相談事例87の相談内容と回答(H13.6.16)

●相談文
 はじめまして。私は35才、男です。希望診療科は、脳神経外科です。相談内容は、頭痛と感染症についてです。先日、インターネット頭痛相談システムを利用させていただきましたが、診断不可能となりました。
 私は、くも膜嚢腫のため、頭部ー腹腔シャントを施しています。昨年12月に、シャント機能不全とシャント感染の為、入れ換えをしえいます。この時、Codmanの圧可変式から圧固定のCPシャントに入れ換えてます。理由は職場の磁場によるシャントの誤動作です。この入れ換え後感染症を起こし、1ヶ月後にシャント抜去入れ替えを行っています。その後、しばらく頭痛は遠ざかっていたのですが、4月に入り頭痛が起こり始めました。
更に、4月末から頭痛がひどくなり、更には発熱を伴っています。かかりつけの医師は感染症によるもので感染が治まれば頭痛も退くとの診断ですが、発熱が治まっても(CRPも9→3に下がってきている)頭痛は退きません。
 シャント感染かウイルス性の感染かどうかは判らないとのことですが、シャントを入れ換える必要は無いのでしょうか?感染症と頭痛の因果関係はあるのでしょうか?今回は、頭痛が始まってから、1週 間ぐらいしてから発熱しており、納得できません。医師が言うには、CT写真を見る限り、嚢胞の大きさはあまり変わっていないので、脳圧変動による物ではないだろうとの事でした。
別の医師は、気候変化が激しい時期なので仕方ないとのことでしたが、季節要因も大きいのでしょうか?
  シャントについての質問ですが、圧固定のシャントより圧可変式の方が良いのでしょうか?
それと、以前入れていたCodmanの圧可変式バルブシャントは5年間で十数回圧設定の誤動作があったのですが医師は、非常に希だと言われましたが、あまり例はないのでしょうか?
私は、職場に高温炉があるので、その周辺に、誘導電流による磁場が生じていせいだと思っています。そのため前回の入れ換えの時、圧固定式を希望しました。
もう一つ質問ですが、くも膜嚢腫と水頭症は異なる病気なのですか?
ご回答の程、宜しくお願い致します。


●回答文
 あなたのような病気でシャント手術を受けておられると、多分正解は出ないと思います。なぜならば、今までたいした病気もないのに頭痛が出た場合の診断ですから。
 さて,問題がいろいろですが、
シャントの入れ替えについては、感染がひどく治らない場合には入れ替えが必要です。そのままで収まってきており,CRPも低下して行くようならばもう少し様子をみても良いでしょう。細菌感染かウイルス感染かは血液,髄液(この場合はシャントシステムから採った髄液でよいでしょう。)を調べると分かりますが,細菌が見つからず、髄液中の細胞数も多くないのに、好中球といわれるものが増えている場合はどちらか迷いますね。もう少し経過を見ることでしょうか。髄液感染(髄膜炎)があれば、頭痛が出ます。髄液感染がない,脳室拡大もないのに頭痛が続いているとしたら、頭痛の性質,場所にもよりますが,説明困難です。季節による頭痛とは,頭痛体質,頭痛持ちの方の場合によく見られるものですが,あなたの場合はどうでしょうか。
 圧固定式と圧可変式にはそれぞれ一長一短があります。後者のほうが頭蓋内圧を微妙にコントロールしやすいのですが、詰まりやすいという欠点があります。環境の磁場の影響で,誤動作が起こるのはMRの検査をしたときぐらいのもので、高温環境では起こらないと思われます。くも膜嚢腫,くも膜嚢胞と水頭症とは違います。あなたの場合は脳室の大きさを気にされておられますので,手術後、あるいは、髄液感染で水頭症を合併したのかもしれませんね。担当の先生に聞いてみてください。
本当は,くも膜のう胞だけであれば、シャントシシテムは抜いてしまったほうがよいと思われますが,シャントに依存した状態になっているとそれも出来ません。シャントが詰まると激しい頭痛が起こります。今はそうした状態になっておられるのでしょうか。いずれにせよ、細菌感染とシャント不全(閉塞あるいは不完全閉塞)がない状態になるまで根気よく治療を続けてください。