相談事例11の相談内容と回答

●相談文
 頭痛治療に関して相談があります。
昨年の夏ごろから頭痛が続いています。そのころはバファリンを服用するなどして対応していました。薬を服用すればある程度、頭痛を抑えることができたからです。頻度としては週に3〜4日程度でした。10月中旬から頭痛薬を服用しても頭痛を抑えることができなくなりました。頻度はほぼ毎日です。
仕事も休みがちになり病院で診察していただきました。CTスキャンで調べていただきましたが、診察結果としては「異常なし」でした。しかし頭痛が続いているので、どうも納得できませんでした。そのころに頭痛治療に関していろいろ調べていくと、顎関節症の疑いがあることが解りました。以前から開口時に顎がカクッと鳴ったり耳元でジャリジャリ鳴っていたりしましたし、顎関節症から引き起こされる症状として頭痛があげられていたからです。
歯科医院でみていただいたところ、顎関節に異常があるということで顎関節症と診断されました。勤務先の方には治療期間ということで11月中旬から12月中旬まで1ヶ月間休職を認めていただき、その間治療に専念しました。12月中旬頃になると体調もだいぶよくなり職場に復帰したのですが、昨年の暮れごろになるとまた頭痛が再発してしまいました。現在は職場を変えていただき、頭痛薬等でその日を過ごしていますが、いっこうによくなる気配が感じられません。仕事も頭痛からなのか解りませんが集中して作業することができない状態です。しばらく様子を見ていましたが、これ以上頭痛が続くようなら退職も考えています。
私としては頭痛の原因が顎関節症からきているものではなく、仕事上のストレスからきているものと考えています。今思うと頭痛がひどくなりはじめたのも仕事のミスにより上からひどく怒られてからです。いままで仕事上のミスも前向きにとらえ気にしないように努めてきましたが、もしかしたらプレッシャーに弱いのかもしれません。
ぜひとも先生のアドバイス、ご意見等伺いたいと思います。

また頭痛相談システムが推定した病気として心因性頭痛が可能性が高いと診断されましたが心因性頭痛とはどんな病気なのでしょうか?治療方法や治療期間(個々により異なるとは思いますが・・・)等教えていただけないでしょうか?治療の参考にしたいと考えております。
よろしくお願いします。


●回答文
 仕事にも差し支えるほどの頭痛が続き、お困りのようですね。
CTスキャンなどでしらべて、異常なしとのことのようですから、悪い病気によるものではなく慢性日常性頭痛の一種ですね。
まず、「心因性頭痛」とはなにか、とのご質問ですが、これは、緊張性頭痛とほぼ同じもので、そのなかでも頭痛を引き起こす心因(精神的ストレス)が比較的はっきりしているものです。朝から気分が乗らず、頭痛を感じることもあります。筋緊張性頭痛、筋収縮性頭痛、などのグループに属します。いずれも、激痛と言うほどではなく、重い、おさえられたよう、といった症状を頭に、ことに、頭全体や後頭部を中心として感じます。日によって違いがあるものの、ほぼ毎日続き、一日のうちでは午前よりも午後から夕方にひどくなります。お天気や、仕事、気分などにも影響されます。肩こりがある場合もあります。また、単なる頭痛と言うよりは、気分が乗らず、仕事の能率が落ち、忘れ物やうっかりミスなども増えます。ゆううつ気分になることもあります。

顎関節症の場合、やはり、筋収縮性頭痛になることがあります。この場合は関節症のある側の側頭、頭頂部(耳の上)あたりに強く感じることが多いようです。また、食事などをしたあとや、夜中に歯ぎしりをしたあとなどに強く感じるようです。これはプロステーシスというバイトブロックのようなものを使った額関節の治療で改善することで分かります。

あなたの場合は、質問項目の選択肢の内容から見て、筋緊張性頭痛のグループにかなり近いようです。ほぼ毎日で、一日中痛いところも合っています。ただし、少し異なるのは朝から頭痛がする点です。朝目が覚めたときから頭痛がする場合は別の頭痛を考えます。眼の奥が痛い、その他の眼の症状がある、吐き気がある、などの点からは普通の筋緊張性頭痛よりは偏頭痛、血管性頭痛のグループである可能性も残ります。また、頭痛薬を連日多量にのんでいてもそれによる二次性の頭痛が出てくることもあります。あなたのようなかたは、これらの複数の病名が考えられ、こうした遠隔問診だけでは正確な診断をすることは困難です。やはり、頭痛を診てくれる脳神経外科、神経内科、などを受診されることをおすすめします。こうした病名が決まることで治療方針やお薬もかなり異なってきます。

いずれにせよ、今のあなたは頭痛に伴う症状で、少し気分が落ち込んでいる状態と思われます。こうしたときは、人生に関わる重大な決定(退職、転職、離婚、転居など)をしないで、先送りした方が賢明だとも言われています。 長年やり慣れた仕事を八分の力でよいですから、こつこつと続けながら、頭痛を克服されることをおすすめします。