相談事例137の相談内容と回答(H13.9.30)

●相談文
 お世話になります。70歳になる母についての相談です。20代の頃から、甲状腺機能障害を煩い、現在も、高脂血症、高血圧、痛風などの薬を服用しています。甲状腺については、手の施しようが無いとのことで、様子をみている状態でしたが、持病の数値が急激に悪化したため9月10日からホルモンの服用を始めました。気になるのは、動脈硬化も進行しているとの診断を受けたことですが、すでに薬を服用しており、持病の薬がかなりの量なので、これ以上薬の服用は避けたいのです。
 民間療法のナットウキナーゼが、動脈硬化に効果があるとのことを聞き試したいのですが、痛風に影響があるのではと心配です。どうか、ご指導をお願いいたします。


●回答文
 文面から推察するに, 慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症が基礎にある病状と思います。ホルモンの服用を始めたとの事ですので, 適切な量を服用すれば甲状腺機能は正常化するはずです。甲状腺機能が正常化した時点で, 血圧, 高脂血症の状態を主治医に判断いただき, 必要なら適正な降圧薬と高脂血症治療薬を決定してもらって下さい。通風は甲状腺機能と直接関係はないので, 尿酸値で治療の可否を判断してもらってください。動脈硬化が進行しているとの診断を受けたとのことですが, 動脈硬化の診断はなかなか難しいものです。なにを根拠に, どこの動脈が硬化しているのかぜひ知りたいところです。一般に, 動脈硬化は加齢現象ですので, 70歳ともなるとかなり全身の動脈は硬化していると考えるのが妥当です。動脈硬化による症状, 脳虚血, 狭心症や歩行障害などがの有無により, 血圧コントロールのレベルや動脈硬化による循環障害に対する薬剤などを慎重に考慮する必要があると思います。
ナットウキナーゼを試みたいとのご希望ですが, 残念ながら私にはナットウキナーゼについての知識はありません。インターネットで検索しました。以下のURLですご参照ください。
http://www.health.co.jp/news/features/nf904.htm ナットウには, 血栓溶解作用があり, 作用物質がナットウキナーゼと命名されたことは一般知識として知っています。ナットウキナーゼの動脈硬化防止作用についての科学的な証明があるか否か, 市販の製剤を服用することがナットウを日常食べる以上に効果があるかなどについてはよく知りません。販売会社に問い合わせてみてください。しかし, ナットウキナーゼに本当に動脈硬化進行防止効果があるなら, 医薬品として認可されているはずです。なぜなら動脈硬化防止薬は不老長寿の薬であり, 古くは秦の始皇帝以来万人が望んで果たせなかった夢だからです。