。私たちはもう一度自分の目でじっくり憲法を読んで確かめてみたいものだ。読まずして改憲・護憲といっても始まらない。ところが、実際には憲法の全文を読んだ人は意外に少ないようだ。現憲法を批判する人の中にもそういう人がいるらしい。これはやはりどこかおかしい、

 その一つの理由に、簡単に憲法を紹介した本が余り手に入らないこともあるらしい。確かに、憲法を読むために、わざわざ分厚い六法全書を買って、その細かい文字を読むというのも骨が折れる作業だ。

 何か手軽に読めるものはないかと思っていたところ、童話屋から、掌本とでもいうべき体裁の二つの小冊子が刊行された。それが上に掲げたものである。(ちなみに、童話屋は「葉っぱのフレディ」で知られる東京の出版社である。)

 その一つは、「日本国憲法」。英文訳と、やはり改訂の論議の対象になっている「教育基本法」も同時に収録されている。大人だけでなく小学校高学年以上の子どもでも読めるように、漢字にはすべてルビがふってある。
 もう一つは、「あたらしい憲法のはなし」。本書は1947年(昭和22年)8月2日、文部省が発行した中学校1年用の社会科の教科書の復刻版である。本書は1952年で姿を消したが、今までもいろいろな出版社から幾度も復刻されてきている。

 本書の中で、文部省は「こんどの憲法は、みなさんをふくめた国民ぜんたいのつくったものであり、国でいちばん大事な規則であるとするならば、みなさんは、国民のひとりとして、しっかりとこの憲法を守ってゆかなければなりません」と述べている。基本的人権、民主主義、国際平和、主権在民、戦争放棄など、憲法の基本精神について分かりやすく解説している。文面からは、当時、文部省が憲法を子ども達に浸透させるために非常に熱心だったことがよく伝わってくる。

 しかし今、政府や文部科学省は憲法やその精神に基づく教育基本法を変えたいと思っているようだ。一体、教育行政を取り巻く何が変わったのか、そして子ども達をどこへ向かわせようとしているのか。

 今一度、本書に目を通して、希望に満ちて出発した戦後民主主義、戦後教育の原点を考えてみたい。小学校や中学校の卒業記念に、親から子へのプレゼントに、高校への入学祝いになど、様々な形で今を生きる子ども達へ手渡してはどうだろうか。(A) 



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