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第7艦隊
7th Fleet / Victory Games

一言で言えば‥‥

太平洋で米ソ艦隊がついに激突する
いまとなってはイフになってしまった両大国主力艦隊の決戦

U.S.A and U.S.S.R finally crash on the Pacific.
Decisive battle between 2 Titans which beccame "if" history.


プレイ人数 2人
プレイ時間 2時間〜
ルール難度 中上級ウォーゲーム
デザイナー J. Balkoski
入手状況 published in 1987

米ソもし太平洋に激突したならば!?

第7艦隊のボックス
バルコスキのデザインしたフリートシリーズは、いくつかの意味で貴重な力作シリーズでした。

第1に、現代海空戦の本格ウォーゲーム自体が決して多くはないので貴重でした。第2に、ゴルバチョフ登場後、米ソ冷戦が収束していく中で、時代の流れに反するかのような米ソ対決ゲームでした。第3に世界各地の仮想戦場を転戦し、ほぼ網羅したという意味でも貴重です。

そうしたいくつもの観点から力作、問題作と呼んでよい作品ではあるのですが、今となってはソヴィエトという国自体が分裂して姿を消し、状況設定はオルタネートヒストリーの彼方に遠ざかってしまいました。

状況設定自体が架空戦史化したと同時に、現代最新兵器が海に空に激突するというテクノロジー戦であるというところも含め、SFゲーム的なセンスオブワンダーを感じさせます。

フリートシリーズは、第1作の「第6艦隊」から始まって、5作品を数えました。その中で、この第7艦隊は、両軍主力が広い太平洋で激突する最大クラスのゲームとなっています。また、戦場が日本を含んでいるという意味でも、やはり我々にとってはもっとも興味深いでしょう。

プレイアビリティの高さと、海空戦独特の天命感

ヴィクトリーゲームズの本格ウォーゲームというと、ルールが膨大でプレイに漕ぎ着けるまでが大変なのではないかと心配になります。しかし、実際に手を付けてみると、このゲームは予想に反してプレイしやすいことがわかります。
ゲームは、初級シナリオと上級シナリオに分かれているのですが、初級シナリオであれば正味20ページほどのルールを読めばプレイできます。
北海道侵攻シナリオ
20ページでもかなり多く感じるかも知れませんが、実際には用例が多く、ルール本体も6種類の異なる戦闘の部分はほぼ同じ仕組みを繰り返して説明しているだけです。このため、実際に覚えて運用しなければならないルールは、それほど多くはないのです。

また、広いマップに、少数のユニットが点在して活動する海空戦なので、実際にユニットをマップ上に並べたり動かしたりする負担も軽くなっています。その意味では、ウォーゲームの入門者でも上級者に手にとって教えてもらえればプレイできると思います。

海空戦の独特の要素として、敵を索敵して乾坤一擲の攻撃を仕掛けるという部分があります。これは第7艦隊でもそうです。現代戦では衛星偵察などの発達で、大雑把には敵の位置がわかっているのですが、それでも攻撃のために正確な探知をする必要があり、索敵ルールが重要な位置を占めています。第7艦隊では、戦略任務で航空機を投入して索敵する戦略索敵と、艦艇同士が移動や戦闘で近接して探知する局地索敵の2種類があります。このときに潜水艦は非常に索敵されにくくなっているので、潜水艦は航空機とともに敵の水上艦を探索し、先制攻撃で雷撃する役目を負っています。

水上艦艇は航空機や潜水艦に狙われるターゲットとしての位置にありますが、そうは言っても強力な対空火力や対潜攻撃力を持つものがタスクフォースを組めば、ただの獲物という訳でもありません。往々にして勝利条件は、水上艦艇によるコンヴォイの目的地への到着であるので、彼らの命運こそが勝敗を決することになるでしょう。
こうして空中、水上、水中の相互作用に満ちた海空戦が青色の鮮やかなマップの上で繰り広げられます。

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第7艦隊の難点

「第7艦隊」は、貴重な題材の本格派のウォーゲームであると同時に、SFゲーム的なセンスオブワンダーも含まれていて、しかもプレイアビリティも良好な作品です。幸いにも日本語版も発売されました。

シナリオも多様で、初級シナリオの戦場を見ると、フィリピン、北海道、日本海、朝鮮半島など太平洋の架空戦史の題材を網羅しています。上級シナリオでは、もちろん「第3次世界大戦」という状況が想定されています。

そんな訳で、結構、お薦めしたいゲームなのですが、難点もいくつかあります。

第1に索敵の成否で相手に対するアクションが極端に制約される海空戦ゲームですので、人事を尽くして天命を待つ印象があるのは否めません。逆に言えば、プレイヤーの技量以外に左右される部分が大きいので、ある意味では気楽にプレイできます。ただし、相手に一方的に索敵されて先制攻撃でボコボコにされたら、なかなか納得するのは難しいでしょう。

第2にシナリオのプレイバランスが決して良いとは言えないように思います。シナリオ1と6しかプレイしていないので断定的なことは言えませんが、米空母の力量は突出しており、制空権でも米国サイドが優位にあることと合わせてシナリオによってはソヴィエト側は無力感を感じることもありそうです。

関連ゲーム / 類似ゲーム

現代戦で太平洋を舞台にしたオルタネートヒストリーものと言えば、XTRのジップロックゲームでも一番売れたのではないかと思われる「レッドスカイモーニング」があります。

また、フリートシリーズのほかの戦場としては地中海の
「第6艦隊」、北大西洋の「第2艦隊」、ペルシャ湾の「第5艦隊」、そしてカリブなど3海域を扱った「第3艦隊」があります。

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