ルーンクエスト第3版
Rune Quest / Chaosium-AH / HJ

一言で言えば‥‥

あまりに著名なファンタジーRPGの金字塔

神が実在し神秘が現実の世界をリアルに詳述した世界創造作業

Well-known fantasy RPG which is one of the best of this area.
World creation effort where there are Gods and magic is real.


プレイ人数 ゲームマスター+プレイヤー(任意人数)
プレイ時間 数時間〜
ルール難度 上級RPG
デザイナー S.Perrin, G.Stafford, L.Willis, S.Henderson S.Petersen, W.James
入手状況 published in 1984 (first edition in 1978)

ルーンクエストについて
ルーンクエスト
「ルーンクエスト」は、「D&D」、「トラベラー」などと並んでRPG界のクラシックスと呼んで良い存在の一作です。
最初にお断りなのですが、筆者はボードゲームが主戦場なのでRPGのプレイ経験があまりありません。このルーンクエストも旧2版からずっと持っているのですが、2版のソロクエストをやったきりです。この3版に至ってはプレイしたことがまったくありません。そこのところはご承知置きの上でお読みください。

「D&D」がRPGという仕組みを作り出し、「トラベラー」はその世界をSFに広げました。
「ルーンクエスト」は「D&D」と同じファンタジーものですが、どちらかと言えば戯画化された書き割りの上での冒険だった「D&D」とは異なり、ファンタジーな世界というのは本当はどんなものかそこで生きるというのはどういうことなのかというリアルな触感の方向へと大きく踏み出した作品のように思います。

ルーンクエストと切り離せないのは、そのもっとも著名な世界設定グロランサです。元来、グロランサの設定がボードゲーム「赤い月と白い熊」で生まれ、そこを詳述していく中で「ルーンクエスト」が登場してきたようです。このグローランサは、神が実在し、それぞれの神の信仰者がカルトを形成して魔法を実際に身につけている世界です。

「ルーンクエスト」のルールでは魔法の体系が詳述され、グロランサのサプリメントではそれぞれの実在する神とその信仰者たちのカルトの特徴が長大なリストとして提示されます。また、プレイヤーキャラクターの能力やスキルの数は多く、戦闘システムでは単なるダメージ処理ではなく部位判定が用いられます。シナリオブックでも詳細な地図、個々の場所の説明、豊富なNPC、子細な能力の設定があります。

ソロクエストまでで挫折したから言う訳ではありませんが、「ルーンクエスト」の場合には実際のセッションまで漕ぎ着けずとも、読み物として読むだけ、キャラクターを作成するだけでも一種の達成感さえあるように思います。それは、そうした作業を通じてグロランサの世界の肌触り、そこで生活するということが感じられるからでしょう。

日本語版ルーンクエストのラインナップ
ゴッズオブグロランザ
日本語化された第3版セットは、まず基本セットから始まります。続く上級セットと同じ箱絵で、基本セットはクリーム色、上級セットは水色でした。実際には上級セットまで加えた形がルーンクエストの基盤のようです。

これらに続いて登場したのが、背景世界のサプリメントである「グロランサ」と「グロランサの神々」です。さらに「グロランサ古の秘密」と、「トロールパック」も出ました。
「グロランサ」はグロランサ全体に関する小冊子「グロランサブック」と、その中でも主要な舞台となるジェナーテラ大陸を詳述した「ジェナーテラブック」を中心としています。
ジェナーテラ大陸の中央にあるのが、「赤い月と白い熊」の舞台でもあるドラゴンパス地方です。その隣に位置するが「ルーンクエスト」の第3版で主要な舞台となるプラックス平原です。「グロランサ」にはジェナーテラ大陸の大きなマップも入っています。

「グロランサの神々」は、神が実在するファンタジー世界を詳述していることが「ルーンクエスト」の特徴だとするなら、このサプリメントはある意味で「グロランサ」より重要でしょう。実在する神々の目録である「グロランサ神名録」と、その幾多のカルトを紹介した「カルトブック」を中心としています。また、信仰や儀式で重要なものとして、グロランサの暦が入ってます。
グロランサ古の秘密
「グロランサ古の秘密」は、ファンタジーが現実であるグロランサの中における、そのまた神秘の部分のサプリメントです。太古からの種族であるドワーフ、エルフ、トロール、ドラゴニュートの4種族と、その他の少数種族を扱った「古の種族の書」が中心です。これに加えてグロランサに散在する神秘を記述した小冊子「シークレットブック」もあります。

