BQSF_GAME

或いはゲームに溺れる日々

2/11−13の3連休で,某ゲームサークルの合宿にお呼ばれしてきました。2泊3日の日程をゲームに溺れて過ごすという,ある意味贅沢な,率直に言ってやや不健全な企画です。

この合宿では中京圏の創作ゲーマー風間さんの幾多のゲームをプレイさせていただくことができました。これらの多くはSFゲームであり,それ以外のものも類似したテイストを持つものでした。こうした貴重な体験は,そうできるものでもないので,B級SFゲーム分科会で紹介させていただくことにしました。

注意:なおこれらのゲームはアマチュア創作ゲームです。このため,製作者の方がゲーム仲間と楽しむために作ったものであり,市販もされていません。

特撮少年なら誰もが夢見た(?)「世界征服」
世界征服のボス
皮切りは,「世界征服」でした。

そう「仮面ライダー」を始めとする特撮世代に少年時代を送ったものなら,一度は悪の首領,悪の大幹部となって世界を征服したいと夢見たことでしょう。

その「世界征服」の試みをゲーム化したのが,この怪作カードゲームです。プレイヤーは画像の6人の悪の首領の一人となり,正義の味方の抵抗や,他の悪の組織の妨害を撥ね退けて世界を征服することを目指します。

プレイは,手札から悪事をプレイして積み重ねることで進んでいきます。組織が大きくなると手札を数多く手に入れられるようになっていきます。
世界征服のプレイ
次の画像はプレイの風景です。プレイが進行して行くと,互いに妨害しあうようになります。自分の組織の鉄砲玉を送り込んだり,それに対して怪人で防御したりします。

しかし,なにより凄いのは他の組織の悪事を正義の味方に通報してしまうことです。この作品世界では,美少女ヒーローたちが席巻しており,彼女たちは通報に応じて悪の組織へと立ち向かいます。

さらに必殺技カードをプレイすると彼女たちはますます強化され,そんじょそこらの手下怪人や怪物など簡単にのされてしまいます。

彼女たちは毎ターン悪の組織の悪事を一つずつ粉砕し,そのまま放って置くと最後は悪の首領へと挑んでくるのです。首領はさすがに強力で,彼女たちと互角に戦いますが,タイミングの良い必殺技を食らったりすると撃破されてしまうこともあります。

とにかくこのゲームは爆発的に面白く,悪の組織として世界征服を大成するのがこれほど大変なことなのかと痛感させられます。ここらへんのテイストは,プレイステーションのビデオゲーム「AZITO」とともに,かつての悪の首領候補生を満足させてくれます。

そして美少女ヒーローに敗れた悪の首領プレイヤーは呟くのです「覚えていろよ,このままでは済まさんぞ!」と‥‥。いつの時代も悪の組織は永遠に不滅なのです‥‥?

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「建艦競争」は,血を吐きながら続けるマラソンか?
建艦競争のプレイ
建艦競争は,20世紀前半の戦艦の建造競争を扱ったカードゲームです。登場してくる艦は,二次大戦の諸国はもちろんですが,南米諸国まで含まれていて,かなりの戦艦通でないと未知の艦も少なくないでしょう。

基本的にはヒストリカルシミュレーションゲームですが,その兵器開発競争の醍醐味は,TVアニメ「機動戦士ガンダム」などに通じる(本当はガンダムが史実の兵器競争の醍醐味を取りこんだというのが妥当かも知れませんが‥‥)ものがあり,SFゲーマーも楽しめるものになっています。

基本的にこのゲームでは,手札を捨て札にすることでコストを支払って建造していきます。こうしたシステムは,「スターウォーズトレーディングカードゲーム」にも見られたものです。その時点で有効でない札を使って,その時点で使いたい札を運用していくマネージメントのゲームになっています。
建艦競争の大戦
建造できる艦種は,技術の発達に応じて進んでいきます。最初は1レベルの艦しか作れません。けれども,1レベル艦を2隻建造した国(プレイヤー)は,2レベルへ進めます。誰かが2レベルに進むと,それを真似て他のプレイヤーも2レベル艦を建造できるようになります。技術の先頭を切って進めば他国に先駆けて高性能艦を手にできますが,その一方で模倣により後続者に楽をさせてやる側面もあります。

