相談事例110の相談内容と回答
(H13.8.1)
(H13.9.30)回答追加

●相談文
 26歳女性です。生理前にある症状が年齢があがるごとにひどくなってきました。なんとか改善したいと思っておりますので、一度ご相談いたします。
〜症状〜
●毎月生理前(生理前1〜2週間程度の期間)に37度〜37.5度の微熱がでる。
  →1年程前までは37度程度の微熱だったが、ここ半年は37.5度ぐらいまで熱があがる。
  →熱は日中〜夜にかけて上昇していく。朝起きた時点ではだいたい36.8〜36.9度程の体温。
  →平常時、朝起き上がる前の体温は36.0度〜36.3度程度
  →生理の周期は35日〜40日。
●微熱が出ている間は倦怠感がひどく、動く気力が起きない。
●上記症状に加え、1年程まえから偏頭痛が伴うようになってきた。
●約4年前に妊娠中絶の経験がある。
●疲れてきたり、ストレスがたまってくると膀胱炎になりやすい。
●生理前は興奮気味で、感情の起伏が激しい。



●回答文
  ご相談の症状は、「月経前症候群」と呼ばれるもので、文献に挙げられている症状は、以下のとおりです。
精神症状:いあらいあらする、怒りやすい、落ち着かない、集中力低下、ゆううつ、くだらないことが気になる、整頓癖、不眠
神経状態:頭痛、頭重感、肩こり、どうき
乳房症状:乳房腫脹、乳房過敏
水分貯留症状:むくみ、体重増加
胃腸症状:吐き気、嘔吐、腹部が張る、ガスがたまる、便秘
呼吸器症状:鼻かぜ、喘息
皮膚症状:ニキビ、蕁麻疹
随分たくさんの症状があるわけで、ご質問に書いていないけれども、「あ、この症状もある」と思われるものがいくつかあるのではないでしょうか。
 なお、微熱は、排卵後に卵巣から分泌される黄体ホルモンの作用によるもので、病気ではありません。(月経前2週間は「高温期」とよばれます)  さて、この「月経前症候群」に悩まされている女性はかなり多いと思われるのですが、これを理由に病院を訪れることが極めて少ないことや、生命や妊娠に悪影響がないことなどから、原因や治療法についてに研究は乏しいのが現状です。これまでの研究で、上記の症状のほとんどは、水分貯留症傾向で説明がつくこと、その原因はホルモンの変化によるものだろうということは分かっているのですが、どのホルモンが主因なのかについて結論が出ていません。 外国でいくつかの学説が発表され、それに基づいて有効な治療法というものがいくつかあるのですが、本当に有効なのかどうかを判定する「二重盲検法」という方法で検討すると、ほとんどが無効と判定されてしまいました。唯一有効と判定されたのは、プルラクチン というホルモンの分泌を抑える薬なのですが、これにも多少疑問があって、一般に認められた治療法にはなっていません。 というわけで、残念ながらズバリ有効な治療法がないので、たとえば、「生理前は興奮気味で、感情の起伏が激し」くて日常生活に差し支えるというときは、精神安定剤をもらって飲むという対処療法に頼らざるをえません。 月経前の不快な症状がホルモンの変化によるものだということをはっきり自覚しただけで、あまり悩まなくなったという人もいます。


●追加回答文
 最近読んだ本に月経前症候群の新しい治療法が紹介されていましたので、お知らせします。
 脳の中にある松果体という腺からメラトニンというホルモンが分泌されているのですが、月経前症候群のある人はこのホルモンの量が普通の人より少ないという研究報告があり、メラトニンというホルモンが分泌ようにすると症状が軽くなるとのことです。また、メラトニンの分泌をふやすためには
@昼間、光にあたる時間を多くする
A夜間、寝室を真っ暗にしてぐっすり寝る
ようにするとといのだそうです。
 アメリカでは、@の目的で、強い人工光線を2時間照射する方法も行われているようですが、たとえば、昼休みにはビルの外へ出てたっぷりと光を浴びるようにするとか、室内にいなければならない時間帯でも、窓際など、光が入ってくる場所へ行って外を見るように心がけることも効果があるようですので、実行してみて下さい。
Aの条件も重要なので、寝室を暗くして寝て下さい。私自身の治療経験ではまったくないのですが、本を読んだ限りではかなり有望なので、おすすめします。