相談事例117の相談内容と回答(H13.8.27)

●相談文
 生後5ヶ月の女乳児の父親です。二人目の子供です。すみませんが相談させてください。
 いつもはベビーベッドに寝かしているのですが、昨夜つい、泣いた娘を抱えるように隣に寝かしたまま寝てしまい、睡眠中に何かのきっかけでビクッと反応した私の体が、肘を娘の頭に振り下ろしてしまい(正確には布団に水平に)、大泉門のあたりを強打してしまいました。私の肘にはかなりの打撃感が残りました。娘は大泣きしましたが、しばらくして泣きやむとなんとか寝ました(深夜2時頃)。 しかし、普段は朝まで起きない娘がその後1時間ほどで目を覚ましすこしぐずりました。もう一度寝かすと再度1時間後くらいに目を覚まし泣きました。その際抱き上げると体が熱いので、熱を計ってみましたところ37度後半程度ありました。  妻が「空腹だから泣いている」といってミルクを飲ませましたところ、確かにいつもの量飲みましたので妻と交替し、その後は朝まで娘は起きなかったようです。しかし、やはり今日の昼間になっても熱は上昇し、39度2分程度あるようで、かかりつけの小児科単科医院に行きましたが「突発性発疹でしょうか・・。」で終わってしまいました。頭に着いては調べられませんでした。
 そこで質問なのですが、釘を打つような形で娘の頭をエルボしてしまったわけです。一応嘔吐や顔色の変化、意識の異常は今のところ見られていません。娘もぐったりとしているわけでもなく時に笑ったりもしているようなのですが、緊急性は無くてもCTとかの検査はしなくてもよいものでしょうか?
 大泉門は、「触ったりぶつけたりしてはだめ」とどこにでも書いてありますが、ぶつけたときの対処はどこにも書いてありません。触ってはいけないところだからあまり触ってはいませんが、昨日までより大泉門がだいぶ大きくなったような気がします。もしかして骨の薄い部分が骨折していたりしないでしょうか?硬膜下出血も心配です。高熱はそのせいでは無いでしょうか?
 また打撃方向が首に負担をかける方向だったので、むち打ちの可能性もあると思えるんですが・・。
 是非とも教えてください。よろしくお願いします。


●回答文
 大泉門のあたりに限らず、赤ちゃんの頭は柔らかいので、どこを打ってもいけません。大泉門だから特にいけないと言うことは鋭い尖ったもので打った場合でしょう。薄いとはいえ頭蓋骨で守られている赤ちゃんの脳が泉門(大泉門、小泉門、その他の泉門)のところでは頭蓋骨がないために容易に凹み、場合によっては突き刺さり、したの脳を傷つけます。大人の腕のようなもので打ったときや平地で転んだときは大泉門に限らず頭のどこを打ってもよくありません。
さて、運悪く打ってしまったら、直後に赤ちゃんが元気よく泣いたか、(意識が無く)泣かなかったか、直後から赤ちゃんがひきつけをおこさないか、吐かないか、食欲はあるか、元気か、機嫌はどうかなどが問題です。頭のせいで熱が出るのは頭が強く傷害されて昏睡状態になったときです。今のような状態で熱があるとすれば、頭のせいではありません。
専門家は上記のような症状をみて、診察します。そのとき必ず大泉門を触り、その固さやはれ具合を診ます。レントゲン検査やCTスキャンは病気が強く疑われるときにします。そうでなければ少なくとも私はこうした検査はしません。この時期に可能性が高いのは急性、亜急性、慢性の硬膜下血腫です。いずれにせよ、頭を打ったときに我が国の現状では小児科の先生に診てもらうよりは、脳神経外科、脳外科の医師に診察を受けたほうが素早い頭を打ったけど実は風邪だったと言うこともあります。そのときは改めて小児科にかかればよいのです。
 これから1歳の誕生日を過ぎる頃まで、赤ちゃんの怪我や事故の全責任は育てている親にあります。そろそろはいはいをして何でも口に入れるようになります。大丈夫だろうとたかを括らないで、安全な保育を心がけてください。
 もう一度付け足します。大泉門は専門家でなくても日頃から撫でておいてください。寝かせたとき、座ったとき、だっこしたとき、機嫌のよいとき、泣いているとき、それぞれ大泉門の様子が違います。つまり、大泉門は脳の健康状態を外から知ることの出来る窓のようなものです。