ジャンプ・ジェネシス マネキン対タイタン
Jump Genesis savage manakins vs micro titans / Evil Polish Brothers
一言で言えば‥‥
ジャンプ・アンノウンの固定ガジェットの軽量姉妹ゲーム
低価格で手軽なSF宇宙戦ゲームとして広く薦められる
lighter game which uses the same system as JUMP into the unknown
recommended as cheap and light game of the space combat
プレイ人数 |
2人 |
プレイ時間 |
2時間〜 |
ルール難度 |
初級ウォーゲーム |
デザイナー |
David Niecikowski |
入手状況 |
published in 2001 |
設定とシリーズ他作品との関係
悪のポーランド人兄弟が作った宇宙征服SFゲーム「ジャンプ・アンノウン」は、豊富なガジェットと、比較的プレイアブルなシステムの組み合わせで好感が持てました。少し盛り込みすぎだったり、バランスが危うかったりしますが、そこらへんはメーカーの第1作であることを考えれば許容され得るところでしょう。
その姉妹編として登場してきたのが「ジャンプ・ジェネシス」シリーズです。このシリーズは現時点で、この「サヴェージ・マネキン 対 マイクロ・タイタン」の他に「ダイキャスト・メシア 対 カニバル・コア」が出ています。
「ジャンプ・アンノウン」がマルチプレイヤーズゲームで、豊富なガジェットからランダムに様々な要素を登場させるものだったのに対して、「ジャンプ・ジェネシス」は2人対戦用になっており、規定された固定ガジェットの2種族が戦います。
ただし、「ジャンプ・ジェネシス」同士を連結することで3人以上でのプレイをすることもできるようになります。また、「ジャンプ・ジェネシス」を「ジャンプ・アンノウン」に連結して、そのガジェットを本体に取り込むこともできます。
「ジャンプ・ジェネシス」は右の画像のような紙タイルのコマでプレイするのが標準ですが、ミニチュアゲームとしてもプレイできるようにパラメータが設定されています。恐らくミニチュアのラインナップが登場し、ミニチュアゲームとしても展開する予定があるのでしょう。
「ジャンプ・ジェネシス」は固定ガジェットですが、この「サヴェージマネキン対マイクロタイタン」では、星間鉱夫であるマイクロタイタンズが、たまたま古代に製造されて封印されていた戦闘機械サヴェージマネキンを掘り出してしまって星間戦争になったという設定となっています。
マイクロタイタンは、ドレッドノートに代表される強力な大型宇宙船を擁する種族です。陸戦部隊は比較的オーソドックスと言って良いでしょう。
サヴェージマネキンは、殺戮機械としてデザインされていて宇宙戦闘機中心の構成です。宇宙戦闘ではこれだと不利なのですが、指揮官ボーナスの存在と、大型宇宙船を乗っ取るボーディングアクションが実施できることで不利を補っています。また、宇宙戦と地上戦を兼用できる兵力が多いことも自由度を増しています。
ジャンプ・ジェネシスのシステムと問題点
「ジャンプ」シリーズは、オーソドックスな星間開拓・征服ゲームです。
本星一つからスタートし、近隣の星系を探検、これを制圧して経済力を高めます。経済力によって軍備を拡張し、さらに遠方を目指していきます。そして他の帝国と衝突すると、雌雄を決する星間大戦が勃発します。
「ジャンプ・ジェネシス」ではルールがシンプルになっていて、ユニットはスペース/グラウンド/フォートの3種類に大別されています。どれも同じ値段で作れ、それぞれの種類のスタックからランダムなものができてきます。このため、同じスタックの中にも強いユニット弱いユニットがいるのですが、それは作り分けられません。
このルールは大雑把なのですが、実際にプレイしてみると悪くありません。プレイヤーの嗜好に関わらずいろいろなユニットが必ず登場してきて、それぞれに使い分けを余儀なくされるからです。このため、もっと詳細な製造ルールを持つ多くの星間戦争ゲームでありがちな「コストパフォーマンスが悪いから実際には作られない兵種」などというのがなくなっています。
また前項でも書きましたが、種族ごとにスタックの中の構成や、各ユニットの個性が違っていて、種族特性が必然的に出てくるのも面白いです。マイクロタイタンの巨大艦船は非常に強いのですが、陸戦力には際だった特徴がなく、戦力の融通性が低くなっています。対してサヴェージマネキンは宇宙戦闘では脆弱に見えますが、敵艦にボーディングすることができるので、もしマイクロタイタンの巨大艦を捕獲できれば劣勢を打開できます。また、宇宙戦闘と地上戦闘の両方で兼用できるユニットが多く、兵力展開の自由度が高いのは予想以上に大きなメリットです。
と言うわけで、シンプルながらもガジェットの面白みが良く出ているゲームです。
ただ、本星一つから拡大生産していくゲームにありがちな問題点として、序盤で躓くとなかなか遅れを取り戻せないという弱点があります。特にマルチではなく1対1ですので、一方が順調で他方が転んでしまうと、かなり明確な差が付いてしまいます。左の画像はそうした実例の一つです。マネキン側は最初の2つの星系を同盟(無血占領)で手に入れあっという間に増殖しました。対してマイクロタイタンは最初の2つの星系に抵抗されてどちらでも勝つことができず地上戦力が全滅してしまいました。この状況を打破するのに4ターンを費やしたのですが、そのときには宇宙のほとんどはマネキンに占領されてしまっていました。5ターン目にマネキンはマイクロタイタン本星を落として決着することになります。
拡大再生産型のゲームは、マネージメントゲームであれ、開拓ゲームであれ、同種のバランスの危うさを持っていますが、ジャンプ・ジェネシスは二人対戦であるだけに問題が顕著なような気がします。
関連ゲーム / 類似ゲーム
「未知へのJUMP」本編を先ず挙げて置きましょう。
その他には、FFGの「トワイライトインペリウム」や、古典になりますがAHの「ステラコンクエスト」、ヤキントの「スターフォール」、タスクフォースの「ゴッズファイアー」などが類似のテイストを持っています。