また艦を維持するのには維持費として毎ターン手札を切らねばならず,大艦隊を保有すると技術開発まで投資が回らなくなったりします。これを補う存在として国力カードという手札増加カードがあるのがミソです。

ゲームは大艦巨砲主義がピークに達し,国際緊張がブレークするところでクライマックスを迎えます。その時点で各国は二つの陣営に分かれて雌雄を決することとなります。そして,この大戦で勝利した側の内,最大の艦隊を生存させたプレイヤーが勝利します。

このゲームは手札のマネージメントをしながら,次はこの艦を作ってやろうとプランニングするところが醍醐味です。その一方で,カードをプレイするのに別のカードを捨て札にしてやらねばなりませんので,なかなか将来計画を手に温存して置く訳にも行きません。この辺のジレンマが素晴らしく,そのジレンマを越えて最新鋭艦の建造に成功したときの喜びはひとしおです。

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「モビルスーツウォー」
モビルスーツウォー
上述した通り「機動戦士ガンダム」は,兵器開発競争の醍醐味を感じさせてくれるSFアニメの草分け的存在でした。

このモビルスーツが総登場して戦うカードゲームというのは,ガンダムフリークなら誰しも夢見るところです。

この「モビルスーツウォー」は,これを実現するカードゲームです。プレイヤーはランダムに配られた手札からモビルスーツを密かに配備します。これらのあるものにはニュータイプパイロットを登場させ,あるものは量産化を進め,そして敵のモビルスーツを撃破するため戦闘に投入していきます。

ゲームは単純なモビルスーツ間の戦闘の繰り返しを中心に進んでいき,誰かの部隊が全滅したところで撃破した敵のポイントを合計します。これを累積して所定点数まで数次の戦いを繰り広げていきます。

シンプルで良いゲームなのですが,前述した「建艦競争」の兵器開発のシステムを見てしまうと,単純に過ぎる嫌いもあります。1年戦争から始まって後年の戦いへと兵器進化が進んでいく要素や,陣営の要素などが盛り込まれていて欲しかった‥‥というのは贅沢を言い過ぎでしょうか。

また様々なイベントカードがあり,コロニー落とし,ソーラーレイ,ミハルのスパイ活動など強力ながらも原作エピソードから説得力のあるものが多く楽しめます。

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「封印の宝珠」という一遍のファンタジー物語
フィールドプレイ
「封印の宝珠」は,カルト的な人気を持つエポック社のSFゲーム「超人ロック」のファンタジー版とも言うべきものです。

「超人ロック」は人気が高いのですが,入手難になって久しく,その面白さを求めてオリジナルゲームを自作する動きは筆者の知る範囲でも複数あります。

「封印の宝珠」は,設定をファンタジーに移したもので,フィールドをプレイして魔王のダンジョンへの手がかりを探しながらアイテムや呪文を手に入れます。
ダンジョンプレイ
そして発見された魔王のダンジョンへと赴き,正義のプレイヤーたちは魔王を倒すことを目指します。プレイヤーの中には悪の双璧と呼ばれる魔王の腹心も混ざっており,彼らは他のキャラクターの隙を狙っています。

ダンジョンの魔王の間でいよいよ最終決戦となるのですが,このときに魔王の物理攻撃能力と魔法攻撃能力をそれぞれ封印できる宝珠があります。これがゲームタイトルにもなっている封印の宝珠です。

悪の双璧も含めてプレイヤーには秘密の勝利条件があり,魔王を倒す,あるいは魔王を守るという第一の目的のほかに第二の目的があります。勝利サイドになって,さらに個人の目的を達成したプレイヤーが最高の勝利者となります。

着想をストレートにゲームにしたもので,分かりやすくプレイしやすいゲームです。カードの配置などによる運不運に左右されやすい嫌いがありますが,それもまた運命といったところでしょう。

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