渓流・餌釣り

 一番安易で一番とっつきやすい釣りだと思います。僕もこの釣りが大好きです。ただ僕は餌にミミズしか使いません。理由はそれで充分だと思うし、過去に釣れた大物はみんなミミズだからです。ただ真夏の渇水で水が冷たそうな透明色をしたときなど、どうしてもミミズが効かないときがあるのも事実です。そんな時は毛鉤が良い日並みです。よって、毛鉤とミミズを持って行けば事足りるというのが僕の考えで、過去20年間、これで問題があったことがありません。ではミミズの釣りについて書いてみます。
 渓流釣りというと餌を自然に流して魚に違和感を与えないで口を使わせるのが真骨頂なのですが、僕の釣りはその逆に不自然な動きを与えて魚の口を使わせる特殊な釣りです。逆もまた真なりっていうところでしょうか。
 そもそもこんな釣りを何故始めたかというと、僕が渓流釣りを始めた頃、全く魚が釣れなくて、毎週行っても釣れるのは月に一匹程度。当時は放流がなくて、20cm以上をキープと自分で勝手に決めていた所為もあるのですが、いずれにしても釣技が幼稚だったことは確かです。で、この釣りにぞっこんだった僕は色々と雑誌を買い込んでむさぼるように読みあさりました。そんな中に今の僕の渓流釣りの師であるT氏が経営する郷土料理店が載っていました。その中に『趣味が高じて店を開く』と書かれた店主の写真も載っていた。決して格好良い顔とは言えないが、温厚そうに写っていた。しかもその所在地が僕の通勤道路の丁度中間に位置していたのだ。早速出かけてみると、店主からいきなり『釣りするの?』と聞かれた。『少し』と答えた僕に店主から色々と聞いて来た。その話振りから相当の腕だということは理解できた。で釣りの約束まで取り付けた。
 行ってビックリ、大きな重りに大きな鈎、そして太い糸。挙句の果てには(邪魔をしてはいけないと)遠くで見ていた僕に『こっちにおいでよ。そんな遠くじゃ見えないでしょ』と行ってすぐ脇に付くように指示。それで見事にヤマメを釣った。この釣り方を見た僕は大きなカルチャーショックを受けた。しかも僕はほぼ実力通りのボーズに対して、彼は30以上のヤマメを魚篭に収めたのだ。それも良型ばかりを!この釣りは餌に不自然な動きを与えて食わせる釣りだったのだ。それからというもの、毎日仕事の帰りに寄りこんで毎晩2時頃まで釣りの話をして・・・・・でも嫌な顔一つせず付き合ってくれた。私的ではありますが、ここをお借りしてT氏には感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。今渓流釣りを楽しんでいられるのは総てがT氏のお陰だと思っております。
 さて、話を元に戻して・・・・その後当時Mamiya OPのテスター(現在はSHIMANO)である細山氏と出会い、今でも時折釣りに連れて行ってもらったりしています。細山氏の釣りはご存知のように自然に流す釣り。よって同じ場所を釣っていても、ある程度の面積があれば僕と細山氏のポイントは違うのでお互いに邪魔にならない。・・・良い関係だと思っています。
 いずれにしても流す釣りをしている人には参考にならないかもしれません。


僕の道具
 
竿は頑丈なもの。といってもただ薮から棒に硬いだけでは良くありません。表現は難しいのですが、柔らかいけど芯がピシッとしている竿が良いです。僕が好きなのはMamiya OPの峡本流プロ75−82。ただこの竿は塗装が良くなく、しょっちゅう竿をたたんだり伸ばしたりするこの釣りでは傷が多く付いて、口が裂けてきてしまいます。2004年に戸門氏がDaiwaからこの釣り専用の竿を出した。使っていないので、コメントできないが、T氏のプロデュースなので悪いはずがないはずです。

 
は通しで使います。普通はナイロンの2号を使用。3ヒロが基本です。ここに来て糸も強くなっているので1.5号を使うようになってきています。素材はナイロンが一番。伸びるので切れないというのがその理由です。僕が好きなのはスタークUでしたが、今はスタークU2になってしまって、硬くなったのでこの釣りにはとても不都合な糸になりました。その後はもっぱらグンターを使っています。特に最近はソラロームという糸を使っています。リールに巻く長糸ですが、安価なことと劣化(ナイロンは劣化するのが問題)が極めて少ない糸だと思うからです。竿先に結ぶのにはチチワを二つ作ってリリアンに二巻きしてつなぎます。チチワはスパイダーヒッチで作るのが一番手軽で良いのではないかと思います。

 
ナマリはその場その場で底が取れる大きさ。概ねナツメの3号(中通し)が基本です。中通しなので糸と竿さえもてば、限度はありません。15号まで使ったことがあります。中通しのナマリを小さな噛み潰しオモリで下だけ止めて使います。

 
はいつ来るか分からない大物に備えて伊勢尼の11号が主体。特に黒潮鈎というメーカーの伊勢尼を使用。強度は何にも問題なく、安いから。最近ではムツの13号くらいも結構使います。僕の釣り方だと飲まれることが多いので、ネムリ鈎にすることによってこの確率が減るのです。リリースすることがほとんどになった僕にはピッタリの鈎だと思っています。

 
目印は矢羽でも何でも良いです。見やすいのが一番。最近多く使われる毛糸目印も良いが、ナマリが大きいので投げる必要がないので、何もそれを使う必要も感じません。

はミミズしか使いません。遊びで他の餌を使うこともありますが、何故か他の餌だと魚が小さいし、慣れていない所為もあるのかもしれないですが、上手い具合には行きません。
 ミミズは売っているのも良いのですが、シマミミズの場合は天然の掘りたてのムチムチした大きな奴が良いです。ただ、濡れた場所のミミズは弱りが早いので、なるべくビショビショしていないところのミミズを採って来るようにしましょう。
 ドバミミズであれば最高です。このミミズは水分に弱いので、ちょっと湿った枯葉だけで充分です。水分が多いと死んで融けてしまいます。

釣り方
 まず、流す釣りではないので、魚の付き場をしっかりと把握する必要があります。少々違っていても魚を引き出して来れるようになれば何にも問題はありません。狙った場所にドボンと投げ込んで、ナマリを底から離したり付けたりを繰り返します。魚信は手で取ります。そして魚信があってもすぐには上げません。概ね30〜60秒待ってから合わせます。魚は咥えた鈎を放さないので充分に食い込ませてから合わせる・・・これが基本です。特に相手が大物の時にはしっかり飲み込ませて、胃に掛けてしまえばあまり暴れません。よって捕りやすくなるはずです。

これが僕の釣り方の基本。良くこの釣り方は淵を釣るのに有効だとか、イワナに有効だとか言われますが、実際にやっている僕にとってはこの釣りは瀬でこそ有効で、ヤマメでもイワナでも同じで、分ける必要はありません。よって混棲域でここはイワナ、ここはヤマメだと推測はしますが、釣り方には何の違いもありません。

 以上、ざっとサワリだけを書きましたが、詳細は会員専用ページの『渓流』のところに掲載しました。まだまだこの釣りを熟知したとは言い切れませんが、普通の釣りとは全く異なった釣りですので掲載してみました。