LAURA NYLO VOL1

「LIVE FROM MOUNTAIN STAGE」
のローラの歌声につつまれて…


もう大分経ってしまったが、久々に出たローラニーロのライブを聴いた。1990年のFM番組のライブ音源である。一応、バックバンドはライナーに記載されているが、殆ど弾き語りのライブでじっくりローラの歌を楽しむことが出来る。
曲は1994年の日本公演とさして変わらないラインアップになっていて、このあたりからセットリストは固定していたのだろう。最後の作品となった「抱擁」その前の作品「マザーズ・スピリチュアル」あたりからの作品が多い。少し硬めの音色のエレピ(ヤマハのDX7?)をバックにしたローラの歌声は何時聞いても胸を打たれてしまう。そうそう、日本公演もコーラスで始まるシュレルズのカバー、「OH YEAH、MAYBEBABY」から始まったんだったのだ。このアルバムには日本公演では同行していたコーラス隊は入っていない。その分ローラの歌声と向かい会う事が出来る一枚である。

 私はオンエアーウエストで見たのだが、もう若い頃の繊細な面影はなく、貫禄たっぷりのキャス・エリオットといった感じだった。
バックバンドはなく、ローラとバックシンガー3人のシンプルなステージだった。会場で、「TREEは日本語でなんと言うの?」と観客に問い掛けていたのが印象に残っている。聴衆とコミュニケーションしながら進めていく様子を見ているとやっぱり、この人基本は60年代の人なんだなと思った。基本的にはグリーンピース等の平和活動を、クロスビーアンドナッシュのように軽いノリでやるのではなく、一人の女性として受けて止めて実践してきた女性、それがローラニーロだと思う。60年代末に天才少女としてデビューして、カバーとして「AND WHEN I DIE」などが様々なシンガーに取り上げられて順風万班だったが、あまりにも最初から完成された世界を構築してしまった事と、コマーシャリズムにうまく乗れなかった事、ジョニ・ミッチエルのように自分の世界を拡大する事が出来なかった事の理由で、70年代後半から80年代末まで不遇の時代が続く。
「抱擁」で見事にカムバックを果たし、日本公演も実現したしこれからだったのに突然の死。やりきれない思いがした。それでも、最後のローラの日本でのライブを見れただけでもよかったと思わずに居られなかったけど。そんな遅れてきたローラファンには嬉しい贈り物である。

ローラニーロの真価が初期の5枚のアルバムにあるという意見には異論はないが、個人的には愛児が生まれた後の84年作「マザーズ・スピリチュアル」が実はフェバリットなのだ。このアルバムにはローラの母性、息子の対する愛、また自然に対する讃美などが溢れていて、初めて気負いのない一人の女性としてのローラの歌が聴けたアルバムではないのだろうかと思う。後期のライブもこのアルバムからの曲が多いし。1時は神がかっていたローラが出産を経て、一人の女性として書き上げた曲の数々。正直言って、初期のアルバムで聴かれる緊張感溢れる楽曲よりこのアルバムで聴かれるローラの楽曲の方により共感を覚えるし、好きな曲も多い。
何度聴いても飽きることのないアルバムである。
このあとのアルバムといったら93年の「抱擁」になってしまうのだから、この路線のローラはスタジオ盤では2枚しか聞けないと言うわけだ。これから聴ける筈だった曲の数々がふっと途切れてしまったような喪失感…それを補ってくれる1枚としても凄くうれしい。

ローラニーロの魅力ってなんだろう?もちろん、女性ブルーアイドソウルとして1番の歌い手、その比類なき世界やクロスオーバーの元祖としての存在、都会の孤独を歌い切れるソングライター等様々のありきたりの表現が思いつくのだが、誰もが思いつくようなこんなキャッチコピーではローラの素晴らしさを表現することなどできやしない。
 というわけで、このアルバムに掲載されているドナ・サマーの賛辞が実に的を得た表現をしていると思うので紹介して締める事にしよう。
 

「ローラの歌は私の人生の幾多の局面において友達のようなものだった。彼女の曲にインスパイアされて私も作曲を始めたし、彼女の女性としての勇敢さには同姓として、常に怖れるなと励まされた。ローラの知性と感受性は、私に一般的な聞き手が聴き取るようなローラの曲の楽観的な真実ではなく、秘められた深い意味を深く探求し、激しく捜し求めるように彼女の曲を聴くようにうながされた。
ローラの才能は本当に偉大だった。
そして、私の心と魂の中に今も生きている。」

最近、結構ローラニーロのファンが増えてきているような気がする。やっぱり、フリーソウル関係から入ってきているのかな?サウンドから入った人も是非1度、ローラの伝えたかったメッセージに耳を傾けて欲しいと思う。

(VOL2はディスコグラフィーの予定です。)

なお、
日本公演のセットリストは下記の通りでした。

LAURA NYLO JAPAN TOUR  94 SET LIST 
(1994.2.18 SIBUYA ON AIR WEST)

1.MEYBY BABY
2.DETICADED TO THE ONE I LOVE
3.WIND
4.WOMAN OF THE WORLD
5.ルイーズの教会
6.ライト・ア・フレーム
7.抱擁
8.THE JAPANESE RESTRUNT SONG
9.BROKEN RAINBOW
10.AND WHEN I DIE
11.MY INOUSENCE
12.TO A CHILD
13.月の女神
14.THE WILD WORLD
15.SAVE THE COUNTRY
16.GARDHINA TALK(UNREREASED)
17.ART OF LOVE
18.WEDING BELL BLUES
19.TREE OF AGES
20.EMMY
21.LET IT BE ME

ENCORE

22.OOH BABY BABY

*実は、マイカル本牧で公演するはずだったのが中止になってあわてて券を買いなおして掛けつけたのがこの日の公演。どうにか見れてよかったなあ。
 なお、内容は某雑誌からの転用なのだが、実は殆どうろ覚えである。こんなに長かったのだろうか、という気もするし。誰か見に行かれた方いましたら、ステージの感想など聴かせて頂けたらうれしいです。
 


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