モンスターメーカー5ソフィア騎士団
Monster Maker 5 / 翔企画

一言で言えば‥‥

モンスターメーカー第5弾は光と闇の2陣営の交錯するマルチプレイ

陣営を寝返ることができ寝返らざるを得なくなるユニークな面白カードゲーム

Monster Maker 5 is interesting cardgame describing war between Light and Darkness.
Player can and sometimes must change the side because of unique game-system.


プレイ人数 4〜5人がベスト
プレイ時間 1時間
ルール難度 上級カードゲーム
デザイナー 鈴木 銀一郎
入手状況 published in 1989

ソフィア騎士団の面白さ
ソフィア騎士団のボックス
「ソフィア騎士団」は、当時、星の数ほど出たJAS企画と呼ばれる細長い小箱のカードゲームの一作です。
そうした数あるJAS企画作品の中で、個人的にはこの「ソフィア騎士団」は「紋章使い」と並んでベストなのではないかと思います。両者に共通していることは独創的なゲームシステムを持っていて、プレイしたときにそれがゲームのコアの面白さを作り出して上手く機能していることです。
「紋章使い」は後の「マジックザギャザリング」に通じるようなところがあり、今となっては後継者がもっと進化しています。その意味ではむしろこの「ソフィア騎士団」の方が今もなお輝きを失っていないかも知れません。

「ソフィア騎士団」のゲームシステムの骨子は、なんと言っても「光と闇」の戦いにあります。カードには光陣営のものと闇陣営のものがあり、これを混ぜてワンデックにしてプレイヤーに配ります。プレイヤーは一時にはいずれかの陣営に身を置くことしかできません。このため、光か闇かのいずれかを選ぶことになります。

陣営は重要な要素で、ゲーム終了時には勝利プレイヤーを判定すると同時に、二位以降は勝利したプレイヤーの陣営の中でしか順位判定されません。したがって負け組になってしまうと不味いのです。また、陣営の特質として、光の陣営を選ぶと、光の陣営の味方を攻撃することができなくなるという制約があります。
こう書くと光の陣営は制約が多くて不利に見えますがそんなこともありません。ソフィア聖騎士団という強力な7人の騎士のカードがあるのです。これが使えるだけでも有利です。また勝利条件は7つの宝石を集めることなのですが、これもまた7人の騎士と結びつきがあり対の組み合わせが得られると強化されていきます。

このゲームの面白さは、陣営を決めてしまうとその陣営のカードしかプレイできなくなることにあります。闇の陣営を選べば聖騎士や他の光の陣営のカードは使えなくなります。逆に光の陣営を選べば闇のカードは使えません。
ところが、このゲームでは不要の手札を捨てることができません。このため、反対陣営のカードが手札に溜まっていくことになります。さらにルールによって毎ターン1枚のカードを強制的に使わされます。
この結果として、手札が反対陣営のものばかりになると、プレイヤーは強制的に陣営を寝返ることになります。それまで場札として展開していた旧陣営の戦力を全て捨てて、新たに手札に溜まった反対陣営のカードを一気に公開することになります。

この陣営の劇的な交代によって、プレイヤー間の利害関係や順位が激変するのが面白いのです。
また利害を追い求めて、自発的に陣営を変わることもできます。宝石をたくさん持っている光の味方を攻撃するために、光を捨てて闇に走るものもいます。逆にそうした他プレイヤーの攻撃を避けるために強力そうなライヴァルの陣営に擦り寄っていくこともあります。



ソフィア騎士団の魅力的な面々
闇の陣営
「ソフィア騎士団」の大枠の面白さは陣営の絡みにあります。
と同時に陣営それぞれの魅力も一役買っています。特に闇の陣営はそれらしい工夫があって、個人的には大好きです。
左から「闇の女王」、「闇の大騎士」、「闇の騎士」となっています。これは闇の陣営の幹部です。このゲームの戦闘はプレイヤーの部隊対部隊の団体戦ですが、実際の解決では1体が1体を攻撃するのを交互に繰り返していきます。このときに闇の陣営を相手にするときには、まずザコを倒さねば闇の騎士を攻撃できません。騎士を倒さねば大騎士を攻撃できません。そして、大騎士を倒さねば女王を攻撃できません。これはいかにも悪の組織らしさを与えてくれています。
いちばん最後のはザコのオーク兵です。オーク兵はザコの中でもいちばん弱いものです。しかし、これにも使い道があるようにできていて、通常のカードは単体で単体を攻撃するのですが、オーク兵だけはオーク兵の団体を組んで攻撃ができます。したがって、オークの群れともなればドラゴンや聖騎士にも勝てる可能性があるのです。このへんも面白くできています。
ソフィア騎士団のガジェット
光の陣営の魅力はなんと言っても個体戦力が強力な聖騎士たちにあります。かれらはなにせ主役なので、他のキャラはやられると使い捨てなのに、やられても死ぬことはなく闇の地下牢に繋がれるだけです。そして、光の陣営のプレイヤーは自らの光の戦力によってこの地下牢を破って囚われの騎士たちを解放できるのです。

実際のプレイでは聖騎士も宝石も普通のカードに混ざっているのでプレイの進行に従って登場していきます。その過程で陣営間の小競り合いが続き、宝石が移動していきます。多くの場合、強力な聖騎士を持つプレイヤーが宝石も集めるのですが、プレイを通じてずっと光でいつづけることは先ず不可能なので、いずれ闇の陣営に寝返って騎士たちを地下牢に押し込めます。そうすると、奪回を目指す光の陣営は地下牢破りを狙っていきます。一方、闇の陣営同士の醜い仲間割れも起こったりします。
ゲームの最終盤ではついに7人揃った聖騎士団が誕生して闇の強力な部隊との決戦を迎えるようなことになっていきます。
このへんのストーリー性の高さが、このゲームのプレイを記憶に残るものにしてくれます。
このレビューを書くために先日ひさしぶりにプレイしたのですが、やはり面白いプレイとなりました。わたしは聖騎士で宝石を集めて闇に寝返りました。そして、なんと地下牢を目指す光のザコどもの前に差し向けた門番はなんと闇の女王本人。これで鉄壁と思ったのですが、光の魔術師の凶悪な魔法で女王がやられてしまいました。
これはもうダメかと思いましたが、最後の手番で悩んだところ窮余の策を思いつきました。手の中にたった一枚あった光のカードを使って寝返ったのです。「いやいや諸君、今まで偽装していたが、実はぼくも君たちの仲間だったのだよ‥(^o^)」ということで、最後のターンの聖騎士団の総攻撃を免れて逃げ切り勝利を収めたのでした。

納得の行く行かないは別として、ともかく参加者全員抱腹絶倒の結末となりました。



関連ゲーム / 類似ゲーム

翔企画の「モンスターメーカー」シリーズは一世を風靡し、かなりの数が出ました。本編が7作ほど、これに加えて番外編的なものまで出ましたのかなりの数に上ると思います。

ゲームシステム的な面で近しいのは、AHの
「ゲリラ」が近いでしょう。こちらはさらに複雑になっています。ファンタジーなところではAHの「ダウン・ウィズ・キング」があって、さらに複雑になるようです。

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