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第4帝国
4th Reich / Task Force Games


一言で言えば‥‥

核戦争から1938年が過ぎた,いま再び純粋人類帝国ゲルドは東進を目指す!

ルシアンキャンペーンのパロディ,純粋人類ドイツ 対 ミュータントソヴィエト

こんなゲーマーにお薦めしたい

シチュエーションのグロテスクさを楽しめるB級SFゲーマーに

勝敗にこだわらずに,パロデイックな状況を楽しむことのできるゲーマーに

プレイ人数 2人
プレイ時間 2−4時間
ルール難度 簡単なウォーゲーム
デザイナー ドン・ロンバルディ
入手状況 海外中古ショップ当たられたし

第4帝国の設定
第4帝国のボックス
世界を荒廃させ,人類の生存さえ脅かした核戦争から既に1938年が過ぎた。

純粋な人類の遺伝子を継いだものたちは,ゲルド帝国を再構成し,いままた再び人類の栄華を取り戻さんと野望を膨らませているところであった。

しかし,その前に広がる東方の大地は,夜になると燐光を放つ放射線ジャングルが随所に散在する人類の愚行の産物であった。そして,そこには人であって人にあらぬミュータントたちが住み付いているのであった。

そのミュータントたちをヒュプノ能力で統べるのがマスターと呼ばれる大ミュータントであった。マスターは,コントローラーと呼ばれる幹部ミュータントを操り,さらにコントローラーが一般のミュータントを操る巨大なフラクタルのヒュプノ統制社会を築き上げていた。

彼らそれぞれの住む土地が,2000年の昔には,それぞれドイツとソヴィエトと呼ばれていたことは今となって記録にも留められてはいまい。わずかに,生き残った都市の名前に,昔の都市の記憶が響くばかりである。ゲルドの首都,ブルレン。ミュータントの本拠,モスカ。

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第4帝国のシステム
第4帝国のプレイ1
第4帝国は,典型的なヘクスウォーゲームです。

その中でもダブルインパルスと呼ばれるシステムを採用しています。一方の軍が移動/戦闘という手順をダブルで繰り返し,次に他方が同様の手順で応戦するのです。

ここらへんは,第二次世界大戦のドイツとソヴィエトの東部戦線を扱った古典的傑作ゲーム「ルシアンキャンペーン」を彷彿とさせます。実際,戦場も同じ場所で,時代こそ2000年ばかり未来ですが,状況もまたそっくりです。もちろんデザイナーが確信犯であることは,自明でしょう。

最初の画像は,1ターン目の状況です。ゲルド帝国(白いユニット)は,まず西側のウェストランドに侵入し,これをほぼ粉砕してしまいました。それに対してミュータント陣営(赤いユニット)は一部のコントローラーが活性化して兵力準備を開始しています。
第4帝国のプレイ5
次の画像は,5ターン目の状況です。西側に兵力を向けたゲルド帝国の虚をついて,ミュータント陣営はなんとゲルドの首都ブルレンの奪回を敢行しました。

しかし,ゲルド帝国を率いるヘトラー総統は,自ら陣頭指揮を取り自慢の帝国装甲部隊でブルレン掃討作戦を速やかに実行しました。

このゲームは,いわゆるファイアパワー方式のCRTを利用した少し特殊なウォーゲームです。戦闘は攻撃側の火力のみにより効果が判定され,防御側の戦力には影響を受けません。逆に言えば,相手が弱小1戦力でも,大規模な兵力でも,こちらの攻撃では損害を受けることはありません。もっとも相手の手番になると,これとはまったく逆なわけです。
第4帝国のプレイ7
したがって,いかにミュータントが数を誇っていても,ヘトラー総統の指揮と装甲部隊の威力をもって撃破し続けていれば,まさに破竹の快進撃が実行できます。ところが,いったん討ち漏らして,敵のミュータントの大部隊に反撃されてしまうと,ゲルド帝国はいきなり困ったことになってしまいます。

実際,このプレイでは困ったことになってきました。3番目の画像は第7ターンの状況です。ミュータント陣営は数を頼んで大地に赤い絨毯のごとく広がってゲルド帝国に浸透しはじめました。ゲルド側は強力な攻撃力を持っていますが,ユニット数が少ないのが弱点です。ですから,集結したミュータントを先制攻撃で粉砕するのが得意技です。その一方で,広く薄く散ったミュータントをもぐら叩きのように叩いて回るには手数が足りません。

あわれヘトラー総統と配下の装甲部隊はブルレン死守作戦でミュータントの毒牙にかかって散ることとなりました。もはや純粋人類の遺伝子を守るものはなくなりミュータントはゲルド帝国全土へと堰を切ったように雪崩れこんでいきました。ここにホモサピエンスの歴史は幕を閉じ,ホモミュータントの世界が訪れたのです。

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第4帝国の難点

第4帝国は,いかにもB級SFらしいゲームです。

まず,設定はブラックで,いかにもB級SFです。ゲームシステムは題材とマッチングしていて,ゲルドの電撃戦や,ミュータントの物量戦を再現するのに向いたシステムです。ユニット数が80ほどしかないので,プレイアビリティも良好です。ダブルインパルスのゲームは,どうしても少し重めになるのですが,このゲームはそんなことはありません。

そんな訳で良質のB級SFゲームとして持つべき特質を一通り持っています。唯一の難点は,勝利条件が極端なことでしょう。どちらも相手の陣営の兵力を全滅させ,敵の領土を完全に蹂躙しないと勝てません。2,3度しかプレイしていないのでなんとも言えませんが,ある程度,慣れて来ると引き分けゲームになってしまうかも知れません。

とは言え,設定や,元ネタからしても,両者の間に停戦の余地などなく,一方が他方を完膚なきまでに踏みにじらねば収束などしない戦いだ‥‥ということなのかも知れません。そこまでブラックな設定の一部として意図して作られているのだとすれば,もはやそれも欠点とは言えないのかも知れません。小品でありながら歴としたボックスゲームとして商品化されたのも,出版社がこのゲームに自信を持っていた表れかもしれません。

関連ゲーム / 類似ゲーム

核戦争後の世界を舞台に,さらに戦うというアフターザホローコーストものとしては,ずばりSPIの「アフターザホローコースト」があります。核戦争後というのとは少し違いますが,変わり果てた地球の未来での紛争という意味ではARES誌の「オメガウォー」も非常に近い雰囲気を持っているかもしれません。

ミュータントが異形の悪役として出てくるものとしては,YAQUINTO社のその名もずばり
「ミュータント」というのもありました。

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