相談事例136の相談内容と回答(H13.9.30)

●相談文
 はじめまして。知的障害者更生施設の職員です。定員が約270名の施設で、現在ほとんど一箇所の精神病院が長年に渡って治療を引き受けていますが、最近は近年の医療事情(情報提供など)に比べて遅れていると感じます。看護職員にはその都度指摘するのですが、看護職員が言うには「このような大人数の施設を引き受けてくれる他の病院はなく、また知的障害者は精神科医が嫌う」とのことでした。(それらのことが原因なのか、病院側の一方的な治療になりやすくなっているのが現状です。)
 精神科医療の世界では、知的障害者(てんかん治療は除く)の特に不安定と言われる方々はどのように捉えられているのでしょうか?また知的障害者は治療に困難をきたすとすれば、どのような理由からですか?
 お願いします。


●回答文
 簡単にお答しにくいご質問(具体的な事例でないので)ですが、一般的なことがらとしてお答してみます。
 知的障害の治療ということでは以前と現在とで大きな変化はないと思います。もともと、知的障害は一つの疾患ではなく、種々の原因からなる症候群ということで、その治療も原因疾患の治療や、合併症としてのてんかん発作、精神症状、行動障害の治療ということになり、どうしても薬物中心ということになると思います。もちろん、生物学的側面だけでなく、心理的、社会的側面を考慮してのリハビリテーションも必要と思いますが、これは医療だけでなく、福祉教育の分野になると思います。
 知的障害は精神医が嫌うというのはどうでしょうか。精神薄弱といっていた時代からずっと知的障害は精神科の大きな分野を占めていた訳で(このごろは発達障害の中に含めていますが)好ききらいといった問題ではないように思います。たしかに、知的障害の場合、例えば、インフォームドコンセントなどの面で難しいところがありますが、要は医療側と施設職員のコミュニケーションをできるだけとるということだと思います。