相談事例34の相談内容と回答(H13.3.11)

●相談文
 34歳 女です。26歳の時に家でゲームをしていた時に、突然何の前触れもなしに、後頭部にドンッ!という感じで衝撃がありました。痛いというのではなく頭の中身だけが、ドンッと言う風に飛びはねたという感じでした。直後に心臓がドキドキし始め、手が震え目が回ってきました。こんな事は初めてで、ちょっとヤバイなと思いすぐ床についてしまい眠ってしまいました。翌日は体に力が全くはいらず、頭部を締め付けられるような感じがし、体がだるく激しくめまいがしました。
はじめ内科に行ったところ、めまいがするのでは、耳鼻科に行ったほうがいいのでは?と言われ、体に痺れがあるようだったら又来るように言われました。耳鼻科へ行くとめまいの症状が出ていて突然発作がきたので、メニエールだろうと言われました。しかし、メニエールは私は以前から持っており、発作の起こり方が、明らかに違うといってみましたが、結局メニエールと診断されました。その後めまいの薬をもらい、飲んでみましたが目の回るのはよくなっても、頭部を締め付ける感じや、体のだるさはまるで変わりませんでした。
 そのうちに、体の震えが始まり細かい仕事が出来なくなり、歯がカタカタと震え、かみ合わなくなりました。脳神経外科にも行きました。事情を説明し、CTスキャンもとってもらいましたが異常は無いので、ただの頭痛でしょうと言われ、頭痛肩こり体操の紙をもらっただけでした。
 私は以前にムチウチをした事があったので、首からそういうめまいなどの症状がでることがある、という話を聞き、整形外科も行ってみましたが、首の異常は認められないということでした。この間だいたい二ヶ月位で、手の細かい震えとめまいはあるものの症状はだいぶよくなってきていたので、もういいやと思っていたころ、また、前回ほど激しくはないですが、同じような頭部への衝撃があり、やはり、翌日には体に力が全く入らず、めまいと頭部への締め付け感がありました。前に行った内科へいってみると、脳神経外科へ行くようにと、言われ、また同じことの繰り返しか・・・と思って、医者に行くのをやめてしまいました。
 その後一年に一度位の割合で、その発作がおきます。最初に起きたときほどの、激しい発作ではありませんが、発作の後は確実に体調が悪くなります。おととしあたり、めまいを専門に診てくれるめまい外来というところを紹介され、行ってみましたが、発作が起きた直後でないと、わからないといわれCTスキャンも再びとってもらいましたが、やはり異常なしでした。
 普通に生活できているので、気にするほどの事ではないのか?とも思いますが、重大な病気の前兆では?とも思いとても不安です。
 この症状は一体なんなのでしょうか?
 もしかしたら、精神的なものなのでしょうか?



●回答文
 すべては26歳のときに、後頭部にドンッ!という感じであった衝撃に始まるようですね。それがなんであったか、また、今もときどき出るようならば、なんなのか、ご文面だけでは分かりませんが、めまいや頭痛やくも膜下出血発作ではなさそうですね。そのあとに、めまい、頭部の締め付け感、手のふるえ、などが続き、そうした発作がこれまで何度もあり、次第に以前ほどは軽くなって来ている、という事実。さらには、お若いですが、メニエール病と言われためまい発作が持病としてあるらしいこと。こうしたことから、おぼろげながら、貴方はたぶん体質的に低血圧であろうということ。発作のときなどは逆に高血圧になっているかもしれませんが、それは精神的ストレスがあっての高血圧で、基礎的には低血圧であろうこと。そのほか、たぶん、神経質で細かいことが気になる性質、良く言えば、仕事は緻密で几帳面なところがあるだろうことが推察できます。立ちくらみや乗物酔い体質も子供の頃はあったかもしれませんね。つまり、いわゆる自律神経失調症体質であろうと思われます。そうしたことから、(やはり、後頭部の衝撃は分かりませんが、)そのあとに続く一連の症状はパニック障害に近いものだろうと思われます。 パニック障害とは、最初の発作が不安を伴い、ときには、このまま 死ぬんではないか、というような恐怖感を伴い、その記憶が強烈なものであるところから、何度も再現しながら次第に軽くなっていくものです。 いわゆる自律神経失調症の方に多く見られます。息苦しい感じや、手足や口あたりのしびれが出ることもあります。貴方の場合は、個々の症状を分析すると、めまいや緊張性頭痛、本態性振戦などでしょうか。緊張性頭痛はストレスなど心配事があるときに、頭が重くなるものです。本態性振戦とは、元々ふるえやすい体質であるところに、不安感からアドレナリンが体内に放出されて、血圧が上がるとともに体が、とくに手指が細かくふるえるものです。8年間?も続いているところから、重大な病気は考えられません。持病、というよりも、自分の癖ぐらいに考えて、自分を観察しながら前向きに生活されることをおすすめします。
でも、どうしても突き詰めて調べておきたい、と考えならば、脳神経外科できちんと検査をお受けになり、その結果をふまえて、心療内科、心身症科に紹介状(診療情報提供書)を書いてもらって受診することでしょう。
脳神経外科の診療・検査データのないまま、別の病院・診療科に行っても同じことの繰り返しになります。