「トロウルパック」は、トロウルの神話、歴史、カルト、そしてトロウルであることを詳述した異色のサプリメントです。そして、トロウルキャラクター向けのシナリオ「マンチキン」も含んでいます。設定としては際物めいていますが、作りはシリアスそのものです。このあたりグロランサ世界の厚みと凄みを感じさせる一作です。

シナリオブックレット形式で出版されたものとして、「アップルレーン」と「スネイクパイプホロウ」が挙げられます。この後、いわゆるグロランサルネサンスと呼ばれる2版時代の濃密なグロランサモジュールを彷彿とさせるものが登場します。「サンカウンティ」と「ゆりかご河」です。

「アップルレーン」は二版では本体のボックスセットに同梱されていた入門用のシナリオで、「グリングル質店の攻防」と「虹塚の戦い」の二本パックです。前者は、怪しげなヤツが襲ってきそうな質屋に用心棒に雇われるのですが‥‥。後者はいわゆるダンジョンもののシナリオの入門編になります。

「スネイクパイプホロウ」は、「虹塚」を規模で大きく上回る本格派のダンジョン系アドベンチャーになります。ルーンクエストでの命題の一つである「混沌との戦い」の一局面でもあり、入門シナリオを終え大冒険へと旅立つ冒険者たちの試金石となるものでしょう。
サンカウンティ
「サンカウンティ」は、グロランサルネサンスと呼ばれるケイオシアム版「ルーンクエスト」へのアンコールとも言うべき流れに沿って登場した分厚い冊子モジュールです。どちらかと言えば、AHの第3版「ルーンクエスト」はゲームの仕組みと、シナリオのアイデアを提供し、それ以上の料理の仕方はゲームマスターの自由度に任せている印象がありました。これに対して「サンカウンティ」以降のモジュールでは、もっとシナリオ部分のストーリーやガジェットの肉付けが厚く、濃密な世界が描き出されています。「サンカウンティ」では太陽領という太陽を信奉する農業・戦士国家を取り上げ、そこでの暮らし向きと一年の生活の中に溢れるエピソードを密に描写しています。
ゆりかご河
「ゆりかご河」は二版の「パヴィス」と「ビッグラブル」の流れを引く大冊子のモジュールです。邦訳されたものの中では読み物としてはベストの出来映えだと思います。プラックス平原に流れるゾーラ・フェル河の流域の歴史を紐解き、そこにかつて栄えた旧パヴィスこと大廃墟(ビッグラブル)と、そこに寄生するように現在ある新パヴィスを子細に紹介しています。この流域で展開されるキャンペーン「黒の舟唄」は5つのシナリオの連作として堂々と展開されています。「サンカウンティ」をさらに上回る圧倒的なヴォリュームは、ルーンクエストとグロランサがなぜ長年に渡って支持されクラシックと成り得たのか雄弁に語ってくれているように思います。



この他のモジュール

グロランサものを中心に紹介しましたが、実は筆者がグロランサものしか購入して来なかったという事情があります。
非グロランサもので「第3版ルーンクエスト」の日本語版で登場したものとしては、「グリフィンアイランド」、「モンスターコロシアム」、「シティーズ」などがあります。
もう一つ、グロランサものになるかと思いますが、いわゆるモンスターリスト的な小冊子である「グロランサ動物誌」もありました。


一方、グロランサルネサンスの動きは本国アメリカでは「サンカウンティ」、「ゆりかご河」の後も続き、「シャドウ・オブ・ボーダーランド」、「ドラストル、運命の地」と続いていったようです。ここから先の話しは、日本語で読める「ルーンクエスト」のサイトは他にもいくつもあるようですので、その道の権威の方に譲りたいと思います。



関連ゲーム / 類似ゲーム

ファンタジーRPGの原点である「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」とは、いろいろな意味で比較されることが多いと思います。

ボードゲームとしては、なんと言ってもケイオシアム社の二つのグロランサボードゲーム
「赤い月と白い熊」と、「ノーマッド・ゴッド」は直接の相関関係があります。「赤い月と白い熊」の改訂版が「ドラゴンパス」で、こちらは同じくAH社から出版され、さらにHJ社から日本語版が出ました。ご存じの方も多い著名作品かと思います。

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