相談事例44の相談内容と回答(H13.4.7)

●相談文
 31歳女性です。4〜5ヶ月前から右ひじ外部の先端から手の甲方向に1〜2cmの所にポリープができました。最初の1〜2ヶ月は小さなものでしたが、最近になりそれが肥大になり、他のものに接触すると痛みがとてもひどくなってきました。今の大きさは直径1cmぐらい、高さ4mmぐらいになってます。触るとこりこりしてます。そして痛いです。現在、夫の仕事の関係でマレーシアに住んでいます。(2ヶ月前から)慣れない環境ということもあり、不安に思っています。日本に帰って治療した方がいいのか、それかこちらの医者に見てもらって治療できる程度のものなのか、またどんな診療科に見てもらえばいいのか、教えていただきたいと思います。また、関係があるか無いかはわかりませんが、疲れている時などに耳たぶにもシコリのようなものができます。それは段々大きくなって触ると少し傷みが伴いますが、しばらくすると無くなっています。私の体質上、ポリープができやすいのでしょうか。以上、よろしくお願いします。


●回答文
 皮膚科の先生のほうが回答者として適しているような気もしますが、分かる範囲でお答えします。 皮膚のポリープと言われますと、茎のところがくびれた丸い風船のような塊を想像しますが、計測された数値からは扁平な皮膚の腫瘍のようですね。触って痛いということからは、黴菌の入った炎症性腫瘤(アテローマなど)も考えられますが、その場合は赤く熱を持って腫れあがっていますので、区別が付くと思います。成長が速いことからは、ガンのような悪性腫瘍が皮膚に転移したものも考える必要がありますが、その場合も皮膚は多少赤く熱を持ってはれることが多いのです。そして、さわると、石のように硬いのが特徴です。時間がたつとどんどん成長し、ときには部分的に皮膚が崩れてきます。質問者の場合は、たぶんそうした皮膚の色や熱の変化がないものと思われます。年齢がお若いことからも、悪性腫瘍は考えにくいところです。そうした中で、触ると痛いおできとなりますと、一番考えられるのは、皮膚の神経繊維種です。これは末梢神経を巻き込んで大きくなりますので、触ると結構痛いものです。腫瘍内部に出血などが起こると、成長の速度が速く感じられます。希には、神経繊維肉腫という悪性腫瘍のこともありますが滅多にありませんので、それほど心配されることもないでしょう。 治療は、皮膚切開から腫瘍を摘出するだけですから、比較的簡単ですが、腫瘍に絡んでいる末梢神経を残そうとすると技術的に難しくなり、また、再発しやすくなります。専門科としては、日本では、整形外科、外科、皮膚科、脳神経外科あたりでしょうか。外国では、脳神経外科、整形外科、皮膚科でしょうか。日本に戻るほどの病気ではないと思いますが、どこで切るにせよ、切った腫瘍の病理組織診断がきちんと出来るところがおすすめです。耳たぶの有痛性の腫れは、消えてしまうことからは、炎症性のものが考えられます。消えないで残っていれば、神経繊維種は体のあちこちに多発することがあり、その場合は神経繊維腫症と呼ばれます。もちろん、そのほかの皮膚腫瘍や嚢胞も考えておく必要があります。それは大きくなったら切るぐらいのつもりでよいと思われます。