マンチキン
Munchkin / Steve Jackson Games
ショートコメント
●スティーブ・ジャクソンらしいブラックテイストのメタカードゲーム、題材はロールプレイングゲーム
●ゲーマーが集まって時間が半端になったときにちょっとプレイできてちょっとニヤリとさせてくれる小品
Black humor meta-cardgame which covers RPG. This is quite a Steve Jackson's game.
If gamers have remaining time and no other appropriate game, please try this. This game make gamers grin.
published designed players time
2001 Steve Jackson 3-6 60-90 min.
RPGを題材にしたメタカードゲーム
 「マンチキン」は、スティーブジャクソンの最近の作品で、拡張キット「アンナチュラルアクス」やSF版の「スターマンチキン」など後続を輩出してSJGの新ゲーム群を形成しつつある一連のゲームの出発点です。
 そんなこともあって遅まきながらプレイしてみたのですが、なるほど手軽に遊べて、ゲーマーをにやりとさせる部分のある小品です。
 ゲームのキャッチフレーズに「モンスターをやっつけろ! 宝物を奪え!」などと書いてあるので、典型的なダンジョンものカードゲームかと思わせます。
 ですが実際にプレイするとわかるのですが、そうではなくて「典型的なダンジョンものRPG」を題材としたメタカードゲームなのです。
 RPGというゲームの、ある意味ゲームマスターの強権とアドリブで成り立っているという特徴、それを良しとしないプレイヤーの抵抗や我侭を捉えたちょいとニヤリとさせるブラックなカードが満載です。
 ゲームの仕組は単純で、ダンジョンで新しい部屋に入ることを表すドアカードと、宝物を探すことに相当するトレジャーカードがあります。自分の手番にドアカードを開け、それを解決し、モンスターなら対決して倒すと宝物が得られます。またモンスターがいなければ空部屋なので捜索してやはり宝物が得られトレジャーカードをめくります。
 手札として持つことのできるカードもたくさんあり、自分の手番に利用できますし、他のプレイヤーの妨害にも使えます。
 大雑把に言ってしまえばこれでルールはお終いです。
 イラストはコヴァリックの毒気のあるユーモラスなイラストでゲームの雰囲気に良くあっています。
ファイナル・コメント
 ゲームの勝利条件はいちばん早くレベル10になることです。
 モンスターを倒すと1レベル上がる他に、上述したようなインチキなカードでもレベルは上がります。またアイテムには価値が書いてあり、これを1000GP売却すると1レベル買えます。
 プレイしていくとサクサクと進んでいきます。ルールは簡単ですし、レベル上昇はインフレ気味です。
 プレイヤー間の協力も妨害も自由にできるゲームで、スピーディーな展開から終盤は泥試合の中、どう一気に抜け出すかを争うことになります。
 ゲームの仕組そのものには見るべき斬新な要素があるとは思いませんが、SJGのブラックな足の引張り合いゲームの中でもいちばん手軽で収束性が良いのではないかと思います。
 人数の自由度が高く、ルール説明が簡単ですぐ始められるので、例会の残り時間を埋めるのには重宝するゲームです。
関連ゲーム
●ダンジョンズ&ドラゴンズ
スターマンチキン
●アンナチュラルアクス
 カードの例を挙げて説明しましょう。いちばん左がカードバックで、これはドアカードです。これを開けるとモンスターやイベントと遭遇したり、手札としてキープできるカードが手に入ります。二番目はゲームタイトルにもある「スーパーマンチキン」です。プレイヤーはRPGのキャラクター一人の立場で、通常は種族カードを1枚と、職業カードを1枚まで持つことができます。ところが「スーパーマンチキン」は二つの職業を同時に持つことができるのです。
 その次が職業の見本の「シーフ」です。特殊能力として他のプレイヤーがモンスターと戦っているのを後から闇討ちして妨害できます。さらにアイテムを盗むこともできるという嫌われ者です。
 その次はモンスターの見本です。このゲームの戦闘は単純でプレイヤーのレベル+装備などによるボーナスがモンスターのレベルを上回っていると勝てます。レベル10の「3872人のオークたち」は中堅どころと言えます。
 最後は大物の部類に入るレベル18の「ブルログ」です。どこかで見たようなキャラクターです。
 今度は主としてトレジャーカードを集めてみました。
 最初のものが装備の一例です。「本当に印象的な称号」です。まぁ、こんなものが装備として「+3」レベル分の価値があるという辺りがブラックなところです。
 その次は使い捨て装備の「マジックミサイル」です。D&Dの初期レベルの攻撃呪文にあるものですからあって当然ですが、イラストが携帯(?)のミサイルになっているところがブラックです。
 さてどんどんひどくなっていきますが、次は「チート(ズル)」です。ルールに反するアイテムの使い方を1回だけ許すというカードです。
 その次は「仕込みダイス」です。なんと出ている目が「7」になっています。
 最後は「便利な足し算の間違い」です。2+2=22となっていて、効果は自動的に1レベル上がるというものです。
 ここらへんはRPGというものの持っているゲームとしての柔らかさをネタにしていて、苦笑いさせられてしまいます。