注目の携帯端末レポート | Windows CE関連
ノートPCか?ハンドヘルドPCか?


H/PC Pro 3.0はノートPCより価格が安いので魅力を感じるが‥‥
ハンドヘルドPCがHP 620LXやCASSIOPEIA A-60に代表されるWindows CE2.0の世代からWindows CE2.11の世代へ進化しはじめた。CE2.11搭載マシンは、Microsoft Handheld PC Professional Edition, version 3.0(いわゆるH/PC Pro 3.0)と呼ばれ、次世代をリードすると今期待されている携帯情報端末である。
このH/PC Pro 3.0は一見サブノートのような筺体をもつ(実際、CE2.0マシンと比較すると同じハンドヘルドPCとは思えないし、Windows95/98ミニノートPC、例えばLibrettoと比べてもH/PC Pro 3.0がサイズ/重量ともに上回っている)ため、このレポートのタイトルではないが「ノートPC VS ハンドヘルドPC」という選択があるのではないか、という気になってくる。そもそも、新たにWindowsサブノートを購入しようと計画している人にとっては、『Windows CEという得体の知れない(^^;) OSを積んでいるが、ノートPCに比較して価格面でのメリットが大きい』ため、目移りして気になる存在ではある。
一方、現在出回るノートPCやミニノートは、モバイルPentium IIやモバイルCeleron等の高速CPUや大型のTFT高精細液晶を搭載し、メインマシンとして利用するもよし、サブマシンあるいはデスクトップPCの端末として利用するもよしと、用途も多種多様。ただし、PCとしての機能を追求すると、どうしてもデスクトップPCより割高になる欠点がつきまとう。そこで、使い切らない機能を詰め込んだ高価なノートPCより、必要な機能に特化して安価にしたH/PC Pro 3.0の方に魅力を感じはじめて、どうしたものか?と悩むのである。しかし、価格が安いからというだけでH/PC Pro 3.0に安易に飛びつくのは「×」なのだ。


CE端末と母艦PCの上手な使い分けができるか、そこが大切
ノートPCとH/PC Pro 3.0は、筺体は似ているが中身は似て非なるものだ。したがって、マシンが果たす役割や使い勝手をよく見極めてから選択しなければならない。PCを持たないユーザ(初心者)のメール専用マシンとして、あるいはインターネット閲覧などの特定の目的で利用するという前提で「1台」単独でのH/PC Pro 3.0購入という考え方もあるといえばある。しかし、CEマシンの基本コンセプトはPCとの連携を前提とした「PCコンパニオン」なのだ。メインマシン(母艦PC)のデータを読み込み、閲覧することを役割の中心に据え、データ入力機能はあくまで補完的な位置付けにする、そういう使い方をするのがWindows CEであり、PCとの親和性を最大の特長とする所以である。見た目はノート型に進化したH/PC Pro 3.0でも、あくまでPCの子分であることを理解して使わないと痛い目に会う。
例えば、Pocket Word/Pocket Excelに代表されるマイクロソフト社製のCE標準ソフトは、MS Windowsの各ソフトとデータのシンクロが可能ではあるが、機能的には限定されている(未サポートの機能は、Pocket版の機能に合わせて変換される)。CEマシンは、生まれながらにしてPCライクな性格を持つが、PCそのものではないということだ。したがって「メインマシンとしての利用をお考えならば、迷わずノートPCにしなさい」ということになる。逆に、CE端末と母艦PCの上手な使い分けができると思う方には、是非CEユーザになられることをお薦めする。起動・終了が速くて、屋外でのデータ入力や閲覧の際の待ち時間が短いことに素直な喜びを感じ、CEファンになることは間違いない。


H/PC Pro 3.0の市場動向について
Windows World H/PC Pro 3.0は、今年3月、NECがモバイルギアII MC-R700/MC-R520を、シャープがTelios HC-AJ1を、日本HPがJornada 820を立て続けに発売。5月中旬に、富士通がINTERTOP CX300でハンドヘルドPC市場に新参入、NECが電池駆動の廉価版MC/R320で応酬。その後も、新製品ラッシュは続いていて、各社のマシンが一通り店頭に出揃うのはこれからである。HP Jornada 680が6月12日発売、日立PERSONA HPW-600JCが6月18日発売、ちょっと出遅れたがコンパックAERO 8000が7月下旬、ビクターInterLink MP-C101が9月上旬と続く。現時点で出揃っているハードを眺めてみた限り、個人的にはやはりHP 620LXの後継として小型軽量化にこだわったJornada 680にはインパクトを感じるが‥‥このジャンルが携帯情報端末として果たして次世代をリードするかどうかは、しばらく様子を見たい。各社のマシンのハード概略および価格/発売日は「ハードスペック比較一覧」を参照されたし。
掲載の写真はすべてWINDOWS WORLD EXPO/Tokyo 99の会場にて撮影。

NEC SHARP FUJITSU HITACHI Victor

あくまでも「携帯性を重視したい」「価格的にも手頃な所で」という人には、価格も5万円そこそこで超お買い得になっているCE2.0機、CASSIOPEIA A-60を断然オススメする。在庫僅少ながらモバイルギアII MC-R500なら4万円台でゲット〜!! なのだ。液晶画面の見やすさやキーボードの打ちやすさはH/PC Pro 3.0に譲ってしまった感があるが、まだまだ元祖H/PCは健在だ(アップグレード作戦もあるし^^)。CEマシンは初めてというビギナーユーザは、CE2.0クラスからまず入門してみるのも手かもしれない。


H/PC Pro 3.0は従来のハンドヘルドPCとどう違うのか
ここの本題から逸れてしまうが、是非付け加えておきたい。従来のH/PC(640x240ドット液晶のハーフVGAマシン)とH/PC Pro 3.0の一番重要な違いは、画面解像度と周辺機器への対応度である。つまり、CE端末本来の特長だと我々が信じてきた「携帯性」より、「画面解像度の向上」と「幅広い周辺機器への対応」という部分に重点を置いたニュージャンルがH/PC Pro 3.0なのだ。ユーザニーズがあると踏んだからこそ、この3年の長き間をじ〜っと静かに待ち続けていた富士通が参入し、6月末現在で7社のハードメーカーが相次いで製品化に踏み出したのだ。

1)ハードウェアの新機能
 ●ディスプレイはフルサイズVGAやSVGAをサポート(画面解像度の向上)
 ●タッチタイピング可能なキーボードをサポート
 ●USBインターフェイスをサポート
 ●ポインティングデバイス(従来はタッチパネルのみ)をサポート
 ●対応するCPUの数が増えた(製品の設計仕様に合わせて選択可能)
  ※VR41xx系MIPSプロセッサ、TX39xx系MIPSプロセッサ、SH3/4プロセッサ、
   SA1100プロセッサファミリー等

2)新たな電子メールクライアント
 ●Microsoft Pocket Outlookでは、IMAP4やPOP3など多数のインターネットプロトコルに対応
 ●インターネットの標準アドレス解析規格LDAPをサポート
 ●添付ファイルの外部デバイスへの保存が可能

3)データベース機能の拡張
 ●Pocket AccessおよびActiveX Data Objectsをサポート
  (Microsoft SQLサーバー等にアクセスが可能)

4)アプリケーション面
 ●Pocket Access / InkWriter / Voice Recorderを新規追加
 ●従来のPocket Word / Pocket Excel / Pocket PowerPointの機能を拡張

関連資料
 | Handheld PC Pro 3.0ハードスペック比較一覧(6/25/1999)
 | Handheld PC Pro 3.0サイズ/重量比較一覧(6/25/1999)


Last-modified: 7/1/99
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